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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

甲陽流(武田流)武学之制 2

甲陽流(武田流)武学之制 2

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然れは唯利説計にして、出家山伏抔の様に九字難有とて、表相のみにて其然に記たるにはあらす。九字、則卍字に進退の表裏有り。則懸中待、待中懸、或は進中退、退中進共云い必則進退に極る所、前の一字也。前は進むと読む。すすむは唯偏に先へ計掛て、行事を云にあらす。其進むと云は、武道の心徒にして、忠節忠功之一心毫厘も違所無く、身心静成る所すすむ也。子細は剣術を能くする者は手足の自由する。是を進むに仮令たり。をのつから下手は心はすすめとも、其事未熟故、身躰の自由する事不成か如し少も疑心有て進事あらんや。


懸中待、待中懸の教えは一刀流の中に出てくるので、剣道の昇段筆記試験にもよく出題される。

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懸中待
敵に向かい、激しく懸からなければ勝機はない。ところが攻めることばかりに心が囚われ、懸かる気(陽の気)ばかりが働き、守りの気(陰の気)を欠くと、敵が急変したとき、それに応じる備えがなく、敗れる原因になる。よって攻め進み懸かる際にも、敵の動きを感じ、その急変に即応する心構えを失ってはならない。そこで常に陽に発するときにも陰の意を蓄えてゆかねばならない。

待中懸
身を守るには、先ず守りを固めなければならない。しかして守り固めて待ち、踏ん張り防ぐことばかりでは勝ち目がない。敵の攻めてくるのを待つばかりでなく、その勢いの強弱を測り、打ち懸かるところがなくてはならない。待つばかりで攻める陽の気が欠けていれば、敵に先んじられ、その隙に乗ずることができない。常に敵の動静を見定め、待つ中にも懸かることを忘れず、一瞬の勝機をのがさぬようにしなければならない。

懸待一致
懸かりの太刀を正しく使うと、そのまま待の太刀となって敵の変化に即応でき、また待の太刀が正しければそのままいつでも懸の働きをし、勝機はその中にある。それは懸の後に待がくるのではなく、待の後に懸がくるのでもない、懸待一如となっているのである。

いわゆる攻防の一致を説いているわけで、これは日本刀という武器が、一つで攻めと守りの二役を担う故の事理となっている。よくよく研究されたい。
by japanbujutsu | 2015-07-15 17:41 | 秘伝書の部屋 Secret densho

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