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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

真之神道流々祖直筆の免許巻

伝書を通じて歴代の師範と対話ができる。

古流武術ならではの魅力の一つ。

特に流祖と対話ができるとなると、その流儀の修行者にとっては希有の体験となる。

ここに紹介するのは真之神道流柔術の流祖、山本民左衛門英早直筆の伝授巻である。

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わずか1mの免許。

この免許を受けるためにどれほどの辛苦の修行をなしたことだろう。

宝暦三年(1753)の発行。

260年前に書かれたものである。

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表面の上下は金彩に彩られ、裏面には金粉が散らしてある。

何とも貴重な巻物であるが、現在、この流儀を継承する人がいないのは非常に残念なことである。
# by japanbujutsu | 2013-05-11 19:26 | 秘伝書の部屋 Secret densho
京都の武術 新海流

少なくとも明治時代までは京都市内に伝承していた武術がある。

新海流。

剣・柔・棒・縄の総合武術である。

流祖は京都東寺の住人、樋口南海茂広。

建仁寺禅居庵摩利支天堂に明治三十三年に掲げられた新海流剣術の奉納額がある。

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願主は井尻長久斎源正信。

当初掲げられていた木刀は盗み取られて現存しない。

そして筆者の手元には、この新海流柔術の秘伝「当身急所図」の伝書がある。

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よくよく見ると、人間の図が、寸分違わず描かれている。

何のことはない、木版にして押しているのである。

これは便利である。

明治の掲額であれば、昭和の時代まで伝承者がいてもいいような気もするが、聞いたことはない。
# by japanbujutsu | 2013-05-10 20:15 | 秘伝書の部屋 Secret densho
楊心流と揚心古流

楊心流の二大系統に、従来、秋山系楊心流柔術と別系に扱われていた「揚心古流柔術」がある。

この両流派の関係について全く新たな見解を発表する。

楊心流柔術の事実上の元祖とされているのは大江専兵衛義時である。

大江の門人として傑出した三浦貞右衛門は、肥後藩楊心流薙刀で大江の次代に名のある三浦定右衛門のことである。

秋山系楊心流とは別系とされている揚心古流の流祖「三浦揚心」は、この三浦定右衛門と同一人物である可能性が濃厚である。

「貞」と「定」はともに「てい」あるいは「じょう」と読む。

揚心古流の二代目阿部観柳は、三浦定右衛門に師事した豊後杵築の手嶋観柳と同一人物であろう。

揚心古流の三代目、江上観柳司馬之助部経は豊後の人で、阿部観柳はその叔父に当たる。

手嶋観柳の門人である阿部貞右衛門も阿部姓である。

揚心古流は幕末には戸塚派揚心流と称し、明治初年には柔術界の雄として講道館と双璧であった。

もちろん戸塚派揚心流の形は、秋山系楊心流と名称も内容も大同小異である。

以上を系譜で示してみると次のようになる。

  秋山四郎兵衛義直
  大江専兵衛義時(楊心流)
  三浦貞(定)右衛門衛門(揚心古流)
  阿部(手嶋)観柳
  江上観柳司馬之助武経

と極めて簡潔な系譜になる。

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近世武家社会は個人の変姓変名が頻繁に見られるため、近世から楊心流の系譜は真実が見えなくなってしまっており、昭和になって武術史研究が盛んに行われても、この謎を解明できた研究家は一人もおらず、かの綿谷雪氏も両者を全く別の流系として扱っていた。

楊心流は「楊」の文字、揚心古流は「揚」の文字を用いることはすでにいろいろな機会に述べてきたことである。

かつて日本武道学会で論文を発表した際、筆者(会長)の論文に書かれていた「揚心古流」の文字を編集人が勝手に「楊心古流」と筆者に無断で改竄した。「大きなお世話」とはこのことであり、筆者は発表会場でこの杜撰な編集態勢に苦言を呈した。

そのレベルにしかない学会に籍を置くべきではないと考え、早々に退会届を提出した。
# by japanbujutsu | 2013-05-08 14:27 | 武術論考の部屋 Study
第28回諏訪明神社奉納演武会

平成25年5月5日、水月塾恒例行事の富士山北口諏訪明神社奉納演武会が開催された。

演武に先立ち、北口本宮冨士浅間神社で演武者一同安全祈願の正式参拝を行い、好天に恵まれる中、午後一時より演武を行った。

演武種目は次のとおり。

 力信流居合(本部会員)    
 荒木流抜剣(本部会員)   
 金鷹拳(年少会員)       
 日本柔術(神奈川支部)
 神道無念流立居合(本部会員)
 力信流剣術(本部会員)     
 警視流居合(神奈川支部)
 居合基本形(年少会員)
 力信流棒術(本部会員)
 太刀対鎌(年少会員)
 太刀対十手(年少会員)
 太刀対小太刀(年少会員)
 穴澤流薙刀(本部会員)
 新免二刀流剣術(本部会員)
 神道無念流立居合(会長)

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# by japanbujutsu | 2013-05-06 09:19 | 演武会・講習会 Seminar
武術の免許状のこと

武術の伝書にはいくかの形態がある。

一 伝授巻(巻子) いわゆる巻物で、これが一番多い
二 冊子 帳面状に和綴じされた伝書
三 折本 アコーデオンのように長い紙を折り込み小さな長方形に綴じたもの
四 切紙 一枚紙の中央を折り、上下に逆向きに記したもの
五 許状 今回紹介するような一枚紙全面を使って記す。現在の賞状の原形

この免許状のタイトルは『許状之事』。

現在の用紙サイズではB3の大きさになる大きなものである。

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差出人は稲垣重郎兵衛入道玄貞の門人で、見当流を開いた大石九郎左衛門久道で、元禄十六年(1703)に北田五郎兵衛に宛てている。

諱久道の立派な円判を押している。

稲垣は『武芸流派大事典』によれば、貴直流の祖というが、諱が相違しているため、同一人物かどうかわからない。

元禄十六年は江戸開府百年の年であり、元禄地震が起きた年でもある。また同じ大石性の大石内蔵助が亡くなった年でもある。
# by japanbujutsu | 2013-04-30 17:03 | 秘伝書の部屋 Secret densho

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