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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

楊心流薙刀

楊心流薙刀


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楊心流薙刀について公開されている流儀の記述はつぎようなものである。

元和六年 (1620) 宗茂が旧領の筑後国柳河藩に転封されると楊心流は柳河藩の御留流とされ、中でも薙刀術は殿中に仕える女中の護衛武術とされたとする。
その継承は、一子相伝の流派が多くある中、実力によるものとし、薙刀を中心に継承されてきた。
その伝統を受け継ぎ、演武においては振り袖着物姿に襷掛けで白足袋を着用し、襷や鉢巻きは包帯に代用するため、布を縁取りしないものを使用している。


もう、滅茶苦茶な記述である。
どうすればこのように杜撰なことが書けるのか不思議ですらある。

1 元和六年に楊心流が柳河藩の御留流となる?
まず江戸期の武術に御留流などというものが存在した記録は皆無である。
次に、楊心流の実質的な祖である大江専兵衛は寛文十年(1670)に伝書を発行しており、1620年に流儀がすでに他藩に定着している可能性はほとんどない。しかも当時は楊心流に薙刀はなかった。

2 殿中に仕える女中の護衛武術?
幕末の風雲急を告げる時代と勘違いをしているのではないだろうか。

3 その継承は、一子相伝の流派が多くある中、実力によるものとし、薙刀を中心に継承されてきた?
実力のある女中が流儀を継承したのであろうか。
武術史をもっと真剣に学んだ方がよい。
楊心流の江戸時代における相伝の中で、薙刀が中心となったことなど一度もない。

4 演武においては振り袖着物姿に襷掛けで白足袋を着用し?
江戸時代に柳河藩でこのような演武が実際に行われた記録があったらぜひとも拝見したいものである。

まことに残念なことに、本来は男薙刀であった楊心流薙刀に現在は男使いが残っていない。

なお、当たり前の常識であるが、日本の古流武術には宗家制度はない。
楊心流もしかりである。
女性に宗家が移ったとしているが、流儀を継承したのが女性であるだけで、それを宗家と勘違いしてはいけない。



 
by japanbujutsu | 2015-10-18 17:51 | 秘伝書の部屋 Secret densho

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