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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

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重房流棒術のこと

兵庫県の旧出石藩に人見流棒術とともに伝承されていた重房流棒術。
なんと驚いたことに、昭和の中頃まで稽古がされていたという。

これを当協会のドイツ支部長、Carsten氏が出石の武家屋敷でその奉納額を 「発見」 し、筆者に報告してくれた。
武具・書画・伝書など、展示してあっても興味・関心がない者は素通りしてしまう。
武道を稽古している者でも、このような歴史的遺産に興味がなければ同断である。
古武道を修行し、少しでも歴史に興味がある者が見ないと、それは倉庫に隠してあるのと同じである。
だから、正に 「発見」 なのである。
今般、我が協会の明石支部長、西躰氏が詳細に調査を進めてくれ、重房流棒術が昭和まで伝承されていたことを報じてくれた。

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しかし、今のところ伝承者は見つかっていないようである。
残念でしかたない。

関西では古流 (と言っても純粋な古流はごく少数) の人たちが、同門内で対立し、分派し、技や形にいたっては流儀崩れが激しく、健全に伝承されている流派は極めて少ない。
そんな揉め事の多い流儀に固執していないで、なぜ重房流のような純粋な古流を学ぼうとしなかったのか。
これは明らかに研究心の欠如である。

もう一度、公の場に登場している流儀ではなく、地方に埋もれている流儀を調べてほしいと思う。
若い人たちの奮起を期待したい。





(完)
by japanbujutsu | 2016-08-30 17:34 | 武術論考の部屋 Study
木製武術道具の手入れ

皆さんは木刀や棒などの稽古道具を新調したときにどのような手入れをしているだろうか。
何も手入れをせずにそのまま使ってはいないだろうか。
これではダメである。

新調した木製道具にはツヤがなく、木肌が乾燥している。
これをそのまま稽古に使うと、肌荒れ状態のためにささくれが生じたり、白樫の場合には柄に手垢が付いて非常に汚くなる。
古流に長く携わっている人は誰しもこのような経験があるはずである。
油が切れるとささくれができるのは当たり前。

それではどうしたらよいのか。
まずは新調したら油を薄く、軽くツヤがでるまで塗布する。
後は、年に2~3回程度塗布すればよい。

しかし、その油が問題である。
そんな油は市販されていない。
これは自作するしかないのであるが、その製造法が実は秘伝で、失伝しかけている。

筆者の父が骨董趣味であったために、どこからかこの油の製造法を学んできて、台所で作っていたのを覚えている。
台所から部屋中に油の臭いが蔓延したので、強く記憶に残っている。
しかし、そんなことに興味がなかった筆者は、その製造法など知るよしもない。
亡父が残してくれた、その油がそろそろなくなりかけてきた。
近いうちに、いろいろ試作してみようと思う。
果たして、同じものができるかどうか。

先日入手した柳剛流の木刀に早速、油を施した。
良い色になった。
これで木肌が荒れる心配もない。

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上は未塗布の木刀(未だビニールを剥がしていない=埼玉支部長用)、下は塗布済みの木刀(本部用)。
小さなガラス瓶が、最後の油。
みなさんも研究をどうぞ。
興味がある方は、わが道場に来れば、見本をお見せします。




(完)
by japanbujutsu | 2016-08-28 17:14 | 武具の部屋 Arms
自作の手内剣

明治期から戦前に作られたであろう鉄味のよい大工道具を加工して手内剣を自作してみる。
これらの大工道具は骨董商で安く入手できる。
購入の際の時代の見極めは、一緒に並べられている他の大工道具をよく見ること。
これで大凡の時代は判断できる。
なんといっても鉄味がいい。

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現代版のタガネやポンチは、S55C(機械構造用炭素鋼)に焼入を施して硬度を高め、ユニクロームメッキで処理したもの。
こんな柔軟性のない鋼は武具がもっとも嫌うもの。
だから昔の鍛冶屋が大工の注文に応じて自作したものを選びたい。

いろいろな方法で打ってみる。
おもしろい。




(完)
by japanbujutsu | 2016-08-26 17:55 | 武具の部屋 Arms
柳剛流の木刀

流儀にはそれぞれオリジナルの木刀が伝えられている。
この正しい長さ、太さ、形態の木刀で稽古をしないと、真の流儀の技は修得できない。
力信流では明治時代に岡山の大江家で使われていた木刀と、戦後、大長九郎が武徳会で使用した木刀の形態(現行型)が異なっていて、筆者としてはこれが大きなジレンマとなっている。江戸期の力信流木刀は柳剛流と同じで長くて無反りである。

柳剛流の木刀については、宮城県の角田・丸森地区に調査の手が回らず、未確認であったが、幸い埼玉県さいたま市の深井家に江戸期の木刀が残っており、それを採寸して製作した(上が柳剛流、下は現行の力信流用)。

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先日、できてきたので、使ってみる。
四尺以上あるので、まず間合いから異なる。

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そして、四尺の木刀を使うことにより、あることを悟る。
これは実際に柳剛流の技・形ができなければ実感できない。

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これは重要な口伝であり、そして秘伝である。
古流の古い木刀には四尺前後の長い木刀が結構残されている。
その真価を知ることができるのは、実際にこの木刀を使用していた流儀を今に伝える者たちだけなのである。

<余談>
この木刀は切っ先が切り落としのものとハマグリ型のものがある。
筆者としてはどちらでもよかった。
しかし、製作業者は何を思ったのか、平切り(柄頭と同じ切り口)で送ってよこした。
返送して作り直させようかとも思ったが、自分で削るのもまた一興。
切り落としにした。




(完)
by japanbujutsu | 2016-08-24 17:43 | 柳剛流兵法 Ryûkô Ryû
平型長寸手内剣を打つ

この日は平型長寸手内剣を打ってみる。
三間になると直打ではかなり難しくなる。
反転打で打てば的中するが、手の内がかなり危険である。
また、柄に巻糸があるので、直打で打つべきであろう。
一間半から直打で強力に打つと快適にザクッと刺さる。

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敵は動くので、三間以上は実戦ではあまり意味がなく、あくまでも武術の稽古としての鍛錬で、だからこそまた四間でも五間でも中たらなければならないのである。






(完)
by japanbujutsu | 2016-08-22 17:42 | 手内剣探究 shunaiken
小武器の位置づけ

ここで言う小武器とは柔術(捕手術)に付随して伝えられる小型の武器のことをいう。
最近は「隠し武器」などと呼ばれることが多いが、これは近年の造語である。
本来は筆者が今使っている小武器などという名称もなく、普遍的には「道具」 と呼ばれていた。
ただし、この「道具」という言葉は、武術界では「稽古場」と同じく、ほぼ死語になっており、なんとも致し方ない。

ここでは説明の便宜上、小武器と表記する。
小武器は既述したとおり、柔術の附伝であるから、柔術を十分に稽古し、当身技・関節技・投技・〆技などに精通していないと使いものにならない。

古流柔術を基礎から皆伝まで、正式な課程で長年修練していないと、小武器は役に立たない。
初伝を知らずに奥伝が使えるわけがない。
柔術をやらずに武器術だけを教えている(いた)人を何人も知っているが、概して構えも動作もなっていない。

まあ、それでも習う者が納得していればなんでもいいわけであるが、使えない武術はいつまで稽古をしても所詮使いものにはならない。
ボタンの掛け違いである。

水月塾制定柔術で使用する小武器(道具)の一部。

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(完)
by japanbujutsu | 2016-08-20 17:46 | 武術論考の部屋 Study
極細五寸手内剣を打つ

いわゆる五寸釘サイズの手内剣。
鉄質は劣るが、巻糸を施してバランスをよくした。

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我が家には武器製造室があるので、なんでも簡単に手入れができる。

さて、この手内剣、軽量ゆえに遠間は極めて不利。
つまり一間半の至近から素早く強力に打つ。

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コントロールはイマイチであるものの十発十中で的中するので爽快である。

今後の課題は重量剣と軽量剣を自由に打ち分けすること。
涼しくなったら研究してみよう。




(完)
by japanbujutsu | 2016-08-18 17:32 | 武具の部屋 Arms
現代作の手内剣

これは普段、研究に使用している手内剣の一部であるが、これらはもちろん現代作。

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最大の欠点は鉄の質。
コークスによる銑鉄では密度の粗い酸化しやすい鉄となり、武具がもっとも嫌う赤錆を帯びてしまう。
武具は面倒でも和鉄を鍛えて製作するべきである。

さて、この手内剣、夏に湿気に当たると途端に赤錆が発生する。
だから売り出すときには錆止めとして薬品を使って黒染めするのである。
最低の手段。

おまけにバランスが悪い。
そしてなぜか皆、短い。




(完)
by japanbujutsu | 2016-08-16 17:34 | 武具の部屋 Arms
ヨーロッパの闘技

ヨーロッパを旅行していると、いろいろな場所で古代人が格闘している彫像を見ることができる。
興味があるので、その都度ジロジロと眺めるのだが・・・
目に付くのはいつも・・・
しかし、どうして全裸なのか。
急所丸出しで・・・
まあ、ヨーロッパではレスリングもボクシングも元々奴隷階層がやらされていたことだから、紳士や富裕層はそんな下等な闘技に手を出さなかった。
見て、賭けて、騒ぐ・・・ただそれだけ。

しかし、古代ギリシャの男の理想像は筋肉質。
そう、それで勇猛さをアピールしたのだ。
まあしかし、獣ではあるまいに、葉っぱの一枚ぐらいは垂らさないと。

最初の彫像は片足を取られて持ち上げられた者が、上から頭を押さえつけている。

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こんな技はレスリングにはあるが、柔術にはない。

次の彫像は喉輪で敵を突き倒し、剣か何かで刺し殺そうとしている。

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竹内流のようである。




(完)
by japanbujutsu | 2016-08-14 18:20 | 武術論考の部屋 Study
手裏剣の手入れ

世の手裏剣を見ると、なぜだか解らないが、皆、黒染めされている。
販売されているものもほとんど黒染めである。
錆止めとして施しているのだろうか。
武具としては誠にセンスが悪い。

今、研究に使用している手裏剣 (筆者としては手内剣といい、あるいは朱利剣と書きたい) は稽古の後、刀剣と同じように丁字油を塗布している。

下は、研究用の根岸流タイプ手内剣

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余談であるが、手の平 (掌) は表か裏か。
日本では 「気を付け」 をしたとき手の甲が外に向くので、こちらを表としている。
だから掌に持つ手裏剣は 「手裏剣」 でよい。
しかし、西洋では (医学でも) 手の甲が裏となる。
背掌という用語も、人体は背中が裏になるための概念に起因している。
空手でも拳の甲側で打つのを 「裏拳」 という。
だから個人的には手裏剣を 「手内剣」 と言いたい。




(完)
by japanbujutsu | 2016-08-12 17:43 | 武具の部屋 Arms

by japanbujutsu