山梨近県の武術
大学を卒業した筆者は、山梨県およびその近県に江戸時代から伝わる古武道はないものか、と静岡県や長野県まで含めて徹底的に調べたことがあった。
その結果、山梨県と長野県、それに静岡県は全滅であることが判明した。
静岡県には、筆者が相伝している力信流が明治時代から伝わり、他に水鴎流、柳生流、香取神道流があったが、いずれも近代になって入った流儀であった。
長野県には熊本の二天一流を相伝している筆者の恩師荒関がおり、また、長野市には広島で佐分利流を学んだ島田氏が当時は健在だった。
しかし、松代や松本などの大藩の武術は悉く絶伝していた。
現在、信州の旧藩武術を伝承しているという道場(流派)を数カ所(数流派)知っているが、すべてその来歴はねつ造である。
それを知ってか知らぬか、一部は公的団体に加盟して演武をしているのだから、最早、その団体は無知無教養の烏合の衆と化している。
いつになったら日本の武術界は浄化されるのだろうか。
そんな望みが叶うことは1%の可能性より低い。
ヨーロッパでは、どこの国でも黒い空手着に、黒い地下足袋を履いた「忍者」が畳の上を飛び交っている。
全部、日本人が教えたらしい。
(完)