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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

稽古帯のこと The belt for bujutsu training wear.

稽古帯のこと

柔術の稽古着に専用の帯ができたのはいつ頃だろうか、定説はないが、資料によれば幕末の乱取稽古に帯が見られるので、江戸中期から後期にかけてのことであると推察される。
信州上田藩校では稽古熱心の者に年末の報償として稽古帯が出されている。

もちろん当時は稽古帯の色による階級区分など存在しない。黒帯は明治時代における嘉納治五郎の発案によるものである。古今東西、黒は凶、悪の色だから、上級者の色が黒などという発想は近世には存在しない。近世における最高位の色は紫、そして白である。

その稽古帯であるが、今の柔道のような両端が垂れ下がった締め方は当然近世には存在しない。近世の締め方は蝶ネクタイに似た方法である。だから、今のように幅が狭くて厚い帯はなかった。

明治中期に発行された『武道図解秘訣』に掲載されている乱取の図では、結び目が現れていない(下図参照)。

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そして、現在の結び方になった講道館柔道初期の結び目を見ても、帯の両端は精々10㎝ほどしかなく、もちろん垂れ下がるようなことはなかった。最近の空手の大会を見ると、帯の端が膝の辺りまで垂れていて、その無様なスタイルに笑ってしまうほどである。

それでは、袴を着けたときに稽古帯はどう締めるのが正しい方法なのか。江戸時代の柔術の稽古図を見ると、袴を着けた場合には稽古帯をつけていないことがわかる(下図参照)。

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袴の上から稽古帯を締める慣習は明治時代に確認できる。しかし、古流なので柔道用の帯ではなく、丈夫な綿織物の幅の狭い柔らかい帯だと思われる(下図参照)。

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ところが、合気道では柔道と同じように帯を締め、その上から袴を着けるので、腹の前がボッコリと盛り上がってしまっている。真に見苦しい姿である。袴を着けた場合の下帯の結び目は後ろ腰に回すのが定則であるが、結び目が大きすぎるため腰に回すことができないのであろう。

古流柔術では稽古帯を袴の上に着ける。
なお、合気道のように初心者には袴を許さず、有段者だけが着けるというような、稽古着における差別化は日本の伝統武術には存在しない。

柔道スタイルは武士の正装から紋付き袴を脱ぎ去った、つまり襦袢と股引だけの真にはしたない姿なのである。
by japanbujutsu | 2014-09-02 17:01 | 武術論考の部屋 Study

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