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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

師範の自覚と役目

師範の自覚と役目

先日の全日本古武道演武大会の様子がユーチューブで視聴できる。
あまりにも無神経過ぎないだろうか。
特に柔術。
いい加減に師範が弟子を投げ飛ばすのは止めてほしい。
師範は弟子の技術を引き出す役目。
受けに徹底しなければ駄目。
師範が弟子を投げたらそれは 「いじめ・暴力」 だといつも言っているのに、聞く耳持たずで本当に困ったものだ。
本家の日本がこんな悪態を晒しているから、外国などはそれに拍車をかけて酷くなっている。
武術の演武は 「打(攻撃側)」 すなわちやられ役を師範が務め、 「仕(防御側)」 すなわち勝方を弟子が務めるのが古来からの掟。
こんな常識も知らないのでは師範は失格である。
昭和の時代までまったく伝承の実体のなかった流派が堂々と演武をしているくらいだから、もう滅茶苦茶である。

さて、その日本の古流柔術界。
演武でまったく逆のことをやっている。
すなわち、弟子の時代には師範に投げ飛ばされ、自分が師範になったら弟子を投げ飛ばす。
こんなものは武術ではないということになぜ気付かないのだろうか。
あまりにも武術に対する認識が低すぎる。
自分が弟子のときには師範に導かれて捕りをやらせていただき、自分が師範になったら弟子を導くために受けを取るのが古来からの習わし。
諸悪の根源は合気道ではなかろうか。
開祖の植芝をはじめ、その一門の師範も植芝に倣い、弟子を次から次へとバッタバッタと投げ飛ばす。
武術は時代劇の殺陣ではないことをいい加減にわかってほしい。
ましてや武術は曲芸でもまやかしでもない。
敵が自分から飛んで行くことなどあり得ない。
古流が合気道の真似に陥ったらお終いである。
弱い者、不利な条件にある者が勝つのが武術。
強い者、有利な条件にある者が勝つのは暴力。
十手や鎖鎌が太刀に向かっていき、いとも簡単に太刀にやっつけられてしまったら、それは常識。
その常識を覆すのが武術。
いい加減に目覚めてほしい。

下の写真は眞蔭流柔術第五代師範菅野久とその高弟第六代山田実現師範による演武 (日本古武道振興会創立60周年記念日本古武道大会記念誌より)。
先代菅野師範が受を取っている。
実に素晴らしい。

師範の自覚と役目_b0287744_10492376.jpg






(完)
by japanbujutsu | 2017-04-27 17:19 | 武術論考の部屋 Study

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