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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

役に立たない学校の刺又

役に立たない学校の刺又

江戸時代に国境警備や関所の警護、あるいは城や代官所などの門番たちが所持した長柄の捕物道具三種類 (袖搦、刺又、突棒) を総称して捕物三道具という。

武術として伝承されたものは数少ないが、各藩には必ず国境警備に当たる被差別民がいて、それらを指揮・統率する者がその流儀を相伝した。

三道具は犯罪の容疑者を取り押さえるための道具である。

これは非殺生性の道具ではあるが、容疑者が暴れると負傷するようにできており、その苦痛で抵抗する力を失ったところを捕らえるのである。

そのため先端部周辺は鉄板が補強に用いられ、強度を増した。

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       薩摩藩の国境警護に使われた刺又。丸に十文字の島津家家紋が鉄板に刻印されている。

また、ここを握り締めて抵抗しないよう、鋭い刺 (とげ) が生えている。

捕縛時には、複数の捕方がこれらの道具を持って、突いたり引き倒したりして、押さえつける。

さて、その三道具の一つ刺又が、学校における不審者対応のために職員室に置かれている。

置かれているだけで、多くの学校では教員がこれを実際に使えるようになるための講習を受けていない。

つまり、ただの邪魔な置物である。

学校に置かれている刺又には刺がない。しかも非常に華奢な作りである。

そして何よりもまず、女性教員はこれを使うことができない。絶対的に男に腕力が劣るからである。

男も非力な者には使えない。それなりに重量もあり、長いために操作法を学ばないとただ邪魔になるだけである。

そして何より、これは一人前の男でも実際に不審者をこの道具で取り押さえるのは至難の技である。

尖端に刺がないため、ここを握られて返されると、不審者の方が明らかに強い力を発揮できる構造になっていて、まったく役に立たないのである。

筆者は日本の棒術や台湾武術金鷹拳を学び、その使用法は充分に心得ているが、当然どこからも指導の要請などはない。金鷹拳を伝える振興社武術にはほとんど形の同じ武具がある。

頭でっかちのお役人が考える防犯対策にはろくなものがない。

無駄なモノにカネを使うのが、お役人の仕事のようである。
by japanbujutsu | 2013-07-28 20:41 | 武術論考の部屋 Study

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