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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

居合刀について考える

居合刀について考える

武術を長年にわたって嗜んでいると、さまざまな疑問、疑念が浮かんでくる。
以前から感じていた疑問の一つに「居合刀」がある。
居合刀の何が疑問かというと、刀身や拵え、つまり居合刀の姿そのものについてである。
江戸時代に居合の稽古に使ったという刀は何の装飾もない、極めてシンプルなスタイルをしている。

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             影山流で使う居合刀 装飾は何もない 下緒は鞘に巻き付けてある

以前にも述べたが、居合で使う刀は、武士が日常帯刀している大小とは、根本的に違うのである。
これは非常に重要なこと。
現代の居合人の刀はどうだろう。
大会で刀を見ると、鍔から鞘から下緒に至るまで、それはそれは豪華であり、おまけに袴まで競争の類に入っている感がある。
今の人たちが居合で使っている刀の拵えは、明らかに武士が登城する際に差している大小の「大」なのである。結論を言うと、要するにその刀は居合用ではないのだ。

本来、居合用の刀は何の装飾もなく、実用本位であり、刀身には樋も波紋もなく、刃もない(刃引き)。

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               窪田清音が使った田宮流の居合刀 刃渡り三尺三寸 総重量8.8kg

稽古では紋付きは着ないし、公用の大小も差さない。
手差しの稽古着に「居合用の刀」である。

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                   福沢諭吉が立身新流の稽古に使った居合刀の拵

技や形を継承することだけが武術の継承ではない。
肝心の刀や稽古着、形以外のさまざまな所作、道場での作法、自流の歴史や遺産、学ばなければならないことは山ほどある。
by japanbujutsu | 2015-06-10 17:10 | 武術論考の部屋 Study

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