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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

兵法天下一二天一流の形

兵法天下一二天一流の特徴

武蔵が晩年、熊本で開流した二天一流は『五輪書』を形に具現化した勢法で、これを「五方ノ形」と称した。二天一流には元来、これ以外の形は存在しない。松永伝は専らこの五方ノ形を演錬する。

多くの派では一刀勢法を伝えているが、両手で木刀を握っているので全く武蔵の境地「片手斬り」を無視した形である。そもそも、武蔵は二刀で一刀に勝つ技術と心法を完成させたのであり、一刀で一刀に勝つのならば、二刀は必要ない。

しかし、たった五本だけの形だけでは、正直なところ道場経営が成り立たない。武術としての体裁を整えるためにも形の増補が必要であったのだろう。後世、一刀や小太刀、さらには棒術までも採用する派が出ては、流祖の武蔵も驚嘆しているに違いない。

五方ノ形は心を研ぎ澄ませ、気を錬り、強烈な圧迫感を敵に与えて威圧していく。立ち腰の摺り足で、独特の発声を用いて敵の動作を制圧する。この心気の作用なくして二天一流はない。

武田信玄に仕官できずに塚原卜伝にその座を奪われ、自ら信玄の諱を逆転させて「玄信」を名乗る。あたかも卜伝の俊敏な太刀筋に反発するが如く「ゆっくリズム」な勢法を完成させる。それは日本剣術界における「太極拳」のようなものである。気を錬るためにはスピードを追求してはいけない。卜伝の剣術とのレベルの違いを誇示したかったのではなかろうか。そこには極めて崇高な剣の精神世界がある。


村上派松永伝兵法天下一二天一流の形

五方ノ形

 中段 位詰
 上段 先
 下段 後の先
 左脇 後の先
 右脇 先々先

五方の構の方

五方の構は上段、中段、下段、左の脇に構え、右の脇に構ゆる事、是五方也。構五つにわかつといへども、皆人をきらんため也。構五つの外はなし。何れの構なりとも、構ゆると思はずきる事なりと思ふべし。構の大小は事により利にしたがふべし。上下中は体の構也。両脇は用の構也。右左の構、うへのつまりて脇一方つまりたる所などにての構也。左右は所によりて分別あり。此道の大に云ふ、構のきわまりは中段と心得べし。
中段の構本意也。兵法大にして見よ。中段は大将の座也。大将につぎ、あと四段の構也。能々吟味すべし。
                                                   (『五輪書』水の巻)

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松永伝の礼法における太刀の置き様は他派と異なり、小刀を上にする。また礼の時の手の合わせ方も異なる


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前列左から荒関、土橋(諏訪尚武館長)、松永、小池の各師範(昭和38年9月9日、諏訪尚武館)


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松永展幸と荒関富三郎師範による五方ノ形の演武
by japanbujutsu | 2012-11-18 21:51 | 兵法二天一流 Nitenichi ryu

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