手内剣の試技 10/30
手内剣がどのような旋回をしながら標的に到達するか。
これを知るためには薄い平打ちの棒手内剣で試技する必要がある。
これは根岸流や香取神道流、あるいは現今白井流と称している棒手裏剣では実証できない。
これらの流儀では打剣において手内剣が旋回して飛んでいても問題ないからである。
しかし、これが短刀型手内剣になると、旋回はある意味で失敗であり、標的に当たるまで旋回の程度がわからないという難点がある。
それでは短刀型を初めとする平型手内剣では、どのようにすれば旋回を克服できるのか。
それを知るためには、やや長めの、そしてかなり薄い平型手内剣を自作して試技してみるしか方法はない。
そこでさっそくその試技用の手内剣を二本試作して打ってみた。
いずれも長さ、厚さ、重さを変えてある。
これは祭礼用の古い刀を分解して製作した。
だからもちろん鉄製である。
これで風の抵抗による手内剣の「踊り」の様子が実検できる。
根岸流などのような通常の手の内で打つと、180度旋回して、刃が上を向く。
円明流の打様で打つと、標的との角度調整に苦渋する。
しかし、今回の試技で手内剣の特性がいろいろと見えてきた。
そろそろ山へ籠もって数打ちでもしてみようと思う。
(完)