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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

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柔術はわが国固有の武術である

江戸時代の柔術の伝書に次のような文がある。

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異邦の書に拳法手搏の文字をここ(日本)にてやわらと訓す。大に非也。拳法手搏は今云捕縛の事也と云へり。此柔術は吾神国の古術混沌の妙術にして(以下略)


拳法の文字を「やわら」と訓ませるのは漢文の用例であり、したがって漢碑文に「やわら」の語を記すときも「柔術」ではなく、この「拳法」の文字をよく使う。
拳法・手搏を捕縛のこと、と解するのは早計であり、これはやはり徒手武術全般を指した言葉であると解するべきである。
しかし、中国の土着武術とわが国の武術は、技法的にまったく異なっており、中国のそれを採り入れた事実はない。
ただ、文化的、思想的な影響を強く受けていることは事実であり、それを混同してはいけない。

柔術も剣術も、そして棒術や居合も、すべてはわが国固有の武術である。

これは極めて常識的なことであるが、武術を始めて間もない人たちのために、敢えて記した次第である。






(完)
by japanbujutsu | 2016-11-30 17:58 | 秘伝書の部屋 Secret densho
心月流手裏剣

心月流手裏剣として売っていたので購入してみると、六寸しかなく騙された。
商品説明にはしっかり(約18cm)と明記してあったので、クレームは付けないが、これでは 七寸を定寸とする「心月流」 の文字を使うべきではない。

さて、これを打ってみると、実に感触が良い。

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最近、短小な手内剣をかなり打ち込んでいるので、使い勝手も良い。





(完)
by japanbujutsu | 2016-11-28 17:16 | 武具の部屋 Arms
時代手内剣

埼玉綜武館長の祖父江師範より古い手内剣を当塾に寄贈いただいた。

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実にありがたいことである。
これからまた研究させていただくとして、さっそく少し打ってみる。
丸径の棒手内剣で白井流と誤伝されている会津藩型である。

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非常に打ちやすく、手の内のすべりも良好である。
二間の直打でしばらく試技を続けてみたいと思う。
実際に使用するので、手入れをしないといけない。




(完)
by japanbujutsu | 2016-11-26 17:05 | 武具の部屋 Arms
欧州古手内剣

欧州の古い時代に使われた手内剣を二丁所蔵している。
樋が四面に入り、長い房が付く。

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この房が的中する際にパッと開く。
実に見事である。

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ダーツと違い、日本の手内剣の打様で打つ。
反転打にはまったく向かない。




(完)
by japanbujutsu | 2016-11-24 17:58 | 武具の部屋 Arms
阿吽の呼吸

初心者の演武を見ると、師範(打方)との攻防における合(ごう)、すなわち阿吽の呼吸ができていない。
同時に行う動作、タイミングをずらして行う動作、すなわち攻めと待ちの呼吸が合わないから形に緊迫感がない。
これを 「死形」 という。
つまりそれは形以前に一打一打の打ち込みそのものが甘いために、師範と同時に技を発してもわずかに遅れることに起因する。
まずは基本をしっかり学び、しっかり稽古を積み、手の内と呼吸の一致、すなわち気剣体の一致の修得に努めることが第一である。
そして、単純な合の稽古にこそ時間をかけることである。

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(完)
by japanbujutsu | 2016-11-22 17:26 | 武術論考の部屋 Study
不遷流柔術

不遷流柔術には多くの形があったが、現在どれほど残っているのだろうか。

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最近その消息を聞かない。
この流儀の乱取に用いる寝技は筆者が30年以上前に広島で学んだことがあり、水月塾制定形の裏技・変化技に採り入れている。




(完)
by japanbujutsu | 2016-11-20 17:07 | 秘伝書の部屋 Secret densho
五寸針手内剣の探究

五寸針手内剣を打つ人はあまりいないようである。
手内剣をやり始めると、皆、距離を延ばすことだけに夢中になり、手内剣の特性の研究などはほとんど行わないのではなかろうか。
長寸の棒手内剣や短刀型の豪快な打剣もそれなりに魅力はある。
しかし、失中したときにはその大事な手内剣を敵に奪われ、外した手内剣は後から回収しなければならない。
またしかし、そんな無様な姿態を聴衆の面前で行うことは武士として恥辱の至りである。
打つ (投げる) とはそういうものである。
そう、投擲武術の道具は闘いの場において、基本的に消耗品なのである。
これが武術と実戦の狭間の一つでもある。
ところがこの五寸針手内剣は外してもそう惜しくはない。
美的に優れず、しかも手元に五十本ほど携帯できるからである。
そして、比較的コントロールしやすく標的への的中率も高い。
あとは間合いの克服である。

本日(11/5)、一間から間髪を入れずに、二間まで一歩ずつ下がりながら十本連打を試技してみた。

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的中率は十中八九で、ほぼ敵の顔面を中てることができる。

五寸針手内剣、意外と面白い。




(完)
by japanbujutsu | 2016-11-18 17:50 | 手内剣探究 shunaiken
製本

筆者が学生時代、世の中にようやくコピーというものが出てきた。
国会図書館にまめに通い、前半をコピーしては、次の週に後半をコピーし、すぐにそれを製本した(一度での全本コピーは法で禁じられていた。しかし、二度行けば、結局は全本コピーが可能なので意味はなかった)。
全国の図書館にも、その図書館しかない本があれば出掛けていった。
直接出向しなければコピーの許可がいただけなかった。

今の人たちに当時の苦労を知るよしもない。
パソコンなどというものは姿も形もなく、ワープロでさえなかったのである。
情報は足で稼いだ。
だから、当時製本した今でも入手困難な資料が筆者の手元にはいろいろある。
これもまた武術史研究の一次資料となるのである。

資料・史料の読み重ねをしない者が、どこかで得たガセネタやネットで収集した嘘八百の情報で、安易にネット上に記載するから、そのような低俗な文章は絶対に引用するべきではない。

下は筆者が若い頃、コピーから製本まで自分でなした資料の一部。

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(完)
by japanbujutsu | 2016-11-16 17:12 | 武術論考の部屋 Study
極細五寸棒手内剣 第二段階

この極細五寸棒手内剣。
購入したときには 「騙された!」 と思った。
そう、ただの五寸釘の頭を取っただけのもの。
しかし、安価だったので、これも仕方のないことと諦めて、少しは手内剣らしくするために柄巻きを施した。

ここ最近、この何の変哲もない極細五寸棒手内剣に時間を割いて打つようになった。
それまで長大な手内剣がザクッと刺さるのに爽快感を覚え、そればかり研究工夫をしてきたのであるが、改めて極細五寸棒手内剣を打つと、いろいろな利点が見いだせるようになった。

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今回は標的に対して左右に身体を捌きながら五連打する方法を試技してみた。

極細五寸棒手内剣の武術としての利点
1 重ね打ち (同時に二本の打剣) ができる。
2 連続打ちでほとんど間を置かずに打てる。
3 斜め打ち (標的に対して斜角から打つ) でも直角に近い角度で的中する。
4 一度に10本以上持てる。
5 敵が防御しにくい(ほとんど見えない)。
6 5本程度であれば、左掌に隠して持てる。
7 安価に製作できる。


ただ一つの難点は、武具としての見た目。
日本武術の特性の一つはその使用する武具の美しさにある。
だから寸胴丸削り、寸胴角削り、鉛筆のような寸胴の六角・八角削りは美的に優れず武士は好まない。
そのうち懇意にしている鍛冶屋に依頼して、少し工夫を凝らした形態の細型五寸手内剣を作ってみたい。




(完)
by japanbujutsu | 2016-11-14 17:37 | 手内剣探究 shunaiken
武術における姿勢の戒め

昔から武術の世界には 「身の規矩」 という教えがあって、身体は特殊な技法を除いて基本的には常に地(床)に対して垂直に保つことが要求された。

そして足構えにおいては撞木足を大原則に据え、現行の剣道のような両足の爪先が前を向くことを良しとしなかった。

最近の手内剣術の動画を見ると、姿勢がまったくなっていないものが目立つ。
古流ではないからいいのではないか、と言いたいのかもしれないが、姿勢の基本が崩れたら、それは古流どころか武術ではなくなってしまう。
これらの人たちは多分、古流の武術を経験したことがないのだろう。
だから手内剣をただ的中すればいいというように、ダーツか何かと混同している感がある。

まず日本武術の大前提にあるのは順体であるから、古流では身体の捻りを極端に嫌う。
そのための身体の運用法が各古流にはしっかりと伝えられている。
だから演武を見ればすぐに古流かそうでないかを判別できる。
これを今、手内剣術を例に見てみたい。
『図解手裏剣術』 のイラストを見ると、立て膝打ちの場合、身の規矩をしっかりと守っている。

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立て膝がそうであるならば、立って打つときも同じでなければならない。
筆者が手内剣を順体で打つ所以である。
根岸流の成瀬氏の写真を見ると、姿勢がやや前傾しており、体もやや捻れている。

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これは逆体故の仕方のないことであるが、現在の人たちに比べれば、身体の傾きも捻れもかなり少ないことがわかる。
そしてもう一人、心月流手裏剣術の菊地和雄氏の打剣の際の姿勢を見てみよう。

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逆体であるが、全く前傾せずに身の規矩を守り、後ろ足の踵も浮いていない。
これが正しい投擲の姿勢である。

よくよく研究されたい。





(完)
by japanbujutsu | 2016-11-12 17:41 | 手内剣探究 shunaiken

by japanbujutsu