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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

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武術をもっと勉強しなさい

YAHOO知恵袋に次のような質問があった。

「小栗流和兵法事目録」は何と読むのでしょうか?

ベストアンサーに選ばれた回答

■「おぐりりゅう やわら へいほう こと もくろく」ではないでしょうか
小栗流では、なぜか柔術の「柔(やわら)」の文字を嫌い、「和」の一字で「やわら」と読ませたようですね(むかしは「和術」と書いて柔術の意味になる場合もあったようです)
「兵法」は「ひょうほう」とも「へいほう」とも読みますが、小栗流では後者を採用しているようです。ご参考までに■

聞くアホに答えるアホ。
まだ聞く方はいいが、答えが間違っている。
「事」はコトではなく、「ワザ」と読むのが正しい。
大体、「コトモクロク」って何?
と聞きたくなる。
また、和術に柔術以外の意味があったら教えてほしい。
最後の「へいほう」だけは正しい。

二天一流にしても、無知な者たちは「ひょうほう」などと言っているが、これも「へいほう」が正しい。
兵法を剣術の代名詞として使う場合は、一部の例外を除いてほとんどの場合は「へいほう」と読む。

参考までに、ルビをふった古書で今、思い当たるのが『本朝武芸百人一首』(嘉永4年刊)で、ざっと見ると前原筑前の解説文最初に「兵法」の文字があり、見てみると「へい不ふ」とある。

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これは発音すると「へいほう」となり、兵はへいであることが明白である。
by japanbujutsu | 2015-04-30 22:52 | 武術論考の部屋 Study
捕縄の美

武芸と武術は同義である。
この双方から武を省くと「芸術」となる。
芸術にもっとも要求されるものは言うまでもなく「美」である。

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人間の理想である「真と善と美」。
それぞれ、学問・道徳・芸術の追求目標といえる、三つの大きな価値概念。

すなわち武術とは、人と人の闘いの場面を美を以て表現する芸術活動であり、文化そのものである。
だから武術は美しくなくてはならない。
これが現代の競技武道とのもっとも大きな違いであり、格闘技との次元の違いである。
武であるかぎり、強さは不可欠であり、闘うことが前提であることは当然である。
しかし、武術は江戸の太平期に人間形成のための芸術と化した。
すなわち武士の教育課程に組み込まれたのである。

このことを踏まえて古武道というものを修行しないと、これから先、流儀を正しく伝承していくことなど不可能である。本当に武術を学びたいのなら、一つだけの武術に固執してはだめである。
真の武術は剣術を最重要とし、徒手である柔術を不可欠であるとする。
武術を志す者は最低でもこの二つは心得るべきである。
柔術をする者が剣術について全くの素人であったり、剣術をする者が柔術について全くの無知であったりするのは真の武術の修行ではあり得ない。
剣術を知らぬ者が「真剣白刃取り」 を行うなど言語道断である。
by japanbujutsu | 2015-04-28 17:31 | 武術論考の部屋 Study
居合における抜刀直後の腰の位置

現代居合道の主流となっている無双直伝英信流と夢想神伝流。
両流儀は土佐から出ており、その殆どは中山博道の流れであるから、流儀名は違ってもほとんど同じようなことをしている。
「土佐英信流」と称して古伝を主張している人たちもいるが、所詮していることに大差はない。
さて、その現代英信流の第一挙動の抜き付けであるが、写真のように腰を尻から離して高くし、膝から上体までが直立姿勢となっている。

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中山がこのようにしていたから仕方がないとは言うが、果たして江戸時代の英信流も同じようにしていたかというと、これは大きな疑問である。
古伝の居合の多くは抜き付けで頭の位置を変えない。
目付が狂うからである。
そのため右足を出して一文字に抜く際、尻は踵に乗せたままにしておく。
現代人は体が硬くてこの姿勢がとれない者もいる。
ここに紹介する図は北信伝無双直伝英信流の江戸時代の伝書に描かれたものである。

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伝書に書かれているのだから反論の余地はない。
現代人の誤った認識で武術の形はどんどん変質してしまう。
腰高になり、踵が上がり、一重身が消え、掛け声までもが喪失している。
by japanbujutsu | 2015-04-25 17:32 | 技法研究の部屋 Skill
鎖棒

短棒に鎖分銅が付いた武術の稽古道具。
短棒という言葉はあまり好まないので、この道具を単に「鎖棒」と呼ぶ。
『武器二百図』では同類の道具を「懐棒」と呼んでいるが、これは棒が恐らく五寸程度のものと思われる。
甲陽陣屋伝捕方武芸ではこれを「馬鞭」と呼んでいる。

今回、紹介するのは一尺五寸の樫棒に捻れ鎖を付け、その先に丸分銅を付けている。
金具はすべて赤銅である。

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製法から見て幕末から明治頃のものと思われる。
このような武具は大抵一点物であるから、大切にしたい。
by japanbujutsu | 2015-04-23 17:06 | 武具の部屋 Arms
古流柔術の当身に用いる拳

古流柔術の当身に用いる拳形が空手のそれとは相違することをこれまで何度も説いてきた。
にもかかわらず、真伝を受けなかった多くの柔術家は空手の拳形で当身を行っている。
無知も甚だしいし、そのような流儀はもはや古流とは言えない。
酷い例になると、受方(攻撃側)の突きが空手スタイルになっていることもある。
江戸時代にも日本には空手家がいて、彼らは古流柔術と敵対していたということだろうか。
そんなレベルでしかない古流が日本にはウヨウヨしている。
後屈立ちになって腕を廻して受ける流派と並んで見るにたえない現状である。

今回は『関口流柔術死活廿八法ノ巻』に描かれている拳形を見てみたい。

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拳の握り方は、一見すると空手と同じにみえるが、実はよく絵を見ると、鋭利な爪を付けた親指は、人差し指の第一関節を押さえていて、「拳尖」と書かれた部分が第二関節の突起になっていることがわかる。

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空手の拳は敵にダメージを与えることはできても、急所を打つのに適していない。
一方、柔術の拳は急所を鋭く突くことができる。
by japanbujutsu | 2015-04-21 17:32 | 技法研究の部屋 Skill
抜刀後の鞘の処置 その2

庄内藩伝渋川流居合における抜刀後の鞘の処置について、前回、後ろ腰に持っていくことを指摘した。

そして、以前から違和感を覚えていた同じ庄内藩伝の林崎夢想流居合においても同じ処置をしていることを思い出した。
次の図を見ると、抜刀時はまだ左腰にあり、極めの段階では鞘が背に廻っていることがわかる。

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これは林崎流の鞘捌きが渋川流に影響したのか、あるいは逆に、渋川流が親流儀の林崎流に帰り相伝したのか、はっきりしない。元々、両流儀が同じような捌き方をしていたと考えるのもまったく不自然ではない。

古伝の鞘捌きとして今後も検証を続けてみたい。
by japanbujutsu | 2015-04-19 17:31 | 技法研究の部屋 Skill
木製十手

甲州陣屋伝捕手武術の十手術が木製十手を使用するため、各種の木製十手を蒐集してきた。

一言で木製十手と言っても、その種類は千差万別であり、古の武術家の工夫に感心している。

今回、紹介するのはほとんど十手の役目を果たしていないと思われ鈎の部分が薄くて華奢である。

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これは明らかに後ろ腰に十手を差すための鈎であり、鈎で刀を受けるようなものではない。
したがって、使用法は「鼻捻」「なえし」「鉄扇」などに近いものになる。
明治以降、警官が用いた警棒の正に原形と言えるものである。
by japanbujutsu | 2015-04-17 17:43 | 武具の部屋 Arms
H27.3.29 穴澤流薙刀講習会

過日、紹介した穴澤流薙刀講習会の写真と記事(電子版)が新聞社より届いたので掲載する。

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今後も定期的に開催していく予定である。
by japanbujutsu | 2015-04-15 20:11 | 穴澤流薙刀 Anazawa ryu
昭和中頃の稽古風景

柳生志限流の稽古の様子を撮影した多くの未公開写真を所蔵している。
修行者にとってはこの上もない貴重な資料である。
これを見ると、短刀術以外に太刀捕りや半棒術、ノーマルな柔術技法などいろいろあるが、私が直伝を受けた技以外はすべて失伝している。
今回は、その中から数点を紹介する。
現代武道と接点を持たない伝統そのままの貴重な記録である。

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by japanbujutsu | 2015-04-13 17:42 | 柳生志限流柔拳法 Shigen Ryu
居合における抜刀後の鞘の処置

渋川流居合の絵目録を見ていて、ふと気付いたことがある。
図に描かれている鞘の位置が背中になっている。

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これは図のように刀が長い場合、抜いた後の鞘の位置が左腰のままでは非常に扱いにくいからであろう。
実際に刀身二尺八寸以上、柄一尺以上の刀を抜いたことがあれば分かると思うが、最後に切り落とすとき、鞘が非常に邪魔になる。
筆者が関口流を長寸刀で稽古するときは、抜いた瞬間に鞘を腹前に引き出して、切り下ろしたときに鞘が両腕の間にくるようにしている。
この鞘戻しをしないと鐺が激しく床を打つからである。

しかし、この図を見ると、あきらかに鞘は後ろ腰に廻っていることがわかる。
すると、先日もここで述べたとおり、腰帯はしないのが正しいのではなかろうか。
現在、民弥流で同様の所作を行っているが、他流なので言及しない。

先入観を捨て、古の教えを探究することも必要である。
by japanbujutsu | 2015-04-11 17:36 | 技法研究の部屋 Skill

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