人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

japanbujut.exblog.jp

本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

柳生志限流と八極拳

柳生志限流と八極拳

柳生志限流は一応敵を置くが、ほとんど敵の反撃を無視して(敵も実際には反撃できない)拳を打ち、振り回し、蹴り飛ばす。時に敵から離れ、一人で腕を振りながら敵に近づいていく。敵に当身をくれながら、敵の周りを一周する形もある。前後左右の四人捕りも拳を振り回して一人ずつ倒していく。こんな柔術は日本のどこを探しても存在しない。

柳生志限流と八極拳_b0287744_20445817.jpg

八極拳の対練(組手)は右半身になったり左半身になったりして身体と身体をぶつけ合ったり、時に逆手を掛けたりするが、対練ではスピードがなくなる欠点がある。

柳生志限流の拳振りは、専ら左前の半身による遠心力を使い、凄まじい勢いでブンブンと振り回す。両者の共通点は専ら一重身で敵対することであり、他の拳法のように正面体を取らない。また敵への当身の入れ方や力の発し方、抜き方など柳生志限流と八極拳の共通点はいろいろある。この体動(簡単に言うと武者震いと遠心力から生まれる瞬発力)は斎田伝の柳生心眼流にも見られ、また島津師範の心眼流にも見られるが、星国雄系や佐藤金兵衛系には見られない。

柳生志限流と八極拳_b0287744_20463158.jpg
                              柳生志限流柔拳法

柳生志限流と八極拳_b0287744_2046523.jpg
                                 八極拳対打

柳生志限流では星国雄系と同じ親指を中に入れた拳を用いるが、稽古を見るとあまり拘りはなく、開手が非常に多い。この点は八極拳よりもむしろ八極拳とともに伝えられた劈挂拳の使用法に近いものがある。劈挂拳の分解組手を柳生志限流の七本の取り口で演じたら、そっくりになるかもしれない。柳生志限流では劈挂拳と同じような腕を上から前、下へと廻す(つまりクロールの方向)技法も多用する。この腕を振りながら入身していく感覚が劈挂拳にそっくりなのである。また、志限流の蹴りは金鷹拳と同じ方法によるバランスの取り方を用いる。

柳生心眼流の拳法を鎧を着て演じたり、また、初心者に説く掛け声を「印可奥伝」の教えであると、何もこの武術のことを理解していない人たちもいる。

柳生志限流の拳法伝を見るとき、鈴木兵吉の流れを汲む斎田伝との技法の共通点が散見されるが、鈴木と高橋市内との関係の解明を急がなければならない。ただし、斎田伝の拳法伝は「切」までの二十八箇条なのに対し、柳生志限流の拳法伝は初学の伝だけでも五十六箇条あり、皆伝までには柔術の形も含めて四百箇条がある。
by japanbujutsu | 2015-03-30 17:57 | 柳生志限流柔拳法 Shigen Ryū

by japanbujutsu