『図解コーチ合気道』(鶴山晃瑞著)
ある一部の人たちから醜い非難を浴びている故鶴山晃瑞氏。
私は決して彼を非難しない。
彼が久琢磨氏に師事する前に接した合気系武術の人たちは、実際には免許皆伝ではなかったり、その武術の系譜や歴史が捏造された流派を名乗っていたりする人たちであった。そのことに関する鶴山氏の記述は決して間違ってはいない。
しかし、武術は宗教のようなところがあり、流派を誹謗されると、その内容が事実であっても、それを認めず、正しいことを指摘した者に反撃をしてくる人たちがいる。絶対に自分たちの考えを改めようとはしない洗脳された信者たちである。
『図解コーチ合気道』(成美堂出版)は非常な労作である。
鶴山氏が現在の合気柔術、合気武道、合気道をしている人たちよりも、はるかに探求心・研究心に優れた武道家であったことは事実である。
しかし、嘘をつくのは良くない。鶴山氏はその著書の中で、
① 柳生心眼流兵術の拳法を「大東流合気拳法」
と称したり、
② 会津日新館の御式内を「大東流合気柔術」
であるかのように説いているが、両者ともに事実に反しており、いずれもそんなものは存在しない。
現在、武術・武道を修行している人たちは、もっと武道の歴史や文化的側面を学ぶ必要がある。そして、道場でも技法ばかりを稽古するのではなく、毎週一回は武術の講義をなすべきではなかろうか。