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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

カテゴリ:秘伝書の部屋 Secret densho( 135 )

幻の総合武術 河一方流 ③ 棒術 薙刀

棒術と薙刀の図も数葉描かれている。
棒術は 「車意」
棒を左肩に掛けた構え。

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薙刀は 「火車」

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いわゆる門構えと称する構えであるが、神道流系の構えとは左右の持ち手が逆であり、真似をしてみたが、この構えからは次の動作に移れないことが判明した。
絵師の描き間違いだろう。

いずれもが打太刀を欠いた一人構えの絵で、これでは形の想定がまったく分からない。





(つづき)
by japanbujutsu | 2017-03-28 17:45 | 秘伝書の部屋 Secret densho
幻の総合武術 河一方流 ② 柄捕

河一方流の二回目は 「柄捕」 を題材にする。
柄捕は大抵の古流柔術にはある。
体系立てている場合もあれば、単発的に入る場合もある。
想定としては敵が鯉口を切る前、切った直後、抜ききった直後の三つがある。

この柄捕が体系立てられている流儀としては関口流系が知られている。
前後左右の敵に対してそれぞれに対処できる工夫が見られる。
河一方流でも体系立ててあり、この形の場合は敵が我の胸襟を左手で取り、右手を柄に掛けた刹那、右手で敵の左手を取り、左手で柄を取るという場面である。

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実はこの捕り方だと次の動作に出ることが困難なのである。
敵の柄手を外した後、刀を腕に当てて、仰向けに倒す技が普遍的ではある。

こうした形 (技) は文化であり、現代の競技武道には存在しない世界である。





(つづく)
by japanbujutsu | 2017-03-24 17:22 | 秘伝書の部屋 Secret densho
幻の総合武術 河一方流 ①

河一方流は、安永年間、河野十郎左衛門敬忠が開創した柔術が主体の流儀である。
明治にはすでに聞かなくなった流儀なので、幕末期当たりに滅びたのだろう。

この流儀が面白い絵目録を残しているので、しばらく見ていくことにしよう。

本日は柔術の中から 「すて身投」。
敵が右手で胸襟を掴んでくるのを捕は右手で我が胸襟を、左手で敵の前帯を掴み、左膝を着く。

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ここまでがこの図に関して説明できる部分である。
果たしてこの体勢からいかにして捨て身投げに入るのかが問題である。
が、実はこの体勢からの捨て身投げは、我が水月塾の制定柔術における基本練習手の中の捨身投がこの体勢から入れるのである。

技法研究はこうした古典からいろいろと学ぶことができる。






(つづく)
by japanbujutsu | 2017-03-22 17:26 | 秘伝書の部屋 Secret densho
伝書の手入れ

伝書には未表装のものも多い。
もちろん軸もない。
裏打ちもしていないので、ときに皺苦茶になっていたりする。
冊子伝書の場合でも四隅が折れ曲がっている場合が多い。
今日は、久しぶりにそれらの伝書にアイロンをかけてやった。

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伝書も皺がなくなり、若返った。

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(完)
by japanbujutsu | 2017-03-08 17:03 | 秘伝書の部屋 Secret densho
流祖直筆の伝書というのは非常に現存数が少ない。
しかし、そこに書かれている内容こそが、その流儀のオリジナルであり、真伝なのである。

ここに真之神道流の祖、山本民左衛門が差し出した直筆の伝書がある。

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しかもそれは流儀の免許に際して差し出される殺活の法の伝書「胴釈之巻」。

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人体図は彩色されている。
免許の直筆も所蔵しているので、これで免許の二巻が揃った。





(完)
by japanbujutsu | 2016-12-25 17:48 | 秘伝書の部屋 Secret densho
婦女子の武術 真中道流懐剣

婦女子が学ぶ代表的な武術に長刀(薙刀)、鎖鎌、懐剣がある。
そのうち、現在でも女性が学んでいるのは薙刀のみであり、鎖鎌と懐剣はほとんど修行者を見ることがない。
大体において、この高度な情報化社会にあって、古武道ほど日本国内に知られていない文化は珍しいのではないだろうか。
10人に訪ねたとして古武道を知る者は1名いればいい方である。
それほど古武道とはマイナーな存在である。
これは文部科学省を筆頭とする日本社会の体制そのものに問題がある。

さてさて、ここでは懐剣について述べないといけない。
当協会の所蔵する伝書に 「真中道流懐剣」 の切紙がある。

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なんと、その授与者は武士(徳末左一郎)であるが、被授者は小河於酉という女性である。
女性が修行した武術の実体についてはまだまだ研究の余地がある。
ちなみに、かつて私論では、女性は武術を学ぶことはできても、指南することはできなかったと指摘していたが、つい最近、女性が武術を指南していた事実を知る機会があった。
いずれ発表したい。

誤りを改めるに憚ることなかれ。



(完)
by japanbujutsu | 2016-12-23 17:12 | 秘伝書の部屋 Secret densho
真一伝流武者組

水月塾の稽古納めに姫路支部長の西躰師範が見えた際、いつものように伝書を持参してくれた。
浅山一伝流に興味があり購入したというその伝書は真一伝流というが、江戸森戸系の流れであることは確かである。

この伝書の価値は、形の覚書であることで、かなり詳細に記述されていることから、ある程度の復元は可能である。

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誤りを恐れずにどんどん復元して、研修してほしいと思う。





(完)
by japanbujutsu | 2016-12-17 17:43 | 秘伝書の部屋 Secret densho
柔術はわが国固有の武術である

江戸時代の柔術の伝書に次のような文がある。

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異邦の書に拳法手搏の文字をここ(日本)にてやわらと訓す。大に非也。拳法手搏は今云捕縛の事也と云へり。此柔術は吾神国の古術混沌の妙術にして(以下略)


拳法の文字を「やわら」と訓ませるのは漢文の用例であり、したがって漢碑文に「やわら」の語を記すときも「柔術」ではなく、この「拳法」の文字をよく使う。
拳法・手搏を捕縛のこと、と解するのは早計であり、これはやはり徒手武術全般を指した言葉であると解するべきである。
しかし、中国の土着武術とわが国の武術は、技法的にまったく異なっており、中国のそれを採り入れた事実はない。
ただ、文化的、思想的な影響を強く受けていることは事実であり、それを混同してはいけない。

柔術も剣術も、そして棒術や居合も、すべてはわが国固有の武術である。

これは極めて常識的なことであるが、武術を始めて間もない人たちのために、敢えて記した次第である。






(完)
by japanbujutsu | 2016-11-30 17:58 | 秘伝書の部屋 Secret densho
不遷流柔術

不遷流柔術には多くの形があったが、現在どれほど残っているのだろうか。

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最近その消息を聞かない。
この流儀の乱取に用いる寝技は筆者が30年以上前に広島で学んだことがあり、水月塾制定形の裏技・変化技に採り入れている。




(完)
by japanbujutsu | 2016-11-20 17:07 | 秘伝書の部屋 Secret densho
同じ伝書を二つ所有する理由

『剣道夢之修行咄』 という伝書を二冊所蔵している。

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普通は 「二冊も必要ないだろう」 と思うだろう。
しかし、自分が関係している流派の場合には 「人に持たせたくない」 という武術家のサガがあり、同じ内容でも発行人や年月日が異なれば、つい購入してしまう。

今回紹介する 『剣道夢之修行咄』 という伝書は、師と弟子による問答書であり、それこそ内容を見るだけならば二冊は必要ないのかもしれない。
しかし、この伝書を二冊持つことのメリットは、まず、伝書が崩し字のため、読解の必要性から二冊あった方が進めやすいという点。
そしてもう一つは、最後のページに一冊は流儀名を記していないが、もう一冊にははっきりと「円明武蔵流」と記されている。

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内容から二刀流系の伝書であることは判明するが、流儀名のない伝書では、どの二刀流なのかはっきりしない。
しかも、伝書の本文では「二刀一流」の表記が出てくる。

これらの詳細については 『水月』 で論考する予定である。





(完)
by japanbujutsu | 2016-09-03 17:21 | 秘伝書の部屋 Secret densho

by japanbujutsu