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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

婦女子と武術

婦女子と薙刀

江戸時代から婦女子の武術として薙刀・鎖鎌・懐剣が行われていた。
しかし、婦女子は学ぶことはできたが、師範にはなれず、道場も持てなかった。
明治になると鎖鎌と懐剣はすっかり廃れてしまっていつのまにか消えてしまった。

画像は薙刀を操る遊女宮城野と鎖鎌を操る鄙処女信夫の姉妹(『本朝武芸百人一首』)

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一方、薙刀は明治末期から次第に女学校で指導がなされるようになり、昭和の戦前にあっては軍国主義下の日本にあってそれは全盛期を迎えた。

本来、流儀武術、総合武術の一課として、武士に相伝されてきた薙刀であったが、江戸時代にはすでにどの流派も悉く婦女子用の所作を創出しており、男薙刀とは別にこれを伝えた。

天道流と直心影流は言うに及ばず、
肥後の楊心流薙刀は星野家から分派して明治以降に女性に稽古され、現在は女性の師範が指南している。
香取神道流では昭和になると薙刀を女性に指導した。
念流でも昭和になると女性が稽古している。
戸田派武甲流は女性が相伝している。
津軽藩の直元流では白鳥家から笹森家に相伝が遷り、現在はわずかに女性が学んでいる。
我が穴澤流も例外ではなく、新庄藩士松坂次郎左衛門は女性に指導し、わが恩師五十嵐きぬが相伝した。
もう一つのわが柳剛流は飛違を多用するので現在、男性しか稽古していないが、要望があれば女性に指導することもやぶさかではない。

多くの流儀でこうした薙刀を現在、男性が学ばないのは大変に遺憾であるが、天道流・直心影流・楊心流・穴澤流などは婦女子用の形しか残っておらず、もはや男性が学ぶ機会は失われている。
男性が薙刀を遣う場合、その長さは九尺とされ、女性用の薙刀は七尺とされている。
これは流派を問わず、普遍的にみられる古来からの伝統である。





(完)
by japanbujutsu | 2017-11-22 20:43 | 武術論考の部屋 Study

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