『柔道にはなぜ黒帯があるの?』の間違い訂正 2
この本を読んでいると、著者は本当に武術文化を研究したことがあるのだろうか、と疑いたくなる。
それほど、その記述はレベルが低い。日本武術を語る資格はゼロである。
Q3 柔術と柔道は、どう違うのですか。
■本文
「「柔術」あるいは「やわら」と総称して呼ばれるようになったのは、江戸中期以後のことです」
■訂正
まず、「柔術」 は多くの場合、「じゅうじゅつ」ではなく「やわら」と読んだ。だから「あるいは」ではなく「=」である。
■本文
「あるいは殺すことを目的とした、実戦的な格闘術であることにその特徴がみられます」
■訂正
柔術の眼目は決して殺すことではなく「生かして懲らしめる」ことにある。著者は何もわかっていない。
■本文
「武士階級の専有物であった柔術に対して・・・」
■訂正
すでに江戸時代初期から武術は武士のみならず、農民階層にも指南されるようになった。
この伝書は起請文である。
文久三年からの入門者が楊心流柔術・小野派一刀流剣術師範である安藤に対して血判したものであるが、入門者はすべて寒村の農民であり、もちろんすべての者に苗字がある。
■本文
「技の多様化、高度化が熱心に研究されるようになり、近代的なスポーツとして発展する方向が示されたのです。」
■訂正
この文章は、まったく逆である。武術のスポーツ化は技の多様化に反比例する。こんなこともわからないのだろうか。技は競技用に限定され、だれでも学べるようにしたのではないのか。「熱心に研究され」た形跡は皆無である。