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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

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無銘 三つ巴平安城鍔

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平安城式真鍮象嵌鍔は、応仁鍔の技法の流れを汲むもので、応仁鍔よりさらに精巧で装飾性が増しているのが特徴である。

平安城式真鍮象嵌鍔が製作された時代は、室町末期から江戸前期にかけてであり、初期の作品は丸形の鉄地に、唐草や家紋などの図案を、真鍮を使って鍔全面に据文象嵌 した。

時代が下がると、形は丸形のみでなく木瓜形・撫角形など多様となり、象嵌に用いる金属は真鍮以外に金・銀・銅・赤銅などが加わった。また、象嵌の手法も据文式のみならず、平象嵌様式も用いられるようになった。

紹介した平安城鍔は三つ巴の大胆な透かしの縁に縄目の線象嵌を施し、蔓に梅花をあしらってある。惜しむらくは線象嵌が一本欠落していることである。現在、この鍔はお気に入りの新々刀に合わせてある。
by japanbujutsu | 2012-12-21 16:57 | 武具の部屋 Arms
結白流俰五身伝に見る五輪塔の秘伝

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武術史を嗜む方であれば、内容を見てすぐに判断できると思うが、この聞き慣れない結白流は制剛流の分派であり、伝書の内容も親流儀をそのまま踏襲している。

五身伝。

人間の体は自然界と密接な関係にあるため「小宇宙」と呼ばれている。

柔術は武器を持たずに我が身を駆使して闘う武術であるから、身体の行動則は非常に重要となる。

陰陽五行論では人体を五行、すなわち大自然や宇宙の要素に見立てて木、火、土、金、水の五つに分ける。

それぞれ五つの要素は独立しているのではなく相生、相克をしながら関係を持っている。

とりわけ武術では以下の要素が口伝として伝えられている。

五行 木 火 土 金 水 
五臓 肝 心 脾 肺 腎
五色 青 赤 黄 白 黒
五方 東 南 中 西 北

流儀は相違しても、説くところは大同小異である。

人間を含めた宇宙全ての事物は、陰陽と相反する性質や五つの要素が運動をしながらも調和することにより正常が保たれている。

江戸時代の武術は西洋の戦術と違って、ただ戦うことだけを目的にしていない。日本武術は平和な時代の武士の教養であり、高尚な学問、すなわち身体表現文化でもあった。そのため学問のない者は武術を相伝できないのである。

これから日本武術、古武道を志そうという若者は、このことを肝に銘じて入門してほしい。
by japanbujutsu | 2012-12-21 12:36 | 秘伝書の部屋 Secret densho
驚異の日本伝十六羅漢拳法

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江戸時代、インドからシナを経由して仙台藩に幻の古伝拳法が伝えられていた。

十六羅漢拳。

恐ろしいまでに蹴りや拳による打突を多発する、まさしく日本伝拳法と呼べる徒手武術。

だから急所の研究も深くなされている。

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その上、純日本風な介錯・打ち首の作法まで伝えているから驚きこの上ない。

今となっては、その実態を知る由もない。
by japanbujutsu | 2012-12-19 19:19 | 秘伝書の部屋 Secret densho
武田家に伝えられた本当の武術

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ここに『真當流濫觴之巻』という江戸時代の巻物がある。この真當流というのは塚原卜伝の新当流のことで、卜伝は甲斐武田家に招かれて、諸士に剣術・居合を教えた。そのうちの居合だけが後世に残されたが、これも明治になって絶えてしまった。

大東流合気柔術が明治の中期に、そして武田流合気之術が昭和の戦後に突如として現れたが、甲斐武田家にそのような武術が伝えられていた形跡は全くない。当然、会津や九州の黒田藩に武田家の「合気柔術・合気之術」など存在するはずもない。

さて、この巻物を見ると、塚原卜伝の名前はなく、元祖に武田信玄を仰いでいる。完全に卜伝の新当流を武田家の武術にスイッチしてしまったのである。内容は居合で、濫觴の中には日本武尊伝説が採用されている。この辺は明らかに甲斐源氏の起源に合わせた記述となっており、実際の武術の伝統とは何の関係もない。

「是極一刀」が極意であるが、卜伝一の太刀に関係するか。

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by japanbujutsu | 2012-12-19 00:21 | 秘伝書の部屋 Secret densho
中条流。

剣術の源流的存在の古い流儀。

もちろん現在は伝承されていない、消えた流儀の一つ。

今回紹介するのは、松山中将を祖とする総合武術の「中将流」。

たいへん優れた絵目録を残している。

剣術の中条流とは関係ないのだろうか。

小太刀を使った小具足系の形もまた素晴らしい。

座した打太刀は随分と長い刀を差している。

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by japanbujutsu | 2012-12-17 20:48 | 秘伝書の部屋 Secret densho
無拍子流和の道具類

越前加賀藩領に伝承した無拍子流和(柔術)。昭和の時代までその親子流儀の拍子流柔術が残存していたが、すでに消滅していることだろう。まことに残念ながら、福井県もまた武術の保存に策を講じなかった県の一つ。今さら嘆いても一度消えたものは二度と蘇ることはない。

さて、今回紹介するのは無拍子流で使用された道具類である。柔術では多くの小道具を使用するが、無拍子流もその例外ではない。

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当協会では無拍子流和の全伝書を保管しているが、やはりこの道具絵目録は圧巻である。各流儀には決められた寸法・形態の道具があり、その規定に従って拵える必要がある。古流の剣術が市販の木刀で稽古するようであれば、それはその時点ですでに古流とは言えない。流儀の道具類はすべて自作するか、業者に実物または詳細な寸法図を渡して製作してもらわなければならない。修行者はこのことを肝に銘じてほしい。
by japanbujutsu | 2012-12-16 20:41 | 秘伝書の部屋 Secret densho
『武術絵巻』に江戸武術の実態を垣間見る

江戸時代における武術修行の実態は文字からは判断できない。形の手順などは伝書によって流儀に伝えられていることはあるが、果たして「文化としての武術」の本旨は非常に把握が困難である。多くの武術の絵目録でさえも、その流儀の形を図画で示すだけだから、そこから文化を探し出すことは困難である。

武術修行の実態、それはいかなるものか。そんな疑問に答えてくれるのが、この『武術絵巻』である。『武術絵巻』には、特定の流儀の形ではなく、さまざまな武術の稽古の様子が、いろいろな場面で描かれているのである。剣術・槍術・棒術・柔術・居合術・十手術・泳法・砲術。今回はその中から居合術・据物斬を紹介する。

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形の稽古から、極太の刀での稽古。野菜の試斬、藁、そして人体・・・の据物斬。襷を掛ける姿や下緒捌き等々、多くの実態を把握できる。
by japanbujutsu | 2012-12-16 11:49 | 秘伝書の部屋 Secret densho
新心流居合の美麗なる彩色絵目録の世界

ここに彦根藩伝と思われる新心流(関口流)居合の絵目録がある。

形を抜付台相手に稽古する武士の絵だ。

その中に真に風流な名称が付いた四つの形がある。

百花剣」 「涼風剣」 「秋風剣」 「冬雪剣

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この四つの形は四季に象り、東西南北に抜く邪を祓う清めの剣。

このような高尚な武士文化は現代のスポーツ武道には全く存在しない。

浪漫に満ちあふれた江戸武術の素晴らしき伝承文化。

現代人が忘れ去った古の文化がそこにはある。
by japanbujutsu | 2012-12-15 18:09 | 秘伝書の部屋 Secret densho
仙台藩伝西法院武安流武者捕(柔術)

仙台藩領登米郡登米に江戸時代から昭和の中頃まで西法院武安流武者捕という変わった名前の柔術が伝承されていた。

開祖は長崎出身の松浦武兵衛武安(号松雲)。長崎で楊心流を学び、故あって仙台藩に流れ、名を大内武兵衛と改めた。

昭和中頃まで免許皆伝の袋地亮治師範が教えたが、その門下から免許を得た者は出なかった。

会長は袋地の門人、伊藤幹夫氏から三十手ほどの形を学んだ。
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袋地亮治師範とその顕彰碑(右)



                                                                                                                   





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西法院武安流武者捕の形








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                                彩色絵目録
by japanbujutsu | 2012-12-14 21:23 | その他の流儀 Others
本歌 捕縄鈎

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捕縄は格闘系武術ではないから、とかく敬遠されがちであるが、これは柔術・捕手術に付随する重要な武術の一つである。戦前までは警官も捕縄術を心得ていたが、戦後は手錠に統一されてしまい、捕縄を正確かつ迅速に掛けられる人はほとんどいなくなってしまった。第一、今の警察官は警棒の本来の使用法もまったく知らないのだから仕方がない。

さて、今回紹介する捕縄鈎は武家作法を研究されていた名和弓雄氏が絶賛され、ご自身の次の著書で紹介したいので貸してほしい、と懇望されたが、先年、惜しくも他界されてしまった。この捕縄鈎は鈎の曲がった部分が鍛えられており、刀剣と同じような仕上げが施されている。端分には猪目の刳り抜きがあり、この変哲もない武具にアクセントを添えている。

この捕縄鈎には「正光」の銘が切られているため、余程の自信作であったことがわかる。
by japanbujutsu | 2012-12-12 19:18 | 武具の部屋 Arms

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