無双直伝楊心輭殺流の鉄刀
楊心流柔術の分派に無双直伝楊心輭殺流という流儀があり、楊心流と同じく肥前に伝承された。
この流儀には楊心流に存在しなかったさまざまな付加伝があるが、今回紹介する「鉄刀」もその一つ。
鈎無し十手と同じ道具ではあるが、手貫の紐が柄尻ではなく、柄の把部に穴を穿って通しているところに特徴がある。
この伝書にはその道具が図入りで詳細に書かれているため、製作することが可能である。
全体の長さは「柄を握り曲地(曲池)まで」とある。
曲池というのは肘のツボであるから、概ね40㎝ほどである。
緒穴に通す緒は、七寸五分で丸打ち、色は白と紫を用いて打ち分ける(結様口伝)とある。
口径は六角で先を細くする。
このように道具一つにしても、細かな規定があるのが古流の世界である。
世界に誇る日本文化として正しく後世に伝える責務がある。