擲標
中国の武術書 『剣経』 に「擲標」という兵器が掲載され、それが日本に流れて国風化された。
擲は投げるという意味、標は日本の手裏剣と同じ武器。
中国ではこれに縄を付けた縄標が有名である。
さて、この伝書は以前にも当ブログで紹介したが、今回は擲標に的を絞って見てみたい。
標を擲げるのだから、武技としてはそのまま手裏剣と同じものとなる。
しかし、これがどのように和風化していったのか大いに疑問である。
伝書には擲標の下に 「奪気乗隙」 とある。
正に気を奪い、隙に乗じて攻めるのである。
ということはこの標は決め技ではなく、脅し用の道具ということになろうか。
伝書にはさらに、
「細竹の柄鉄の鉾前重後軽前粗後細」とあり、竹製の柄があったことがわかる。
それ以上の詳細は伝書からは知る由もない。
(完)