武蔵書 「戦気 寒流帯月澄如鏡」
戦気 寒流帯月澄如鏡
寒流帯月澄如鏡は白楽天の句。
戦気 寒流月帯びて澄めること鏡の如し ( 「 和漢朗詠集 」 により広く知られている)。
意味 : 寒い冬の夜、川面に映る月が、鏡のように澄みわたる。
また最初の 「 戦気 」 とは戦いの意気込み、心構えをいう。
すなわち、この書が意味するところは、二天一流の戦気の濁りのないところを澄んだ寒流にたとえ、そこに月の姿を借りて敵の動静変化の気をおのれの心の鏡に映すことが肝心であると表したもの。
当協会名に使われている「水月」と全く同じ心得、教えである。
同じ書は島田美術館、松井文庫に蔵しているが、当協会所蔵のこちらの書の方が 「 寒流帯月澄如鏡 」 の文字がしっかりと精筆に書かれている。
「 二天道楽 」 のサインと線香立てのような印判が真贋の決めてとなるところであるが、武蔵の書画研究はほとんどなされておらず、実際のところ武蔵の真筆かどうかは不明である。
しかし、兵法二天一流の相伝者としては真筆と信じておきたい。