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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

明治期までの武術稽古は角帯を用いなかったということ

明治期までの武術稽古は角帯を用いなかったということ

明治期までの武術の稽古においては、上衣を固定するための角帯を用いていなかった。
もちろん、袴を外して着流しで稽古をするときには腰帯をしたが、袴を着用する場合には袴帯(袴紐)があるので、これで十分だったようだ。
居合の稽古でさえも角帯は締めていない。
現在の居合の稽古においては(特に全国組織=全剣連、全日居連などに加盟する団体)100人が100人、角帯を締めている。
そしてそれが「正しい」と教えられることに何の疑問を持つ者もいない。
だれもがしなければいけない絶対的条件だと思っている。
第一、角帯を締めなければ、差した刀がダラリとして不安定になるではないかと。

しかし、その考えがそもそも違っている。
どうやら、その鞘がダラリと不安定になることを昔の居合の稽古ではまったく問題としていなかったことがわかる。
筆者が、武術の稽古は武士の日常のスタイルで考えたらダメだという所以もそこにある。
正しい武術の在り方を研究、継承していこうとするなら、固定観念という恐ろしいマインドコントロールに縛られないようにしなくてはならない。

現代人は私説を論じるとすぐに証拠は何だというから、ここにも一つ証拠を挙げておく。
明治23年に発行された『武道図解秘訣』は、公刊された武術の技法解説書としては嚆矢の一つである。
ここに掲載されている居合の図を見てみよう。
まず、下の図では明らかに角帯はしていないことがわかる。下緒でさえも外している。影山流抜剣のさまざまな所作を描いた『剣法図』の絵図も同様のスタイルであるから江戸時代も同じであったことがわかる。

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そして、次の図を見ると、袴紐の締め方も今とは違うことがわかる。
それは袴の腰板を固定するために、袴紐は袴の上で廻して縛るようにしていることである。

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結果、鞘はかなり自由に動くことになる。
否、居合の稽古において鞘が自由に動くことはむしろ重要なことなのではなかったのか。
このあたりの内容については、日本武芸新聞 『水月』 で詳細に述べてみたいと思う。
by japanbujutsu | 2014-12-15 17:56 | 武術論考の部屋 Study

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