七座之伝
武術伝書にこのような絵図が描かれているのは極めて稀である。
この伝書は、明治年間に「広島文武館」で発行されたもので、難波一甫流を母体とした総合武術を教授していた模様である。
平安座 前で手を組む
訓貴座 腿の付け根に手を置く
對貴座 指を前に向けて腿上に置く
臨貴座 股立に両手を入れる
失貴座 片手を脇に挟む
失意座 両腕を組む
無體座 両腕を寄せる
無體座以外は膝を大きく開いて、胡座に近い坐り方をしていることが想像される。その他の区別は手の置き様に拠っている。
何を調べてもこのような座法を解説している文献はない。好著『日本人の坐り方』(矢田部英正著:集英社新書)にも記述は見られない。しかし、これが侍の、そして武家の伝統であり、文化でもある。
後考に期す。
その他、文武館で稽古された形目録が総覧でき、さらに捕縄や胴釈(人体急所図)之伝などが図解されている。