ブログトップ

国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

japanbujut.exblog.jp

本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

カテゴリ:手内剣探究 shunaiken( 39 )

極細五寸棒手内剣 第二段階

この極細五寸棒手内剣。
購入したときには 「騙された!」 と思った。
そう、ただの五寸釘の頭を取っただけのもの。
しかし、安価だったので、これも仕方のないことと諦めて、少しは手内剣らしくするために柄巻きを施した。

ここ最近、この何の変哲もない極細五寸棒手内剣に時間を割いて打つようになった。
それまで長大な手内剣がザクッと刺さるのに爽快感を覚え、そればかり研究工夫をしてきたのであるが、改めて極細五寸棒手内剣を打つと、いろいろな利点が見いだせるようになった。

b0287744_1741954.jpg

今回は標的に対して左右に身体を捌きながら五連打する方法を試技してみた。

極細五寸棒手内剣の武術としての利点
1 重ね打ち (同時に二本の打剣) ができる。
2 連続打ちでほとんど間を置かずに打てる。
3 斜め打ち (標的に対して斜角から打つ) でも直角に近い角度で的中する。
4 一度に10本以上持てる。
5 敵が防御しにくい(ほとんど見えない)。
6 5本程度であれば、左掌に隠して持てる。
7 安価に製作できる。


ただ一つの難点は、武具としての見た目。
日本武術の特性の一つはその使用する武具の美しさにある。
だから寸胴丸削り、寸胴角削り、鉛筆のような寸胴の六角・八角削りは美的に優れず武士は好まない。
そのうち懇意にしている鍛冶屋に依頼して、少し工夫を凝らした形態の細型五寸手内剣を作ってみたい。




(完)
by japanbujutsu | 2016-11-14 17:37 | 手内剣探究 shunaiken
武術における姿勢の戒め

昔から武術の世界には 「身の規矩」 という教えがあって、身体は特殊な技法を除いて基本的には常に地(床)に対して垂直に保つことが要求された。

そして足構えにおいては撞木足を大原則に据え、現行の剣道のような両足の爪先が前を向くことを良しとしなかった。

最近の手内剣術の動画を見ると、姿勢がまったくなっていないものが目立つ。
古流ではないからいいのではないか、と言いたいのかもしれないが、姿勢の基本が崩れたら、それは古流どころか武術ではなくなってしまう。
これらの人たちは多分、古流の武術を経験したことがないのだろう。
だから手内剣をただ的中すればいいというように、ダーツか何かと混同している感がある。

まず日本武術の大前提にあるのは順体であるから、古流では身体の捻りを極端に嫌う。
そのための身体の運用法が各古流にはしっかりと伝えられている。
だから演武を見ればすぐに古流かそうでないかを判別できる。
これを今、手内剣術を例に見てみたい。
『図解手裏剣術』 のイラストを見ると、立て膝打ちの場合、身の規矩をしっかりと守っている。

b0287744_15822.jpg

立て膝がそうであるならば、立って打つときも同じでなければならない。
筆者が手内剣を順体で打つ所以である。
根岸流の成瀬氏の写真を見ると、姿勢がやや前傾しており、体もやや捻れている。

b0287744_151042100.jpg

これは逆体故の仕方のないことであるが、現在の人たちに比べれば、身体の傾きも捻れもかなり少ないことがわかる。
そしてもう一人、心月流手裏剣術の菊地和雄氏の打剣の際の姿勢を見てみよう。

b0287744_15105392.jpg

逆体であるが、全く前傾せずに身の規矩を守り、後ろ足の踵も浮いていない。
これが正しい投擲の姿勢である。

よくよく研究されたい。





(完)
by japanbujutsu | 2016-11-12 17:41 | 手内剣探究 shunaiken
手内剣の試技 10/30

手内剣がどのような旋回をしながら標的に到達するか。
これを知るためには薄い平打ちの棒手内剣で試技する必要がある。
これは根岸流や香取神道流、あるいは現今白井流と称している棒手裏剣では実証できない。
これらの流儀では打剣において手内剣が旋回して飛んでいても問題ないからである。
しかし、これが短刀型手内剣になると、旋回はある意味で失敗であり、標的に当たるまで旋回の程度がわからないという難点がある。
それでは短刀型を初めとする平型手内剣では、どのようにすれば旋回を克服できるのか。
それを知るためには、やや長めの、そしてかなり薄い平型手内剣を自作して試技してみるしか方法はない。
そこでさっそくその試技用の手内剣を二本試作して打ってみた。

b0287744_12383819.jpg

いずれも長さ、厚さ、重さを変えてある。
これは祭礼用の古い刀を分解して製作した。
だからもちろん鉄製である。

これで風の抵抗による手内剣の「踊り」の様子が実検できる。
根岸流などのような通常の手の内で打つと、180度旋回して、刃が上を向く。

b0287744_12385870.jpg

円明流の打様で打つと、標的との角度調整に苦渋する。

しかし、今回の試技で手内剣の特性がいろいろと見えてきた。
そろそろ山へ籠もって数打ちでもしてみようと思う。





(完)
by japanbujutsu | 2016-11-02 17:20 | 手内剣探究 shunaiken
手内剣の試技(10/29) 

現在、試技中の手内剣はおよそ30種類。
その半分以上は江戸時代の古手内剣を使っている。
この日はまず極細五寸手内剣を打ってみる。

b0287744_19281875.jpg

黒河内兼規や徳川慶喜のような妙技を身につけるための登竜門。
至近の一間半からだと重ね打ちでも全中する。
敵の両眼を狙う試技をしているので、横に両眼の幅で並ぶように直角に的中するのが望ましい。
かなり的中するようになってきた。

次は八寸の平型棒手内剣。

b0287744_19294666.jpg

遠間からの反転打は容易に的中するが、二~三間の直打(「じきだ」ではなく、「ちょくだ」と読むのが正しい)では標的に直角に刺さらず、また横方向に反転してしまう。
この辺りは、丸、あるいは四角、六角、八角の手内剣なら問題にならないところである。

最後に試技をしたのは小刀型手内剣である。

b0287744_19302144.jpg

これが遠間からの直打ではもっともよく的中する手内剣である。
しかし、簡単に、高い確率で的中するのは武芸としてどうかと思うのである。
凡人には決して的中することのない、手内剣の「術」を自得してこそ真の武芸だと思う。





(完)
by japanbujutsu | 2016-10-31 17:10 | 手内剣探究 shunaiken
根岸流手裏剣術の足構え

筆者がこれまで学んできた武術は、日本武術も中国武術も足の踏み方はほとんど同一であった。
すなわち、右足が前の場合、その内側の線に左足の踵が来るように立つのである。
これにも流儀によっていろいろな見解があるようで、天真正自源流などは極端に横に開いて立つ。

しかし、『手裏剣』 に掲載されている説明では、

(左足が前の場合)
左拇指で線上を踏まへ、右足を線に添ふて引き、同じく拇指で線を踏まえる。

とある。(下の写真参照)

b0287744_22482828.jpg

これにも流儀の教えがあるのだろう。
私が今まで学んだ流儀ではいずれも厳禁されている踏み方である。
この足踏みでは後ろ足を進める場合、弧を描く必要がある。
また、そのままの足踏みで(逆体で)手内剣を投げるときには、相当に身体の捻れが生じる。

弓道の場合に、両足の爪先を一線上に揃えるのは、常に一重身で演技をするから問題ない。

b0287744_2249320.jpg

そのあたりの解釈はどのようになっているのだろうか。




(つづく)
by japanbujutsu | 2016-10-09 17:30 | 手内剣探究 shunaiken
手内剣術の標的板

筆者はもちろん根岸流を学んだことはない。
しかし、名和弓雄氏や山村寿翁氏その他からいろいろ聞き及び、打法もいくつか教えを受けたことがある。
しかし、投擲武術を好まなかった筆者は手内剣を本格的に稽古したことはなかった。
現在は、転機があって今まで収集してきたさまざまな江戸時代の手裏剣を使って、毎日独自に試技を続けている。
いずれ、その粋に到達できればよいのであるが・・・。

さて、これまでに出版された手内剣術に関する書籍で、参考に値するものといえば 『手裏剣』 (成瀬関次著)ぐらいだろうか。
その他の書籍は読む気にもならない。
この本の中には写真も掲載されていて、参考になることが多い。
たとえば次のような標的板に関する記述がある。

(前略)厚み五分以上広さ二尺以上の標的板をつるし、標的板には、直径一尺二寸又は八寸の円を線で描き、其の中心に直径三寸の円を黒色であらはす。その高さは、標的の中心を己の臍と一致する如くする。(後略)

b0287744_22532814.jpg

公開されている演武を見ると、根岸流もその他の流儀も標的の位置が高すぎるのではないだろうか。
中には標的のないものまである。
ぜひ、根岸流にはこの記述を厳守してほしいと思う。
筆者は特に流儀を背負っていないので、古文献を参考に畳に独自に描いた標的を使用している。

b0287744_22263678.jpg

今後、さらに工夫を試みたい。





(つづく)
by japanbujutsu | 2016-10-07 21:58 | 手内剣探究 shunaiken
白井流手裏剣術は成瀬関次の創作

当協会の埼玉支部長がご自身のブログにおいて、白井流手裏剣術は成瀬関次の創作であるという、かなり衝撃的な発表を行った。
実は筆者も白井亨が手裏剣など相伝、あるいは教授した形跡が皆無であることはわかっていたが、これまで深く調べる機会がなかった。
重要な内容なので、筆者もここで論述しようと思う。

埼玉支部長が白井流手裏剣術が成瀬の創作と判断した根拠は『会津藩教育考』(1931)の記述である。
筆者もさっそく閲覧してみた。
そこには次のように書かれている。

手棒術
一尺八寸の樫棒に鉄線四本を張て末に鎖の先に五・六寸の剣を付したるを遣ふ術なり。
 白井流 一所 新町一番丁
以下の六術は流名を知る能わず、その実のみを掲ぐ。
手裏剣術 銑鋧なれど俗に従ふ。 一所 新町一番丁
七八寸の鉄釘の如きものを右手に持ち、肩に構ひ踏込みながら擲つ術なり。


これを見ると白井流の術は手棒(てぼう)という道具を用いる武術で、黒河内家が相伝した。
しかし、手裏剣については流名を不詳としていて、相伝者も書かれていない。
稽古場が白井流と同じ新町一丁目にあったから非常に紛らわしい。
この流名不詳の手裏剣術を成瀬は白井流と誤認し、そこに書かれている「七八寸の鉄釘の如きもの」を白井流の手裏剣としてしまったわけである。
そして、そこには「反転打」という記述はなく、また、「踏込みながら擲つ」とあり、右足が前の順体で打つことが書かれている。
これは今、筆者が研究を進めている打ち方と同じである。
手裏剣が武術である限り、順体で打つというのが筆者の持論である。

思えば、筆者がいつも創作流儀の見分け方として掲げている、
①戦前の伝書がない
②戦前の教授の形跡がない
③成瀬に兄弟弟子がいない
などの項目がすべて当てはまってしまうのである。

それでも史実は史実として、その白井流手裏剣も二代、三代と相伝が進んでいるのであり、一手裏剣流派として活動することには何ら問題はない。
ただ、歴史認識だけは正す必要がある。

b0287744_21443213.jpg

白井流の取材記事(『ザ・古武道』)





(完)
by japanbujutsu | 2016-10-03 17:11 | 手内剣探究 shunaiken
平型長寸手内剣を打つ

この日は平型長寸手内剣を打ってみる。
三間になると直打ではかなり難しくなる。
反転打で打てば的中するが、手の内がかなり危険である。
また、柄に巻糸があるので、直打で打つべきであろう。
一間半から直打で強力に打つと快適にザクッと刺さる。

b0287744_14513060.jpg

敵は動くので、三間以上は実戦ではあまり意味がなく、あくまでも武術の稽古としての鍛錬で、だからこそまた四間でも五間でも中たらなければならないのである。






(完)
by japanbujutsu | 2016-08-22 17:42 | 手内剣探究 shunaiken
根岸流を二間で打つ

根岸流は手内剣の形状がいい。
この日は二間から直打順体で打つ。
順体なので根岸流の打法とは異なる。

b0287744_13112854.jpg

ザクザク刺さるが、5打連続的中まで10分かかった。






(完)
by japanbujutsu | 2016-08-02 17:50 | 手内剣探究 shunaiken
短寸手内剣を打つ

江戸時代に鍛造された手内剣のうち、今回は荒木流の短寸手内剣を打ってみた。
試行錯誤していると、これは近距離から打たないと威力や命中率が極端に下がることが判明した。

b0287744_17294763.jpg

そのため剣術の間合いをやや離れた九尺からの順体直打に専心してほとんど目に見えない速度で打つ。
近間だから命中率も高い。





(完)
by japanbujutsu | 2016-07-29 17:23 | 手内剣探究 shunaiken

by japanbujutsu