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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

カテゴリ:技法研究の部屋 Skill ( 131 )

門を破るー入身ー

敵が長柄の道具を持っている場合、その道具の操作をさせないためには我が入身をする必要がある。

新陰流の極意「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」とはそのことを説いている。
あるいは武術では「勝つための極意は相打ちの覚悟にあり」とも説いている。
これらはすべて入身の大事を説いている。

柔術でも敵に第二の攻撃をさせないために、敵が第一の攻撃を仕掛けてきたとき、身を捨てる覚悟で敵の下に入身するのを極意としている。

しかし、その入身にもしっかりとそれを遂行するための、「敵の門を破る口伝」が各流派にある。
敵はその得物によって、あるいは自ら技を仕掛けることによって、自らの門を護っているのである。
だからこそ、我はその門を突破する技術を必要とする。

それが「入身」。
武術では群を抜いて難しい技術である。
よくよく工夫をされたい。

写真は柳生志限流柔拳法の門破り入身の技。

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(完)
by japanbujutsu | 2017-08-29 19:08 | 技法研究の部屋 Skill
『撃剣神通録』

『 撃剣神通録 』 (中) を入手した。
これは未だこの世に公開されていない。
内容は先意流薙刀の図解書で、薙刀対太刀の形を漢文で解説している。
薙刀研究に大いに参考になる。

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詳しくは 『水月』 紙上にて考証予定。





(完)
by japanbujutsu | 2017-05-11 21:33 | 技法研究の部屋 Skill
棒術と半棒術


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この図解に出ている棒術は荒木流だとされているが、伊勢崎伝荒木流では棒対剣なので、この情報は正しくないものと思われる。

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しかし、図解を見ると、現在のどこの流派にも見られない趣のある形で、無くなったのが惜しまれる。

次の半棒にいたっては、もはやどこの流儀も伝承していない半棒対半棒の組形であり、これは北斎漫画に描かれた流儀と同一のものと推察される。

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※画像は『柔術剣棒図解秘訣』より




(つづく)

by japanbujutsu | 2017-02-22 17:14 | 技法研究の部屋 Skill
江戸時代の撃剣

江戸時代の撃剣は今の剣道とはまったく異なっていた。

まずは足構え。
足巾が広く、腰を落とし、踵は絶対に上げない。

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剣術形の姿勢とまったく同じ姿勢で稽古する。
当然、打ち方の理合いも違ってくる。
だから膝を着いて、蹲踞の姿勢から胴を打つような技もあった。

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そしてまた、スポーツではないから短刀(小太刀)で戦うこともあった。

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剣道の試合を模倣した空手もまた同じであり、形と組手が乖離している。
上地流のように形と同じ動作で試合をするならいいが、シャモの喧嘩はいただけない。

※画像はすべて『柔術剣棒図解秘訣』より。




(つづく)

by japanbujutsu | 2017-02-20 17:05 | 技法研究の部屋 Skill
再び一重身について

武術の最も基本的な体構えとなる半身と一重身。
半身は体面が前に対して45度を向き、一重身は体面が完全に側方を向く。
右半身は右足が前、左半身は左足が前になる。

古流武術ではもっとも基本にして重要視される構えである。
力を一点に集中させるためにこの構えを常用する。
剣道のように体が正面を向いていたのでは、打突による力が分散して、得物に力が入らない。
特に、長い得物(棒・槍・薙刀)を使う場合には必須の構えである。

写真は力信流棒術の演武。

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仕・打ともに完全一重身となっている。
だからしっかりと後ろ足の踵も床に着いている。






(完)
by japanbujutsu | 2017-01-27 17:11 | 技法研究の部屋 Skill
真っ向切りの姿勢

真っ向 (正面) 斬りの姿勢について、古流居合術と現代居合道では何が違うのか。
ここで言う現代居合道とは全剣連加盟の八流派とその制定居合をいう。

下写真は熊本藩伝関口流抜刀の真っ向斬りにおける姿勢である。
※必要以上に腰を落とす必要はない。

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全剣連の居合との大きな違いは二つ。

①上体の向き
②踵

全剣連の居合道に所属する多くの剣士は剣道の出身者である。
そのため上体が真っ直ぐ正面を向いている。
だから斬るときに極端とも言えるほど弧を描くように前に出してから刀を引いている。
古流 (全剣連八流派以外の多く) では身体は斜め向きになり、腰はさらに横を向く。
これにより故意に弧を描くように振り下ろさなくても、自然にそのような軌跡を描いて斬れるようになる。
また、後足の爪先は横に開き、踵はしっかりと床に着ける。
これはすべての古流武術における大原則である。

もちろん剣術も同断。
斬り込みで踵が上がる流派は古伝を継承していない場合が殆どである。
かつては一刀流系でも踵を上げていなかったことは多くの古文献で確認することができる。

正しい刀の使い方を知ってほしいが、連盟で段位を取得することだけを目的にしている人たちには暖簾に腕押しである。




(完)

 
by japanbujutsu | 2017-01-20 17:59 | 技法研究の部屋 Skill
古流における片膝立ちの姿勢

以前にも何回か述べたが、非常に重要なことなので、再度論じておく。
正座(これに類するすべての座法を含む)から片足を前に出し、片膝を立てたときの姿勢である。
この動作を伴う武術は特に柔術と居合。

この姿勢で特に問題になるのは尻の高さである。
尻を完全に踵から離し、尻を高く立てる姿勢は、古来からそのようにしていた理合が存在すれば、それはもちろんそれでよい。
ところがいろいろ調べて見ると、どうも江戸時代には尻を踵から離さない低姿勢のまま形に入る流儀が多かったことがわかる。

居合では、英信流や田宮流が古伝書では低姿勢になっているが、現在は立ててしまっている。
柔術でも竹内流の分派である四心琢磨流柔術では下図のように低姿勢で取り合っているが、現伝の竹内流は高腰 (たとえば 「忽離」 ) である。

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難度の高い技法は時代が下がるに従い、どんどんと安易な動作に変質していく。
質的レベルを維持することは日本武術の伝承においてもっとも難しいことかも知れない。
しかし、このことは他の伝統芸にも共通して言えることであろう。





(完)
by japanbujutsu | 2017-01-18 17:47 | 技法研究の部屋 Skill
搦め捕りのこと

水月塾制定柔術形の取り口10種類の最後は 「搦め捕り」 になっている。
敵が捕の背後から両腕諸共抱え込む取り口である。

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海外でこの形を教えると、必ず非礼な奴がいて、 「これでも外せるか?」 と力一杯締めてくる。
彼らは無礼を承知で 「試し」 に来るのである。
できなければ認めない主義である。
だからこうした非礼者にはしばらく立ち上がれないほど痛めつけることにしている。
しかし、もしこれに対処できなかったら、これは一大事、セミナーの死活問題にもなるから、柔術や素手の武術を教えるときは要注意である。
指導にも百戦錬磨が必要である。
ちなみに最近は、このような無礼者は、支部長(ホスト)が 「お前たちの来る場所ではない」 と追い返してくれる。
また、以前は巨漢がやってきて 「俺を投げることができるか」 というような無礼な輩もいた。
これも当身をくれて気絶するほど投げ倒す。
ちなみに我が協会の支部長は皆100kg近いから普段の稽古で重量級には慣れている。

日本人でさえ古武道を真に理解することは難しいのだから、外国人にその真意を伝えるのは容易なことではない。





(完)
by japanbujutsu | 2017-01-16 17:20 | 技法研究の部屋 Skill
鉄扇術のこと

鉄扇術を真剣に学ぼうと若い頃、いろいろと師匠を探したことがある。
当時、柳生流鉄扇術の加山政子師範が伊豆の熱海におられたが、すでに入院されているということで断念せざるを得なかった。

それでいろいろそれまでに学んだ短棒術や十手術から粋を結集して水月塾の制定柔術形に鉄扇術を組み入れた。
したがって当流の鉄扇術は水月塾のオリジナルである。

さて、ここに四心琢磨流柔術に伝わる鉄扇術が描かれた伝書がある。

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四心琢磨流の根元は竹内流だから、この十手は本来短刀であるはずである。
江戸時代でもこの伝書にあるように派により、師範によりさまざまな工夫が試みられていたことは確かである。

そしてもう一点、この絵で指摘しておきたいのは、両者の腰が上がっていないことである。
現今の竹内流では、英信流系の居合などに見られるように尻を完全に上げ、半立ちになって互いの胸倉を取っている。
やはりそれは誤伝ではなかろうかと思う。
古伝を墨守している古流の居合のように、尻は踵に付けたまま始動するのが古流の鉄則であろう。





(完)
by japanbujutsu | 2016-11-10 17:15 | 技法研究の部屋 Skill
改めて礼法を説く

現代武道の中で、稽古や大会において正しい武道としての礼法を行っているのは剣道だけだろうか。

かつての試合は神前への奉納と同様に、師範各位、場合によっては天覧などもあり、礼を正し、細心の注意を払って行った。
先輩・師範・神など自分より上位の人を敬い、自らを謙る尊敬・謙譲の心こそが、日本文化の特長であり、武術も当然その延長にある。
言葉一つにしても、先輩も師範もすべて 「You」 で済ましてしまう、海外の文化・習慣との大きな違いがそこにある。

武術の稽古の初めと終わりに交わす挨拶。
それもまた礼であり、これは多くの現代武道も正座をして行っている。
ところが形や試合の稽古になると、礼法はどこかへ消えてしまう。
これでは相手を敬う気持ちなど生まれるはずもない。
負ければふて腐れて退場していく。
そこには武道のかけらもない。

本題に入るが、古流の形稽古の際に行う礼法の所作の完成を、ある者は18世紀だというが、それはないでろう。
そしてその理由を、18世紀から将軍による武術の上覧(お目見え)が行われたからだという。
証左があるのだろうか。
それは流儀の成立期、すなわち16~17世紀には既に存在していたはずである。
現在、時間がなくて資料を提供できないが、何れの機会にその説は否定されるはずである。

力信流棒術の礼法

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(完)
by japanbujutsu | 2016-09-15 17:30 | 技法研究の部屋 Skill

by japanbujutsu