ブログトップ

国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

japanbujut.exblog.jp

本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

鎧武者の戦闘法と武術

鎧武者の戦闘法と武術

一部の人たちの誤った武術認識が正しい武術史を歪曲させてしまい、不合理な解釈を蔓延させている。
今回は戦国時代の「戦闘術(武術ではない)」について少し触れてみたい。

戦国時代の戦法はいずれも甲冑を着用した集団戦であり、その末期には騎馬が銃砲に破れたことにより、時代は急変し、まもなく江戸の長い泰平期を迎えることになる。

戦国時代の戦法は銃砲・弓を除く地上戦では槍が最も有効であり、続いて薙刀となる。
白兵戦が主体になってくると、そこに人間同士がぶつかる接近戦が始まり最終的には剣や組み討ちが勝負を決するようになる。しかし、そこに見られる闘いの技術は力と作戦による所大であり、武器の細かな技法など入り込む余地はない。口伝も秘伝も集団戦にはまったく役をしない。

江戸時代以降の柔術を説明するのに甲冑武者を例に出したり、江戸時代の流儀剣術を演じるのに甲冑を着用するなど、時代錯誤も甚だしいのである。

甲冑を着たその時点でもはや柔術も剣術もない。あるのは戦闘術であり集団歩兵戦術である。
江戸の平和な町中で鎧武者が行き違うことなど100%あり得ないのだから。

もし、武術の稽古で鎧を着て演じるとしたら、それは武術ではなく太刀による「斬り合い」の訓練をしているにすぎない。そして使う刀は打刀ではなく、刃を下に向けて吊る「太刀」である。

流儀武術の勃興は戦国時代に始まるが、それは甲冑戦闘とは別の次元で成立したものであり、教義が確立するのは江戸時代になってからである。竹内流も戦国時代に端を発するが、その内容は短刀を以て演じる捕手術であり、鎧で闘う戦闘術とはまったく異なる次元で萌芽してくるのである。

ここに江戸時代に描かれた無双直伝流和の絵目録があり、鎧武者を描いているが、太刀の穿き方も正しく、演じている内容も平服の柔術とは異なっている。

b0287744_22351688.jpg

これは心得として組み討ちの稽古を採り入れたのに過ぎなく、平時は例外なく平服で護身柔術を稽古していたのである。

平服の武術形を甲冑を着て演じることの不自然さに良識を以て気付いてほしいと思う。
by japanbujutsu | 2015-05-16 17:08 | 武術論考の部屋 Study

by japanbujutsu