振興社金鷹拳の系譜
金鷹拳の開祖は福建省詔安出身の劉明善(劉炮)である。
清朝の道光八年(1828)に台湾へ渡り、同十一年、雲林縣西螺広興庄に移住して、西螺七嵌の廖一族に儒学と武術を教えた。
劉は福建省の莆田少林寺で修行をしたと伝えられているが、金鷹拳が大陸に伝承されていた記録はない。台湾で劉によって教授された金鷹拳は廖良善から蔡秋風へ、さらに呉幸から陳炎順へと伝えられ、現在会長が六世総教練を継いでいる。
開祖 劉明善 Liú Mingshàn
二代 廖良善 Liào Liàngshàn
三代 蔡秋風 Cài Qiūfēng
四代 呉 幸 Wú Xing
五代 陳炎順 Chén Yánshù
六代 小佐野淳 Osano Jun
筆者は陳炎順師父に約二十年師事し、同時に林茂南老師から拳法を、劉國良老師から拳法・兵器・鼓楽を、饒文正・洪春林老師から拳法・兵器・舞獅を、鄭銅鐘老師から舞獅を学んだ。
金鷹拳は団体演練が主眼なので、これら四大部門を残さず伝えなければ、振興社の武術を学んだことにはならない。拳法と兵器のみという考えは北派拳法の慣習であり、個人の修行を重んじる門派の考えである。台湾南部に伝えられている拳法は、中国華南の拳法なので、文化的な思想が北派とは大きく異なる。