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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

公用の刀と武術稽古用の刀

公用の刀と武術稽古用の刀

現在、居合や剣術を学んでいる人たちは、武士が公用で登場するときに差した大小二本差しと、彼らが稽古場で武術の稽古に使用した刀が同じものではなかったということを知っているだろうか。

土佐英信流では二尺三寸一分の刃渡りを定寸とする、というが、これが本当に幕府の規制を受けてそうなったのかは大いに疑問である。
なぜならば、武術の稽古で使用する刀は、武家諸法度の規制外だったからである。
武術で稽古に使用する刀は、各流儀で規定されているものをそのまま使うことが許されていた。
これは武術の稽古が稽古場内のみで行われているからであり、外出の際にはもちろんこれを差して歩くことはしない。

江戸時代には何度も武士の公用刀の長さが改定された。
当初二尺三寸台だったのが次第に短くなり、二尺二寸台まで落ちた。現在に残る古刀や新刀の長さに二尺二寸台が圧倒的に多いのはこのためである。

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体格の良いわれわれ現代人がこれを差すとまことに様にならない。

しかし、たとえば居合の流儀では林崎夢想流では三尺三寸刀を使い、この流れを汲んだ関口流や田宮流も当初は皆この長さを墨守した。
これらの流派の刀が次第に短く変容していったのは、幕府による統制を受けたからではなく、武術にさらなる実用性を求めたからである。
しかし、新庄藩や津軽藩、仙台藩に伝承した林崎夢想流では江戸期を通じて一度も流祖が規定した三尺三寸を変えることはなかった。

公用では常に大小二刀を差すのが義務であったが、もちろん武術の稽古ではどちらか一つあればよかった。
つまり剣術、居合においては大刀を、小太刀の稽古においては小刀だけ使えばいいわけである。

二刀を稽古で使うのは、流儀の中に「二刀」の技法がある場合に限られていた。
by japanbujutsu | 2014-12-10 17:23 | 武術論考の部屋 Study

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