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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

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甲州伝渋川流柔術復元 1

甲州伝渋川流柔術は初代渋川伴五郎義方の門人、薬師寺方正政俊が甲州勤番士に教えた流れを汲み、代々、勤番士および神主が相伝した。
その技法は源流の関口流を一点も崩さず、原形そのままの形で伝えたため、幕末に江戸の渋川本家の伝承が絶えそうになったときには、その高弟を甲州に派遣して実習させたという記録が残っている。
しかし、伝統の流儀も明治維新後、次第に先細になり、大正時代の伝承者を最後に伝統が途絶えてしまった。
現在、その師範家には膨大な伝書類が残されており、かなり正確な形が復元できる。
ここにその記録を残し、研究の一助としたい。

楊柳 

左手で右手を下より掬って取り、右にて掌を組み合わせ、手首を折ろうとする。
  
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オイと応え右肩の所を三角に押し、

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形をぎりぎりと右へ廻る(右膝を退く)。

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右手を腹部に引き付け、左手を二の腕にかけ(親指前)、両手を伸ばし、腹の重りにて左の掌を付け、右手は受の右手首を掴んで押しつける。左膝を二の腕に乗せる。

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by japanbujutsu | 2015-11-29 17:44 | 技法研究の部屋 Skill
大森流立居合

時代の要請に応えて明治以降もさまざまな武術の近代化が工夫された。
西南の役で抜刀隊の活躍が認められると、警視庁は全国から居合の達人を招聘して「警視流居合」を制定した。
五流派が一本ずつ出し合って実戦に即応できる五本の立居合形を制定したが、中身は神道無念流一色になっている。

時は流れて、大正から昭和初期にかけて陸軍戸山学校では軍刀操法が制定された。
それが太平洋戦争後に戸山流として一方の居合道流派を形成した。
これも当然実戦を重視した即戦力となる立居合である。

そして昭和八年、一般にはほとんど知られていない大森流の立居合が海軍兵学校で制定された。
従来の大森流を立居合に仕組んだのである。
実は同じことを戸山流の中村泰三郎がしている。
その辺の事情はよくわからない。

今ここに海軍兵学校がテキストととして作成した『立居合術心覚』がある。

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技の理合はしっかりしており、現在の全剣連や全日居連に加盟している競技流派の人たちには是非とも研究してほしい内容である。

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by japanbujutsu | 2015-11-27 17:44 | 技法研究の部屋 Skill
『剣経』 日本剣術に影響


『剣経』は明代の武人、兪大猷(1504~1580年)の著作である。
福建の晋江の出身で、字を志甫という。
その父は百戸長で、家は貧乏だったが子どもの頃から読書が好きで、『易経』を極めた。
彼は何度も軍隊を指揮して倭寇と戦い、それを撃滅した。

その著書『剣経』の名はもちろん『易経』から採った。
名前は『剣経』であるが、その内容は棍法を解説している。
なぜ棍法の解説書を『剣経』と呼ぶのだろうか。
まったく不可解である。

この『剣経』が江戸時代に日本に入り、剣術の技法に少なからず影響を及ぼした。

紹介する剣術の伝書に、
  
踏炎求出勢 進鑿勢 躍龍勢 猛熊回顧勢 飛殺勢 擲標 用牌 不争剣


の「八法剣」を掲げている。

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しかし、標と牌はそれぞれ剣と盾であり、根本的に日本剣術とは違っている。
これがどのような形で伝承されていったのか、興味は深まるばかりである。
伝書の発行は皇紀2516年(安政3年、1856)で、発行人は奥津房之助。
判から流儀名を「相○流」と読めるが、一切は不明である。

日本武芸新聞 『水月』 でさらに深く掘り下げてみたい。
by japanbujutsu | 2015-11-25 17:08 | 秘伝書の部屋 Secret densho
九鬼神流半棒術

九鬼神流棒術については二十歳代に二系統を学んだが、派閥闘争に嫌気が差して身を引いた。
九鬼神流半棒術の原形は荒木流であるが、今やそのようなことを知る人もないだろう。
実質上の九鬼神流の祖とされている大国鬼平重信は、荒木流の祖である荒木無人斎の子、荒木鉄平の門人である。
流派の秘伝書「天津蹈鞴謐心□□録」(□は作字に付き、入力不可)にある「□(かん)技の術」が九鬼神流半棒術の原形で、これは木葉幸四郎が皇道宣揚會尚武局で教えた目録と異なっている。

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天津蹈鞴かん技之巻半棒術
初段
 片手折 突落 打技 流捕 霞掛 行違 顔砕 当返 坂落 
中段
 小手返 逆落 払技 外輪 一刀 返倒 跳落 股掛 小手払
(以下略)

各段九手(九鬼を表象)ずつあり、三尺五寸の八角棒を使用することになっている。
筆者は木葉伝とこちらのかん技伝の両伝を承けたが、伝承を放棄したので、古流としては教えていない。
協会の制定形として工夫を加えて教えている。

下に掲載した形の解説は高松寿嗣直筆による流儀の手付書である。

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by japanbujutsu | 2015-11-23 17:22 | 武術論考の部屋 Study
御膳捕のこと

浅山一伝流柔術の形に「御膳捕」がある。
天神真楊流では「御前捕」と書く。

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二人が並列して坐している想定から始まる形であり、居合の多くの流儀に同じ想定の形がある。

御膳と書けば、前に膳、すなわち料理があることが解るが、御前ではわからない。
だから正しい理合が失伝していくのである。
こちらは小笠原流礼法の挿絵である。

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この理合において形を行うとき、双方の膝の線からお互いに前に出てはいけない。
お膳をひっくり返すからである。

特に海外ではこうした日本の慣習を知らない上に、好き勝手に技を構築しており、日本文化をまったく理解していないから手に負えない。
by japanbujutsu | 2015-11-21 17:15 | 技法研究の部屋 Skill
浅山一伝流武術起請文

明治三年の浅山一伝流武術の起請文を入手した。
何藩の系統かわからない。
それに師範の名前が記されていない。
随分と半端な起請文である。

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その中で、興味ある条文は、

入他門修行支度節者以御案文返神文可差上候事

これはどのように解釈をすればよいのだろうか。
他流派に入門したい場合は案文(※控文書のこと)を返しなさいということであろうか。

日本国中大小神祇に続いて浅山不動尊が入っているのが面白い。
by japanbujutsu | 2015-11-19 17:51 | 秘伝書の部屋 Secret densho
鉄貫

長尾流躰術で使用されていた道具に「鉄貫」がある。
この道具の考証は別の機会に譲るとして、これとは別に、晩年の宮本武蔵が自作し護身用として使用していたという「懐剣」があり、形状はほとんど同一であるという。ただ懐剣の方には刃があるのだという。

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本当にこんな道具を武藏が護身用として携帯していたのだろうか。
大いに疑わしい。
そのことが書かれている嚆矢は一体いつのどのような書籍なのだろうか。
晩年の武藏がこんな道具を持っていた可能性は限りなくゼロに近いのではなかろうか。
しかも武藏が使用したのは「長尾流鉄貫」であるなどと頓珍漢なことを書いている輩にいたっては言語道断である。
by japanbujutsu | 2015-11-17 21:55 | 宮本武蔵 Miyamoto Musash
新免二刀流心法奥義 「悟道無相剣」

新免二刀流の免許皆伝で授けられる奥義 「悟道無相剣」の秘伝書。

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新陰流における不動智神妙録に相当する伝書で、こちらは越後の澤水禅師の作である。

本邦初公開であるが、技法が現伝しているため、巻頭部分しか公開できない。

新免二刀流は二十三箇条の形(仕合勢法)を習得後、この極意伝を受ける。
by japanbujutsu | 2015-11-15 23:13 | 兵法二天一流 Nitenichi ryu
男薙刀の技法

筆者が五十嵐きぬ師範から相伝した穴澤流薙刀は、女使いの操法である。
だから形は膝を離さず小走りで行う。
しかし、五十嵐師範の二代前は新庄藩指南役の武士であり、男使いであったはずである。

一体、男使いとはいかなるものだったのだろうか。
それを検討するには、現在伝承されている以下の古流薙刀を参照するしかない。

香取神道流
念流
直元流

しかし、これらの流儀でも薙刀は女性が演武することが多いし、見ると男女ほとんど同じ動作で形を打っている。
これは敢えて女子用の形を残さなかったということだろうか。
江戸時代、薙刀の各流儀では、およそ女作法を教授したはずである。
そして、穴澤流、天道流、直心影流、楊心流、武甲流などでは女使いしか残らなかったのである。

それ以外は残された資料から検討していくしかない。
『武道図解秘訣』には貴重な男使いが図入りで紹介されている。
足幅が広いことがわかる。

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いただけないのは流儀を天神真楊流としていることである。
天神真楊流は柔術専科の流儀である。
by japanbujutsu | 2015-11-12 17:57 | 技法研究の部屋 Skill
現在行われている居合のうち、全日本剣道連盟加盟八流派などはいずれも無声の形であり(流派によっては時と場所によって発声している場合もある)、見ていて眠くなる。

現在、無声で行っている田宮流や英信流だって古伝書では掛け声の重要性を説いている。
掛け声のない武術は、いったいどのようにして練丹しているのだろうか。
技は声と一体であり、武術に掛け声は必須である。
筆者は多くの流派を修行してきたが、無声の流派は一つもない。

さて、林崎流の伝書を見ると、やはり掛け声を口伝として伝えている。

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日常の稽古で必須の掛け声を口伝とするのは合点がいかないが、単純な声の中に何か深い意義があるのかもしれない。

林崎流では掛け声を、
一 陽ノ声
一 陰ノ声
一 仕掛声
一 おつかかる声
一 ホヲ
の五種類に分けて口伝している。

現伝の林崎流は掛け声を掛けているのだろうか。
健全に稽古されていることを期待したい。
by japanbujutsu | 2015-11-10 17:25 | 技法研究の部屋 Skill

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