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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

再考 古流武術に宗家はない

再考 古流武術に宗家はない


武術に宗家がない(あり得ない)ことは、機会がある毎に力説してしているが、未だに古流の世界には「自称宗家」が蔓延っている。全日本古武道協会(古武道の歴史・本質をまったく把握していない)がそれを是正しないのだからどうしようもない。

江戸時代、実質的に宗家制度を敷いていた流儀は、筆者の知る限りでは江戸に稽古場を構えていた天神真楊流柔術、森戸系浅山一伝流武術、それに北辰一刀流兵法の三流儀くらいであろう。これらの流儀は参勤交代で江戸に滞在する諸藩の武士に武術を教えたので、一門を統率する必要があった。

江戸で免許皆伝を得て、帰藩してから武術を教えることはできたが、自分で弟子に免許を出すことはできなかったのである。北辰一刀流も関東を中心に全国各地で指南されたが、目録までは各稽古場(現在で言う支部)で発行できても免許は江戸の千葉家に申告する必要があった。

天神真楊流には「家元議定書」があり、免許を得て師範になった者が、弟子を受け入れて指南する場合の規則が詳細に決められていた。当然のことながら、家元すなわち磯宗家にしか免許発行権がなかった。
 森戸系浅山一伝流がもっとも早い時代から宗家制を敷いていたと思われる(現在、森戸系以前に宗家制を敷いていた流儀は確認されていない)。その証左として、各地で確認できる森戸系浅山一伝流の伝書(巻物=巻子本)は装丁・筆跡が皆同じである。

しかし、武術の体質からみて武術流儀に宗家制度は定着せず、天神真楊流柔術では幕末に早くも違反者が続出している。これらの者で磯家にその行為が発覚した場合、即刻その者は破門となり、伝書はすべて没収された。

同じ流儀に複数の道場が存在し、それぞれが異なる師範系の場合、流儀を統率する権利はどこの師範にも存在しない。ましてや流儀名を商標登録するなど言語道断の所業である。 何度も言うように、武術は完全相伝を前提としているので、免許を得た者は独自に弟子を受け入れ、独自に免許を発行する権利を与えられる。諸藩が独立していたために武士の世界では宗家を作ることは実質的に不可能であり、意味のないことであった。

宗家を名乗っても何の利もない。古流はあくまでも「師範」であってほしい。
by japanbujutsu | 2014-07-24 17:56 | 武術論考の部屋 Study

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