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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

趣味にはカネをかける

趣味にはカネをかける

どんな趣味もそれを極めようとするとカネがかかる。
逆に言えば、カネをかけなければ高尚な趣味は成立しない。

まずは道具類。
居合刀を例にとると、入門したての頃は、とにかく抜き納めができればいいと思って2~3万円のものを買う。しかし、初段になるころにはその刀では見栄えがしなくなる。技相応に刀もいいものが欲しくなる。そこで4~5万円のものを購入する。しかし、道場でも古株になってくると、後輩が同じレベルの刀を使っているため、今度は8~10万円の刀が欲しくなる。これは当然の成り行き。
4~5段になるころには、いろいろな大会に出場し、高段者が使っている雅やかな刀に見劣りする自分の刀に飽きてきて、結局古拵えの真剣を入手することになるのである。
筆者は最初に購入した刀が4万5千円。学生時代に影山流を学んだときに購入した。今は門人に貸してある。

稽古用道具では例えば木刀。流儀には江戸時代からの規格が必ずある。こうしたサイズの規定がない流儀や古い道具類が残っていない場合は、戦後の創作武道である可能性もある。
ある流儀の稽古を始めたら、その流儀の道具類を特注して、揃えないといけない。市販の木刀で代用していたり、師範から借りて稽古をしているようでは流儀を学ぶ資格はない。これは肝に銘じてほしい。

そして稽古着や演武用着物。
今では稽古着にもいろいろな種類があって、選択に迷うほど。着物もできれば化繊ではなく正絹を購入するべきである。化繊など江戸時代には存在しないのだから。家紋も最初は刺繍であっても、その次には染め抜きが欲しくなる。

生活に余裕のない者は趣味をもたない。
趣味のない日本人が多いのはエコノミック・アニマルを表彰している現象だろうか。
娯楽と趣味を混同している者がいるが、要するに所詮日本人の余暇に対する意識はその程度なのである。
娯楽は遊び、すなわちそのときどきを楽しむだけで、その先に目的・目標がない。趣味は精神生活を高揚させるために行うもので、文化的要素を伴い、ゲーム性がない。

今の多くの日本人は長い修行を要する稽古事にまったく興味を示さない。即席で遊べるものしか手を出さないので、人間形成などという言葉にはほど遠い低次元の世界。
今やヨーロッパ人こそが、長い修行を要する日本の伝統文化に興味を示している。即席で仕上がるモノには価値を見いだせないからである。

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写真は念流の稽古の様子。面・小手・袋撓、すべて流儀のオリジナルである。古流はこうでなければダメ。
by japanbujutsu | 2014-07-26 17:09 | 武術論考の部屋 Study

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