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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

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武術流儀の情報網

ユダヤ人がディアスボラとなって全欧州に分散したとき、彼らには信仰という絆による情報網が築かれていた。
どこの国でも少数派であり、差別や迫害を受けながら、しかしそのどこの国にも存在するという立場を利用して彼らの社会的地位は保たれていた。
徹底したスパルタ教育で社会の上層部におけるエリートとなり、大資産家となった。
この全欧州を 「支配」 していた彼らの中から、ロイターのような報道・通信のエキスパートが誕生するのもそうした背景があったからだ。

日本の江戸時代における武術にも同じような状況が存在した。
一部の学のない者たちが言う 「お留流」 なる流儀は存在した記録も形跡もない。
それどころか全国諸藩に散在している一つの流儀は特殊な情報網によって繋がっていたことが諸史料から判明する。
いろいろ例を挙げても仕方ないので、ここでは柳剛流を取りあげる。

柳剛流は本家が武州にありながら、実力的に同門随一であった一條 (岡田) 系が仙台角田に伝承し、現在は筆者が相伝している。
実際には角田に分家した形になったわけであるが、武州とは常に往来があり、それは記録として残されている。
また、伊勢の伝とも交流があった。
筆者が角田で見た柳剛流の居合稽古刀は、武州の岡田十内が使用した刀と瓜二つである。
次の写真は 『 埼玉の剣術 』 (戸田市立郷土博物館刊) に掲載されている岡田十内使用の居合刀であり、その下の写真は角田の佐藤家が所蔵する居合刀である。

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なお、切っ先が諸刃になっているのは返す刀で斬るためのものではない。
勝手な解釈をされては迷惑である。





(完)
by japanbujutsu | 2016-07-31 17:40 | 柳剛流兵法 Ryûkô Ryû
短寸手内剣を打つ

江戸時代に鍛造された手内剣のうち、今回は荒木流の短寸手内剣を打ってみた。
試行錯誤していると、これは近距離から打たないと威力や命中率が極端に下がることが判明した。

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そのため剣術の間合いをやや離れた九尺からの順体直打に専心してほとんど目に見えない速度で打つ。
近間だから命中率も高い。





(完)
by japanbujutsu | 2016-07-29 17:23 | 手内剣探究 shunaiken
四方投

四方投は柔術各流派に見られる普遍的な技法であるが、それぞれの流派では趣が異なっている。

四方投で有名な流派は大東流である。
そして、その流れで一大勢力を築いた合気道がこの技を継承している。
大東流の師範の中にはこの技の原理をまったく理解していない人もいる。

さて、この四方投は筆者が学んだ武術では、大東流、武田流の他に中澤流があり、また渋川一流にも潜投という同種の技がある。

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正しい四方投の理論を技法とともにチェコのフィリップ氏に教伝した。





(完)
by japanbujutsu | 2016-07-27 17:49 | 技法研究の部屋 Skill
チェコのフィリップ氏来日

先日、チェコから一人の青年が稽古に来た。
Filip Bartoš氏である。
チェコで古武道の道場を持つ師範である。

わがISBAに入会して、正しい日本の古武道を学びたいという。
すでに基本はできているから技の伝授はどんどん進むが、穴澤流薙刀などは特殊な体動を必要とするから、素振りだけでも大変な稽古となる。
居合はやや長寸の刀を貸与したら途端に姿勢が崩れたので、基本からやり直しである。
「忍術」や「現代居合道」をやっているので、その癖を取り除くのが難しいのである。
しかし、4日連続で稽古をしたから、かなりの教伝が進んだ。

まだまだ水月塾の武術(古流)の体動はできていないため、今後大いに稽古が必要であるが、チェコで稽古をさせなければならないために、支部を認可した。

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正統な江戸古流武術の大成を期待したい。





(完)
by japanbujutsu | 2016-07-25 17:26 | 演武会・講習会 Seminar
長寸方形棒手内剣

本日は江戸時代に鍛造された長寸方形棒手内剣を打つ。
やはり三間から半転順打で打つ。
畳表、即ちイ草面を使っているため、三間からの半転では強力に打たないと刺さらない。
手内剣そのものが重いので(八寸の鍛鉄)、刺さっても浅ければ首部を垂れてしまう。
しかし、刺さるときの「ズボッ」という鈍い音は快感である。

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この方形棒手内剣は、鍛える際に三枚重ねで打ってあり、鉄味が抜群である。

しかし、本日もまた、鬼への的中は十打中、一、二回程度で、多くは写真のように鬼面から外れている。
長寸手内剣での的狙いはこれからの課題である。





(完)
by japanbujutsu | 2016-07-23 22:29 | 手内剣探究 shunaiken
戸田流兵法

全国諸藩に広がり一大勢力を築きながら、悉く絶伝してしまった流儀に戸田流がある。

今、その伝書を見ると、居合に始まり、居合兵法、柔術、棒、半棒という構成になっている。

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発行者は根岸原子とある。
控え伝書であろうか、年月日と宛名がない。
しかし、御家流の見事な達筆である。

この伝書はISBAルーマニア支部長の所蔵品である。




(完)
by japanbujutsu | 2016-07-21 17:34 | 秘伝書の部屋 Secret densho
手裏剣研究

古流の武術を修行する者がその歴史研究、先人の顕彰、武具の調査保存、伝書解読などを怠ったら、それは単なる武技の習得にすぎない。
このことを否定する輩がよくいるが、概して武術のことを何もわかっていないか、ただの一つの流儀も免許皆伝に至っていない軽輩な連中であり、匿名でしかものを言えないろくでなしである。

さて、最近、手裏剣術のエキスパート、水月塾埼玉支部長の影響もあって、今まで興味も関心もなかった投擲武術の手裏剣にのめり込んでいる。

そこで先行研究をいろいろ見ているのであるが、どうも手裏剣を武具・武器の観点から総合的に研究したのは故名和弓雄氏ぐらいしかいないことがわかった。
たとえば、その収集された手裏剣に流儀名を付してあるのは圧巻である。

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しかし、そこで発表されている棒手裏剣はすべて武術流儀の手裏剣であって、それが 『忍術の研究』 で紹介されているのは腑に落ちない。
こと忍術に関して見ても、これまでの出版物でこの 『忍術の研究』 を越えるものは、筆者の知る限りおいては存在しない。

この本の中で写真掲載されている各流儀の手裏剣のほとんどは筆者も所蔵しているが、和鉄を鍛えて打った本物の手裏剣は鉄味が最高に素晴らしい。

武術を修行する者は、その周辺に存在する武術文化の研究をぜひ精力的に進めてほしい。





(完)
by japanbujutsu | 2016-07-19 10:44 | 武具の部屋 Arms
長寸三角棒手内剣

この江戸時代に鍛造された手内剣は長寸のため、かなりの勢いで打たないと刺さらない。

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そのときの注意は姿勢の崩れである。

巷の動画にあるような前傾姿勢で右足(後足)の踵が上がるような投球打法は絶対にしてはいけない。

三間の半転打で打つが、その後、根岸流の直打に移ると途端に的中率が下がる。

研究課題である。




(完)
by japanbujutsu | 2016-07-17 17:45 | 手内剣探究 shunaiken
片刃平型手内剣

時代手内剣のうち、片刃平型手内剣を打ってみる。
いわゆるカッターナイフ状の手内剣である。
間合いは三間(筆者は武術としての手内剣は三間以上の間合いは無意味であると思う者である)。
何度か打っているうちに、やはり半転打に落ち着いた。
直打でもコントロールで的中するが、この時代物の手内剣は半転打用に鍛えられていると判断した。

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大体において筆者の体験では六寸以上の手内剣(形状にもよるが)は、三間の間合いでは半転打の方が強烈に打てる。
もちろん未だ試行錯誤は続いている。





(完)
by japanbujutsu | 2016-07-15 17:31 | 手内剣探究 shunaiken
清心流手裏剣術

書庫へ入ってしばらく資料をあさっていると、清心流空手道開祖の菊地和雄が通信教育用に編集した手裏剣術の解説書が出てきた。

菊地和雄はウィキにも書かれていないが、実は藤田西湖の数少ない門人の一人で、神道夢想流杖術、大円流杖術、一伝流捕手術(短棒術)、それに心月流手裏剣術を学んでいる。
これらをすべて清心流の名のもとで再編して教授していた。

今、この清心流の手裏剣を打てる人はいるのだろうか。
清心流そのものが菊地の没後に自然解散してしまったので、その後のことはよくわからないが、今でもいくつかの空手道場が清心流として活動しているようである。

藤田伝の一伝流捕手術は筆者が学んでおり、資料があるが、菊地の伝と筆者が学んだ山村伝はほとんど同じ技法である。
菊地と山村は同じ頃、藤田に学んだのであろう。

手裏剣術は心月流から採用されており、ほぼそれを踏襲している。

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正中線を崩さずに打つ武術としての本物の手裏剣術である。
良い資料が見つかった。





(完)
by japanbujutsu | 2016-07-13 17:55 | 手内剣探究 shunaiken

by japanbujutsu