居合における抜刀後の鞘の処置
渋川流居合の絵目録を見ていて、ふと気付いたことがある。
図に描かれている鞘の位置が背中になっている。
これは図のように刀が長い場合、抜いた後の鞘の位置が左腰のままでは非常に扱いにくいからであろう。
実際に刀身二尺八寸以上、柄一尺以上の刀を抜いたことがあれば分かると思うが、最後に切り落とすとき、鞘が非常に邪魔になる。
筆者が関口流を長寸刀で稽古するときは、抜いた瞬間に鞘を腹前に引き出して、切り下ろしたときに鞘が両腕の間にくるようにしている。
この鞘戻しをしないと鐺が激しく床を打つからである。
しかし、この図を見ると、あきらかに鞘は後ろ腰に廻っていることがわかる。
すると、先日もここで述べたとおり、腰帯はしないのが正しいのではなかろうか。
現在、民弥流で同様の所作を行っているが、他流なので言及しない。
先入観を捨て、古の教えを探究することも必要である。