ブログトップ

国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

japanbujut.exblog.jp

本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

『時代劇・剣術のことが語れる本』の誤りを正す 1

『時代劇・剣術のことが語れる本』の誤りを正す 1

b0287744_11361840.jpg
『時代劇・剣術のことが語れる本』(2003、是本信義著、明日香出版社)。
これほどデタラメを記述した本も珍しい。
出版社に連絡をしたが、著者とは出版後に連絡をとったことがないということで、話にならなかった。
出版社にはこの本の内容について精査できる人はなく、検証がまったくなされていないことがわかった。
こんな本があるから武術に関する誤った認識が流布してしまうのである。
こうした誤認識を見放すことは、今後の研究に支障を来す故、その大きな誤りを取り上げて、簡単に訂正を加える。

P.18
「やがて戦国時代が終わると、今までは戦場での闘争技術であった武術は、武士の平時の護身用のたしなみとしての感じが強くなり、特に剣術は「素肌の兵法」として技術的には精妙さが追求されるようになる。」

論評
戦国末期に萌芽する「武術」はそれまでの戦技とは異なり、流儀を形成して教育、すなわち師匠から弟子へと伝えられていく性質のものに昇華した。
護身用のたしなみという一面はあったのかもしれないが、太平の江戸時代における武術の眼目は、あくまでも平戦両用のための心構え、すなわち「武士の教育」にあった。
護身とは一体、だれから身を護ることなのだろうか。
護身のために日常所持することのない弓術や槍術を修行するのだろうか。
戦国時代に戦場で行われていた武技は「武術」ではない。
「素肌の兵法」なる言葉の嚆矢はどこにあるのだろうか。

b0287744_11282117.jpg

このような鎧組討の戦技はヨーロッパで古くから発達した。しかし、ヨーロッパには日本のような「武術」はない。
戦技と武術を一緒くたにするような浅薄な認識でこのような解説本を著すべきではない。
by japanbujutsu | 2014-03-27 11:03 | 武術論考の部屋 Study

by japanbujutsu