ブログトップ

国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

japanbujut.exblog.jp

本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

カテゴリ:技法研究の部屋 Skill ( 136 )

真っ向切りの姿勢

真っ向 (正面) 斬りの姿勢について、古流居合術と現代居合道では何が違うのか。
ここで言う現代居合道とは全剣連加盟の八流派とその制定居合をいう。

下写真は熊本藩伝関口流抜刀の真っ向斬りにおける姿勢である。
※必要以上に腰を落とす必要はない。

b0287744_22142842.jpg

全剣連の居合との大きな違いは二つ。

①上体の向き
②踵

全剣連の居合道に所属する多くの剣士は剣道の出身者である。
そのため上体が真っ直ぐ正面を向いている。
だから斬るときに極端とも言えるほど弧を描くように前に出してから刀を引いている。
古流 (全剣連八流派以外の多く) では身体は斜め向きになり、腰はさらに横を向く。
これにより故意に弧を描くように振り下ろさなくても、自然にそのような軌跡を描いて斬れるようになる。
また、後足の爪先は横に開き、踵はしっかりと床に着ける。
これはすべての古流武術における大原則である。

もちろん剣術も同断。
斬り込みで踵が上がる流派は古伝を継承していない場合が殆どである。
かつては一刀流系でも踵を上げていなかったことは多くの古文献で確認することができる。

正しい刀の使い方を知ってほしいが、連盟で段位を取得することだけを目的にしている人たちには暖簾に腕押しである。




(完)

 
by japanbujutsu | 2017-01-20 17:59 | 技法研究の部屋 Skill
古流における片膝立ちの姿勢

以前にも何回か述べたが、非常に重要なことなので、再度論じておく。
正座(これに類するすべての座法を含む)から片足を前に出し、片膝を立てたときの姿勢である。
この動作を伴う武術は特に柔術と居合。

この姿勢で特に問題になるのは尻の高さである。
尻を完全に踵から離し、尻を高く立てる姿勢は、古来からそのようにしていた理合が存在すれば、それはもちろんそれでよい。
ところがいろいろ調べて見ると、どうも江戸時代には尻を踵から離さない低姿勢のまま形に入る流儀が多かったことがわかる。

居合では、英信流や田宮流が古伝書では低姿勢になっているが、現在は立ててしまっている。
柔術でも竹内流の分派である四心琢磨流柔術では下図のように低姿勢で取り合っているが、現伝の竹内流は高腰 (たとえば 「忽離」 ) である。

b0287744_2155410.jpg

難度の高い技法は時代が下がるに従い、どんどんと安易な動作に変質していく。
質的レベルを維持することは日本武術の伝承においてもっとも難しいことかも知れない。
しかし、このことは他の伝統芸にも共通して言えることであろう。





(完)
by japanbujutsu | 2017-01-18 17:47 | 技法研究の部屋 Skill
搦め捕りのこと

水月塾制定柔術形の取り口10種類の最後は 「搦め捕り」 になっている。
敵が捕の背後から両腕諸共抱え込む取り口である。

b0287744_2041843.jpg

海外でこの形を教えると、必ず非礼な奴がいて、 「これでも外せるか?」 と力一杯締めてくる。
彼らは無礼を承知で 「試し」 に来るのである。
できなければ認めない主義である。
だからこうした非礼者にはしばらく立ち上がれないほど痛めつけることにしている。
しかし、もしこれに対処できなかったら、これは一大事、セミナーの死活問題にもなるから、柔術や素手の武術を教えるときは要注意である。
指導にも百戦錬磨が必要である。
ちなみに最近は、このような無礼者は、支部長(ホスト)が 「お前たちの来る場所ではない」 と追い返してくれる。
また、以前は巨漢がやってきて 「俺を投げることができるか」 というような無礼な輩もいた。
これも当身をくれて気絶するほど投げ倒す。
ちなみに我が協会の支部長は皆100kg近いから普段の稽古で重量級には慣れている。

日本人でさえ古武道を真に理解することは難しいのだから、外国人にその真意を伝えるのは容易なことではない。





(完)
by japanbujutsu | 2017-01-16 17:20 | 技法研究の部屋 Skill
鉄扇術のこと

鉄扇術を真剣に学ぼうと若い頃、いろいろと師匠を探したことがある。
当時、柳生流鉄扇術の加山政子師範が伊豆の熱海におられたが、すでに入院されているということで断念せざるを得なかった。

それでいろいろそれまでに学んだ短棒術や十手術から粋を結集して水月塾の制定柔術形に鉄扇術を組み入れた。
したがって当流の鉄扇術は水月塾のオリジナルである。

さて、ここに四心琢磨流柔術に伝わる鉄扇術が描かれた伝書がある。

b0287744_14293457.jpg

四心琢磨流の根元は竹内流だから、この十手は本来短刀であるはずである。
江戸時代でもこの伝書にあるように派により、師範によりさまざまな工夫が試みられていたことは確かである。

そしてもう一点、この絵で指摘しておきたいのは、両者の腰が上がっていないことである。
現今の竹内流では、英信流系の居合などに見られるように尻を完全に上げ、半立ちになって互いの胸倉を取っている。
やはりそれは誤伝ではなかろうかと思う。
古伝を墨守している古流の居合のように、尻は踵に付けたまま始動するのが古流の鉄則であろう。





(完)
by japanbujutsu | 2016-11-10 17:15 | 技法研究の部屋 Skill
改めて礼法を説く

現代武道の中で、稽古や大会において正しい武道としての礼法を行っているのは剣道だけだろうか。

かつての試合は神前への奉納と同様に、師範各位、場合によっては天覧などもあり、礼を正し、細心の注意を払って行った。
先輩・師範・神など自分より上位の人を敬い、自らを謙る尊敬・謙譲の心こそが、日本文化の特長であり、武術も当然その延長にある。
言葉一つにしても、先輩も師範もすべて 「You」 で済ましてしまう、海外の文化・習慣との大きな違いがそこにある。

武術の稽古の初めと終わりに交わす挨拶。
それもまた礼であり、これは多くの現代武道も正座をして行っている。
ところが形や試合の稽古になると、礼法はどこかへ消えてしまう。
これでは相手を敬う気持ちなど生まれるはずもない。
負ければふて腐れて退場していく。
そこには武道のかけらもない。

本題に入るが、古流の形稽古の際に行う礼法の所作の完成を、ある者は18世紀だというが、それはないでろう。
そしてその理由を、18世紀から将軍による武術の上覧(お目見え)が行われたからだという。
証左があるのだろうか。
それは流儀の成立期、すなわち16~17世紀には既に存在していたはずである。
現在、時間がなくて資料を提供できないが、何れの機会にその説は否定されるはずである。

力信流棒術の礼法

b0287744_15302323.jpg





(完)
by japanbujutsu | 2016-09-15 17:30 | 技法研究の部屋 Skill
古流柔術の構え

古伝空手は拳を前に出して構えることをしない。
ところが現代空手の試合では、両拳を縦拳にして胸の前に構える。
こんな構えは古伝の空手には存在しない。
したがって現行の空手の試合は伝統空手とはまったく別の競技であると考える。
現在の空手は形と試合の理合がまったく乖離しているから、今さらここでこれを言っても仕方がない。
筆者が教授している台湾の金鷹拳も当然両拳を前に出して構えたりしない。
合気道でも両手を前に出して構えるが、古流柔術にはそんな構えはない。
以前にも書いたが、両手・両拳を体前に出して構える武道は、すべて戦後にできた現代創作競技である。
武道ではない。

古流柔術のほとんどは、両手は下腹に当てるようにして構える。

b0287744_19373380.jpg

この構えについては流儀によりさまざまな名称が見られる。
詳しくは拙著 『武術事典』 を参照されたい。





(完)
by japanbujutsu | 2016-09-11 17:23 | 技法研究の部屋 Skill
四方投

四方投は柔術各流派に見られる普遍的な技法であるが、それぞれの流派では趣が異なっている。

四方投で有名な流派は大東流である。
そして、その流れで一大勢力を築いた合気道がこの技を継承している。
大東流の師範の中にはこの技の原理をまったく理解していない人もいる。

さて、この四方投は筆者が学んだ武術では、大東流、武田流の他に中澤流があり、また渋川一流にも潜投という同種の技がある。

b0287744_220852.jpg

正しい四方投の理論を技法とともにチェコのフィリップ氏に教伝した。





(完)
by japanbujutsu | 2016-07-27 17:49 | 技法研究の部屋 Skill
薙刀體操法

武術を体操化して学校教育に持ち込もうとした運動が大都市を中心として各地で起こった。

なかでも小澤卯之助の一連の著作に紹介された各種の武術体操は、武術形そのままといった感がある優れたものである。

小澤の流儀は一刀流であるということの他はあまり知られていない。
体操法には徒手・剣・棒・薙刀・槍までもあり、多くの流儀を心得ていたことが推察できる。

b0287744_18393374.jpg

b0287744_18394333.jpg

今、中学校では正にこのような争う武道ではなく、演じる武道を修学させるべきなのである。
武道に無知この上ない文部科学省のお役人さんにこれが届けばいいのだが・・・





(完)
by japanbujutsu | 2016-06-05 17:32 | 技法研究の部屋 Skill
腕挫(うでくじき)

立った状態で掛ける逆手技「腕挫」(『柔道教範』M41)。
水月塾の制定形では「七里引」という。

b0287744_18241641.jpg

見た目以上に強烈な激痛が走る技で、容易に肘関節を砕くことができる危険な技でもある。
現在の格闘界において寝技の逆十字が多用されるのに対して、この技がほとんど見られないのは掛け方を知らないのか、決め方を知らないのか、いずれにしても柔道からは完全に消えてしまった一手である。

古流では引っ立て技として敵を連行する際に用いられる。




(完)
by japanbujutsu | 2016-06-03 17:13 | 技法研究の部屋 Skill
剣道の足構え

現行の剣道における足構えが明治期までの「撃剣」のそれとはまったく相違していることはすでに諸書において述べた。
写真は明治初期に行われていた撃剣会の様子を描いたものである。
足幅は広く、両足の踵はしっかりと床に着き、半身・一重身を多用している。
基本的には古流の体遣いを竹刀剣道にも応用していることがわかる。

b0287744_171638100.jpg

現行の剣道のようにスピードを最重要視して打つために、踵を上げてしまうと竹刀に力が乗らない。
いわゆる小手先の技になってしまい、人を斬ることなんか到底できない「当てる競争」となる。
スポーツなのでそれでよい。

何度もいうが、今、中学校で必修科されている「武道」は、「真の武道」とはほど遠く、まったくその要素を含んでいないことを教育者たちはだれも知らない。
本当に困ったものである。






(完)
by japanbujutsu | 2016-06-01 17:06 | 技法研究の部屋 Skill

by japanbujutsu