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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

カテゴリ:秘伝書の部屋 Secret densho( 138 )

天神真楊流柔術 誘活

手元に天神真楊流柔術で最初に授けられるもっとも基本的な活法である 「誘活」 の切紙伝書がある。

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これは各階梯の相伝巻 (天・地・人・陰・陽) とは別に授けられる。

その活法の内容は広く知られているので、それをここに述べても仕方がない。

今回はここに紹介する伝書により、これまで語られてきた天神真楊流の歴史が塗り替えられる可能性があることを示しておく。

すなわち、この伝書が出されたのが天保七年であり、その差出人山本末之丞一心斎は流祖磯又右衛門正足の直門である。

何が問題かというと、磯が楊心流を修行したのは文政年間とされており、さらにその数年後、真之神道流を学んでいることから、それが正しいとすればこの伝書は磯が天神真楊流を開く前か、あるいは開いて直後の差し出しということになる。
磯の文化元年出生説も完全にひっくり返る。

伝書は山本の直筆であるから家元制度もまだ整備されていなかったということだろうか。
免許者の号、柳○斎もまだ見られない。

古流では新しい流派であるのに、まだまだ不明な点が多い。
この流派が研究者に恵まれなかったことが原因の一つだろう。





(完)
by japanbujutsu | 2017-05-25 22:42 | 秘伝書の部屋 Secret densho
諸賢がご存じのように、古来から芸事の伝授においては伝授巻が用いられた。

現在では古流、古武道を称していながら伝授巻を差し出していない流儀が多いという。
もはやそれは古武道ではないと知るべきである。
伝授の証明に伝授巻がないなど、日本の伝統武士文化として失格である。

階級に段位制度を設けるのはかまわないが(当会も海外との相関性を持たせるため採用している)、
元来、武術は他者と資格を競合するものではなく、自己実現のための稽古事である。
段位なるものは己の相対的位置を知るためだけのものであり、流儀の相伝にはまったく関係しない。

海外でもこうした日本の故実を知る師範クラスの者は伝授巻の発行を望むが、普通の稽古人レベルでは関心もないようである。
しかし、それは日本の師範が彼らに本来の正しい古流伝授の在り方を示さなかったための弊害であり、彼らに何ら責任のあることではない。
むしろ日本人で古流を修行していながら伝授巻の発行を望まない者がいるのはどうしたことかと思う。
そんな者は古流の修行は止めた方が良い。

画像は来月修行にやって来るハンガリーのブダペスト支部長に差し出す甲陽水月流柔術の伝授巻。
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(完)
by japanbujutsu | 2017-05-08 17:52 | 秘伝書の部屋 Secret densho
幻の総合武術 河一方流 最終回 杖

河一方流の最終回は杖を紹介する。

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これまた見たことのない杖で、杖尻がラッパ状に広がっており、 「徳利頭」 の名が付いている。
手の滑り止め防止策なのであろう。

一方、杖先にも「帽子入」の名称が付いているが、どのような工夫があるかわからない。
多分、図から判断すると、鉄で覆ってあるのだと思う。





(完)
by japanbujutsu | 2017-04-25 17:15 | 秘伝書の部屋 Secret densho
幻の総合武術 河一方流 ⑫ 長柄鎌と鎖鎌

河一方流はまた道具類も充実している。

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これは長柄鎌であり、かつては霞新流が伝えていたが、現在この道具を伝える流儀を知らない。

そして次はお馴染みの鎖鎌。

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本身に本鎖、そして本分銅で描かれているが、こんな鎖鎌は稽古では使えない。
絵師による故意の描写に違いない。





(つづく)
by japanbujutsu | 2017-04-23 17:06 | 秘伝書の部屋 Secret densho
幻の総合武術 河一方流 ⑪ 大小柄捌

大小柄捌もまた、関口流柔術を代表する技であり、この流儀が少なからず関口流の影響下に成立したことを物語っている。

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画像は、敵が両手で我の大小の柄を掴みに来るのを制する形であるが、さすがにこの後の展開はわからない。

筆者が伝えている古流柔術にはほとんど柄捌きの形はなく、わずかに西法院武安流武者組にあるだけである。

ただ居合の方では力信流や荒木流に柄捌きの形がある。






(つづく)
by japanbujutsu | 2017-04-21 17:52 | 秘伝書の部屋 Secret densho
幻の総合武術 河一方流 ⑩ 小具足

今回は短刀(小太刀)を使った小具足の図を見てみたい。

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対座の居捕において、敵が左手で我の胸襟を掴み、右手の小太刀で斬り込んで来るのを、我はそれを両手で制し、そのまま小太刀の棟を押さえて敵の左腕を切り落とす想定であろう。

木刀ではなく、刃引き刀で演じているのが興味深い。





(つづく)
by japanbujutsu | 2017-04-19 20:33 | 秘伝書の部屋 Secret densho
幻の総合武術 河一方流 ⑨ 二刀小太刀

この図は二刀小太刀による下段の構え。

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兵法天下一二天一流の下段構えは剣先をもう少し上げて構える。
また、天道流の二刀小太刀は刃を前方に向けて手首をやや上げ、剣先を真下に下げる。

だから、この河一方流の二刀小太刀の構えはそのいずれとも異なる。
この小太刀は刃引きであろうが、気になるのは 「鍔がない」 こと。

それにしてもだらしのない着物の着方である。
絵師の画風なのだろうか。




(つづく)
by japanbujutsu | 2017-04-17 17:24 | 秘伝書の部屋 Secret densho
幻の総合武術 河一方流 ⑧ 二人捕

柔術立合の 「両捌 (二人捕) 」。
捕の両側から二人がそれぞれ捕の手首と胸襟を掴む。

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竹内流で有名な取り口であり、竹内流ではこの体勢から捕が前方に回転して両足で受け、すかさず両足で二人の顎を蹴り上げるという変則技となっている。

河一方流ではどのように捕るのだろうか、興味深いところである。

当時の稽古には特別な稽古着というものはなく、平服のまま稽古をする。
当然、発汗するので、稽古後は洗濯をしなければならないから、稽古用の綿着物というのがあったのかもしれない。
骨董市に行くとよく見かけるが、江戸時代の人たちは身体が小さいので、筆者の身体に合うサイズがほとんどない。





(つづく)
by japanbujutsu | 2017-04-11 17:24 | 秘伝書の部屋 Secret densho
幻の総合武術 河一方流 ⑨ 四つ

柔術でも相撲に影響を与えた流儀、相撲の影響を受けた流儀の双方がある。
前者には関口流があり、後者には広島の難波一甫流がある。
そして、この河一方流にも 「四つ」 の想定がある。

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この状態から普通に上手投げや下手投げになれば、それは相撲と同じで少しもおもしろくない。

たとえば、難波一甫流から出た渋川一流にも四つからのさまざまな技法が伝えられており、そこからまた乱取り (意地稽古) ができるようになっている。






(つづく)
by japanbujutsu | 2017-04-09 17:00 | 秘伝書の部屋 Secret densho
幻の総合武術 河一方流 ⑦ 柔術居捕 逆指

これは居捕の 「指折」 という形であるが、古流ではあまり好まれない技である。

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理由は骨折しやすいためである。
しかし、伝書には 「やわらきの術」 と記されており、苦笑せざるを得ない。
なぜか両人は極悪犯罪人のような顔に描かれている。

古流柔術では 「相手を負傷させてはならない」 (神武不殺) という教えがあり、だからこそ無傷で取り押さえる精妙な技術を練磨しなければいけないのである。
相手を傷つけ、殴り倒すのは、下劣なボクシングやフルコンタクトの空手であり、そんなかつての奴隷階級が担い手となった直接打撃の格闘をまともな常識感覚を持つ(まともな生活環境にある)人間はやるべきではない。

かつてヨーロッパに指関節柔術10段というのがいて、笑ったことがある。




(つづく)
by japanbujutsu | 2017-04-07 17:22 | 秘伝書の部屋 Secret densho

by japanbujutsu