破軍星の大事
無双直伝流和極意二十四ヶ條の一に 「破軍星の大事」 がある。
幸い筆者はその絵目録を所有しているので、他の同流資料との比較分析ができる。
しかし、この破軍星の大事に関しては 「時四つさかい月影」 とあるだけで、何も語ろうとはしない。
破軍星は北斗七星の柄先の星をさす中国名である。
中国では輔星 (宰相の星) として注目された。
破軍星を剣先に見立てて、その方向に向って戦うものは勝ち、逆らって戦うものは負けるとして吉凶を占った。剣先星とも呼び、武将の信仰を集めた。
北斗七星の大半は日本では日周運動によって地平線下に沈むことがない。
陰陽道では、その星の指し示す方角を万事に不吉として忌んだ。
中世には武士の守護神として敬われ、千葉氏、相馬氏、大内氏など地方の豪族たちによって信仰されたが、これは破軍星を弓箭の神として崇拝されたことによる。
台湾振興社武術においても七星信仰は重要な位置づけにある。
(完)