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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

『時代劇・剣術のことが語れる本』の誤りを正す 3

『時代劇・剣術のことが語れる本』の誤りを正す 3

P.24~25
「もう一つは、技巧をこらし、鎧武者の武装されていない、脇の下、股間そして首筋を巧妙に突くという「介者剣法」といわれるもので、京八流の剣法はこれに当たるのである。そのようなことから、この京八流の稽古は、背中に大きなザルあるいは座布団のようなものを背負って防具とし、はいつくばった姿勢から、たたかれてもたたかれても相手ににじり寄り、ついには相手の急所を突くという一風独特のものだったと伝えられている。」

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論評
まったくでたらめの解説である。武術の伝としての甲冑着用時の剣術(筆者は「介者剣法」などという言葉は古文献で見たことがない)は、あくまでも心得であり、甲冑着用時の剣術が主体になっているような流儀は聞いたことがない。
「技巧をこらし」と述べているが、著者は、介者剣法は技巧をこらしたものではない(このことはすでに紹介済み)と述べているのであり、まったく矛盾した記述である。
京八流(鞍馬八流=源平時代に吉岡鬼一(右図)が創めた剣の流儀と伝えられ、鞍馬寺の僧八人にその秘訣を授けたことからこの名がついた=完全な伝説・虚構)という剣術が江戸時代に行われていたことも聞いたことはない。
「這い蹲った姿勢で敵ににじり寄る」ような馬鹿な武士がいるはずはない。「たたかれてもたたかれても」そんな同じ攻撃を繰り返す馬鹿な武士もいない。

信抜流居合の「地稽古では、背に円座を背負い、あるいは頭にざるをかぶり、真剣とは逆に短い棒を持って前屈姿勢、ただひたすら相手に背を打たせる事にて気力を練り、相手の足先により、相手の前後左右を見極める事が大事」というのは稽古だからいいが、この稽古法がなぜ、京八流の実戦技に転化されてしまったのだろうか。信じられないほどデタラメな説明である。

P.25
「警視流の二本目に京八流の流れである鞍馬流の「変化」を採用していることからみて、確かに後世に伝わり健在であったことが伺える。」

論評
著者は本当に京八流が世に存在し、それが連綿と鞍馬流につながっているように述べているが、伝説も史実もわからないほどレベルが低い認識である。
by japanbujutsu | 2014-03-29 11:52 | 武術論考の部屋 Study

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