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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

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影山流抜剣 その4 切り下ろし

今回は影山流の切り下ろしを見てみたい。

まず、上段への振りかぶりであるが、身体を大きく後方に反らしている。

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これなどは、現在の居合道界には見あたらない身体の遣い方ではあるまいか。

もちろん現代居合の昇段審査でこんな姿勢をしたら不合格になるだろう。

次にまっすぐに真正面を切る。

歩幅は広く、腕を伸ばし、切先は水平より高い。

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影山流独特の切り下ろしである。

切り下ろす瞬間に「居合」と掛け声を発する。

古流はこうでなければいけない。
by japanbujutsu | 2013-12-29 18:53 | 技法研究の部屋 Skill
影山流抜剣 その3 抜付

今回は影山流の抜付を見てみたい。

演武者は天野古弘の門人、仙台藩士の笹原清康。

形は居合六本の初手「中腰」。

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まず、抜き付ける角度は、水平ではなく、逆袈裟に切り上げる。

立てた右足の爪先は右へ開く(現代居合の諸流派では悪い例とされている)。

腰は立てず、尻を落としている(現代居合の諸流派では悪い例とされている)。

筆者はこのような居合こそが真の日本伝居合だと思っている。

どこの流派も似たり寄ったりのことをしている現在の居合道には興味がない。

影山流が、その一部の形だけであっても、健全に伝承されていることを願う。
by japanbujutsu | 2013-12-27 18:34 | 技法研究の部屋 Skill
影山流抜剣 その2

この史料には影山流のさまざまな形が写真で紹介されている。

今回は立合組形18本のうちから「抜打」の形の部分写真二枚から考察してみたい。

江戸時代の武術、そのままを伝えているため学ぶところは多い。

最初の写真は入りの部分。

敵が抜き打ちに真っ向を切るとき、右手を刀の柄に掛け、右足を左へ踏み抜けた場面。

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仕太刀の子どもは今で言うと、小学生低学年くらいに見えるが、姿勢が完璧である。

左右の足を完全に180度開いた一文字腰を見事に現出している。

このような姿勢をとるには相当の稽古が必要である。

また、打太刀は刃部で切りつけているのではなく、鎬で切っているのがわかる。

これは二天一流の遣い方と同じである。

次の写真はこの形の最後の場面で、敵が上段にかぶるところを右足を踏み込んで、左小手を切った場面。

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この後ろ足を伸ばしてその爪先を後ろに向けた姿勢、お互いの臍は絶対に正面を向かず、下半身は半身になる。

これが江戸時代の居合・剣術の本当の体遣いであろう。

やはり、この場面でも鎬で小手を切っている。

また、仕太刀が二刀差しになっているのはこの立合組形に二刀を使う形が出てくるためである。
by japanbujutsu | 2013-12-24 18:26 | 技法研究の部屋 Skill
影山流抜剣 その1

影山流は仙台藩における居合流儀の雄である。

しかし、他の武種を多く併伝していたので、影山流を学ぶ者は総合武術を修行した。

したがって、影山流の免許者は一人で数流儀を相伝している場合が多かった。

この影山流の抜剣(居合)の形が『昨夢瑣事』に紹介されている。

これはわが国武術史上、もっとも貴重な記録ではなかろうか。

それは「中腰台切方」の演武を江戸時代に影山流を修行した天野古弘が行っていることである。

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影山流は明治以降も一切他流の影響を受けていない純粋な居合を伝えていた。

下緒は鞘にグルグル巻き。これ一つを見ても現在の居合ではまったく見られない。

撮影は明治43年。当時、天野は75歳。仙台市の坂琢治の影山流道場での撮影である。

影山流は現在、天野の孫弟子になる沼倉古一の系統が残っている。

「中腰台切方」
台に対して正坐から右膝を立てて後ろに開く。このとき右足の踵で左足の裏を踏みつける。そのまま立ち上がり様、抜剣して一気に腰を沈め、台の横木を下から切り上げる。このような古伝の稽古をしている道場はもはや全国のどこにもない。
by japanbujutsu | 2013-12-22 17:05 | 技法研究の部屋 Skill
『皇国武術英名録』の武術⑨ 気楽流契木

気楽流は群馬県に現存する。

掲載されている稽古場は上州緑埜郡下大塚村の柳盛館。

師範は平柳真龍斎。まだ髷を結っている。

子息と思われる平柳隣松も出ているから、すでに相伝が済んでいるのだろう。

契木の演武は太刀が平柳時寿、契木が平柳谷五郎が行っている。

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「諸先生饗応之図」には師範飯塚緒早司の姿も見える。

他には珍しい「鉄銻」の形も紹介されている。
by japanbujutsu | 2013-12-20 17:27 | 武術論考の部屋 Study
『皇国武術英名録』の武術⑧ 霞神流柔術2

前回に続き、霞神流から。

この流儀では珍しい長柄鎌を伝えていた。

現在は棒の手の一部の流儀に残るのみで、武術流儀では見られなくなった。

絵図を見ると気楽流棒術との関連が伺える。

群馬県には明治年間まで多くの古流が伝えられていたが、今では数流派が残るのみである。

掲載した形は表の五本目。

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太刀は阿久津茂平太、長柄鎌は阿久津丑太郎が演じている。

二人は黒紋付きに襷を掛けている。
by japanbujutsu | 2013-12-18 17:12 | 武術論考の部屋 Study
『皇国武術英名録』の武術⑧ 霞神流柔術

霞神流柔術は制剛流から出ている。

この流儀では、珍しく長柄鎌を伝えており、当協会が所蔵している。

技法は非常に趣があり、優れているが、後継者に恵まれず、昭和になって絶伝した。

『皇国武術英名録』に掲載された稽古場は、上野国西群馬郡下小島村の新勇館で、当時の師範は峯岸文蔵。維新後も髷を結っていた。長男文信が流儀を継承した様子である。

紹介する形は、「足破」。

拳を霞に構えたところは何とも古流らしく、またその拳も古流独特の握り方をしている。

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時折、古流柔術の演武で、空手式の拳を使っている流儀を見かけるが、古流ではそのような拳を用いない。

演武者は受が梅山広吉、捕が広岡某。

霞神流は表形が二十一手、長柄鎌は表裏十手の形がある。
by japanbujutsu | 2013-12-16 17:48 | 武術論考の部屋 Study
『皇国武術英名録』の武術⑦ 真之神道流柔術 2

前回とは違い、今回紹介する真之神道流柔術は、那波郡川井村の横堀喜三郎源輝政の一門である。

肖像画からは横堀は大分若く見える。

鉢巻きを額で結び、正坐ではなく西洋椅子に座って検視している。

紹介する形は「奏者捕」で、大刀を差して座している敵に、我は脇差しを突き出して捕り押さえる形である。

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演武者は捕が安原春次郎、受が塚越富次郎。

安原が袴の股立を取っているのが興味深い。

冬だろうか、二人とも稽古着の下に長袖のシャツを着ている。

受の座法は楊心流の伝統を踏襲しており、両膝を大きく開いている。
by japanbujutsu | 2013-12-14 18:08 | 武術論考の部屋 Study
『皇国武術英名録』の武術⑦ 真之神道流柔術

真之神道流の師範は、上野国緑野郡新町川岸に稽古場「真武館」を構える木村弥太七。

絵図には稽古場内の稽古の様子が描かれていて興味深い。

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壁には木刀の他に稽古着が無造作に吊る下がっている。

柔術の技は青年が子どもを投げて、受身の稽古をさせているようである。

受身は右手を伸ばして左手を枕にしているのが、いかにも古流らしい。

今ではこの受身を取る流派は筆者の知る限り一つしかない。

周りで多くの子どもたちが稽古を見ているので、田舎にしてはかなり大きな稽古場であったことがわかる。

子どもたちも全員袴を着けている。

また上衣は筒袖の稽古着である。

子どもたちの見学の態度が悪いが、地方の寺子屋や武術の稽古場では子どもに対してそれほど厳しい教育はしていないことが、いろいろな史料から判明している。
by japanbujutsu | 2013-12-12 17:19 | 武術論考の部屋 Study
『皇国武術英名録』の武術⑥ 直心影流剣術

掲載されたのは山田次郎吉の稽古場。

当時、山田は上総国望陀郡下郡村に住んでいたようである。

そして、師の榊原鍵吉は東京下谷車坂にいた。

明治維新後の取材であるが、山田の相手をしている者はまだ髷を結っている。

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服装も厳めしく、着物は三重で紋付きに裃を着けている。

紹介したのは正眼に合わせた場面であるが、やはり後足(左足)の爪先は後に開いていて、歩幅もやや広い。

史料には、フェンシングの稽古の様子や酒宴の様子まで描かれていて興味深い。
by japanbujutsu | 2013-12-10 17:29 | 武術論考の部屋 Study

by japanbujutsu