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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

研究家?

研究家?

筆者のことを「研究家」と呼ぶ人たちがいる。
もちろん武術(古武道)の分野での研究家という意味で。
しかし、結論からいうと筆者は武術の研究家ではない。
なぜならば、武術の研究をプロ(職業)としているわけではないからである。
あくまでも趣味の範疇であり、自分自身の生涯学習の対象にしているに過ぎない。
だから、武術の学究的な研究など本来の筆者にはまったく肌に合わないのである。
宮本武蔵の研究など、いろいろな本に目を通すだけで眩暈がしてくるし、絶対にその世界に足を踏み入れないことも自覚もしている。
ところがである。
筆者のような浅学非才な者が趣味の範疇でしている武術の歴史調査や有識故実、伝書読解など、武術を修行している者なら本来手がけなければならないことを、「日本の古武道家たち」は全くやろうとしないのである。
何度も言うように、武術は日本の武士文化遺産だから、今の世に流儀の歴史なり文化なりをまとめておかなければ、未来にそれらを正しく伝えることができなくなる。
そうなれば武術は単なる格技に堕落し、格調高い武士の教養が、その抜け殻だけ一人歩きして、とんでもない浅薄なチャンバラになりかねないのである。
そうならないためにも、われわれはもっと武術の実技を稽古するとともに、本来流儀が伝えてきたさまざまな所産を同時に受け継いでいかなければならないのである。
筆者は一介の武術の相伝人に過ぎないのだけれど、もしも、周囲から「研究家」などとよばれるならば、それはそれで筆者のしている趣味が研究のレベルとして受け入れられていることであり、こんなに光栄なことはないのである。
しかし、もしもそうであるとするならば、いかに我が国の武術の研究が低次元を彷徨っているかということが、あからさまに実証されているわけであり、この日本にはろくな「研究家」がいないということの証明にもなってしまう。
古武道を学ぶ皆さんには、もっともっと武術の歴史・文化・思想を勉強してほしいと願う。
そうしなければ、必ずや日本の武術は半世紀後にはすべて海外に持ち出されてしまうことになるだろう。
しかし、それだけは絶対に阻止しなければならない。

古の武芸者たちは、強くなればなるほど、技術が上がれば上がるほど、有名になればなるほど、文化的・文学的活動にも精を出している。
宮本武蔵の『五輪書』、柳生宗矩の『兵法家伝書』、渋川時英の『薫風雑話』、井澤蟠龍軒の『武士訓』、平山行蔵の『武芸十八般略説』など、職業執筆家ではない彼らが、何故にそのような優れた著作を遺すことができたのか、もう一度考えるべきであろう。
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by japanbujutsu | 2015-05-22 17:04 | 武術論考の部屋 Study

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