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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

忍術は武術ではない! Ninjutsu is not martial arts

忍術は武術ではない!

ヨーロッパの都市に行くと、たいてい忍術の道場がある。

皆、黒い上下の空手着に黒い足袋(時には地下足袋を履いている輩も)を身に纏い、空手とも柔術とも区別のつかない、格闘技を練習している。それは何だと聞くと「ニンジュツ!」「ニンポー!」と返事をする。

そもそも、忍術道場の存在がおかしい。忍術とは諜報、すなわち人知れずに情報収集を行うこと・技術である。だから忍術道場へ通うなどということは「私は忍者です」、「私は忍術を練習しています」と公表していることであり、その時点でその者はすでに忍者ではあり得ない。

また、忍者という身分は存在しない。忍術集団はフリーメイソンと同じ、いわゆる秘密集団であり、自分が忍者であることを誰にも知られてはならないのである。武術を修行している武士が忍者になることも完全に不可能である。

忍者は特殊な場合を除いて、ごく普通に町中で生活をしている。だれもその人物を忍者だとは思わない。完全に身分を変えて、あるいは自分の生業を以て市中に入る。

忍びとして相手の土地に入った者が、他人と武術を以て戦うことなどありえない。

武術流派の内容に忍術が含まれている例がある、などと論じている人たちもいるようだが、筆者はそのような例を知らない。武術の小道具を忍びの武器と間違えているのだろうか。大体、本物の忍びは武器など携帯しない。

服部半蔵を忍者であるとするのは、今に始まったことではないが、半蔵が忍びであった記録など一つも残っていない。後世の創作である。半蔵は初代も二代目も武士である。伊賀者を統率しただけで、彼が武術を稽古した記録などどこにも残っていない。

筆者が住む町には戦国末期、忍者がいた。彼らの本業は富士浅間師職の神官であり、全国に信徒を擁していた。そして全国を旅しながら信徒に御札を売り歩いたから、各地の情報を入手することができた。甲州武田家では彼らを利用して、全国の情報を収集していたことが記録に見えている。彼らはスッパと呼ばれた。日常は神官の姿で、しかも札売りが仕事だから、だれも彼らを忍びだとは思わない。だから忍びになりうるのである。

したがって、○○流忍法など称して格闘技を練習する道場など、江戸時代に存在するはずもなく、入門に際して姓名を書いて血判を行う武術道場に「忍者」がいるわけがない。

もし、明らかに忍者だとわかる服装をして、それがだれかに見つかり、格闘をして負けたらどうなるのであろうか。その忍びを放った主は、取り返しのつかない事態に陥ること必定である。

ここに加賀無拍子流の伝書『水鏡』がある。ヨーロッパではこれが忍術の伝書であると思われているらしい。このブログに無拍子流の別の記事を載せたところ、早速ヨーロッパから『水鏡』に関する問い合わせがあった。
日本では何の反響もないが、遠いヨーロッパでその記事を翻訳して読んでくれている人がいる。何と熱心なことだろう。彼には丁寧に返事を認めてやると、この春、筆者を訪ねてくるという。ちなみに『水鏡』に記載されている事柄は武士の心得である。

日本の文化は全部、外国人に持って行かれるだろう。悲しいことだが現実である。

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                          無拍子流秘伝書『水鏡』
by japanbujutsu | 2013-02-23 17:58 | 武術論考の部屋 Study

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