ブログトップ

国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

japanbujut.exblog.jp

本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

本邦柔術の最高水準に達した柴真揚流の当身秘伝

江戸時代には様々な流儀で当身の研究がなされたが、古今東西、柴真揚流の水準に達した流儀はない。すなわち日本柔術の当身の研究においてダントツに優れた内容を持つのがこの柴真揚流である。

b0287744_0504444.jpg


一つの形の中においても必ず当身が2~3回入り、最後のトドメは肘当を打ち落とす。凄まじい柔術である。

b0287744_13373621.jpg
                            捕:町川師範  受:会長

この柴真揚流には最高秘伝として「遠当の秘術」が伝えられた。これにもいくつかの種類があり、砂と毒粉を混ぜたものや化学物質を合成して作ったものもある。驚くべきことに柴真揚流では「サリン」と同質の劇薬を考案していて、戦時中に効果大として表彰を受けている。これらの遠当の術は道場を閉め切って、年に何回か実地練習を行っていたとのことである。
# by japanbujutsu | 2013-02-03 13:43 | 柴真揚流柔術 Shibashinyô
武蔵流剣術印可之伝 五角之秘術

b0287744_2030360.jpg


八戸藩に武蔵流剣術が伝えられていた。宮本武蔵流ともいい、武芸十八般を修めた岩山勘解由が師範家だった。

五角之秘術というのは日常の心得、すなわち外之物の伝のことをいう。

伝書の前書に、
伝に曰此伝五角と号す事則ち敵四方に有て我中央に有・・・
とある。

その五箇条とは、

一、寝間之用心恪勤之事
一、昼夜通路用心覚悟之事
一、門戸出入渾而往来用心恪悟事
一、常に起居嗜之事
一、抜付之大事

たとえば、抜付之大事には次のようなことが書かれている。
二人請たる時、真中に目付、右の方の人を踏込切り受なから、左りえ廻り切るへし。幾度も如是すへし。是習之大事也。
とある。

五つにまとめたところが何とも武蔵流らしくてよいが、実はこの第一箇条の寝間之用心が神道無念流の秘伝にそのまま盗用されている。伝書の一部を盗用することはよくあることだが、あまり好ましいことではない。特に八戸藩伝の神道無念流を修行する者としては複雑な気持ちである。
# by japanbujutsu | 2013-02-02 20:31 | 秘伝書の部屋 Secret densho
浅山一流三尺棒

b0287744_20311675.jpg
                     谷田師範から三尺棒・六尺棒を学ぶ会長

渋川一流柔術には浅山一流の棒術を中心とした諸術が併伝されている。そのうち古伝を正しく伝えているのは六尺棒だけである。居合は明治以降失伝し(現在渋川一流居合と称して広島で行われているものは創作である)、捕縄は簡略化されたものを畝重實師範が伝えていた。

六尺棒は八箇条あって、これを表と裏で形を打つ。首藤蔵之進が得意とした武術である。

三尺棒は一般には「半棒」と呼ばれているもので、91㎝の棒を使用する。

b0287744_1554371.jpg


古伝は伝書にある通り、「雲払」「麒麟」「下之部」「無双」「芸州」の五箇条しかなかったが、大正から昭和にかけての時代、技法の大変革がなされたときに、三尺棒は古伝を失い、渋川一流の技法を採り入れた別の技法になってしまったのである(詳細は会長の著書『渋川流柔術』を参照)。

元来、三尺棒は太刀を相手にして三尺棒を使う者が勝つ手筋を教えるものであるが、渋川一流の技法を採用したことにより三尺棒は敵がこれを持ち、我は三尺棒で打ち掛かる敵を素手で取り押さえる技法に変わってしまった。

しかし、これは歴代の相伝者が協議をしてなしたことであり、今現在、この流儀を学ぶ者はそれはそれとして正しく伝えていくのが責務である。
# by japanbujutsu | 2013-02-02 15:10 | 渋川一流柔術 Shibukawa
天下無雙流捕手大目録

戦国時代の末期、全国各地に捕手術という徒手武術が萌芽した。

一般にはその一つ竹内流捕手腰廻が有名で、柔術の源流と目されているが、実は同時代にいくつかの捕手術が各地で確認されている。

その多くは「無雙流」あるいは「夢想流」と名乗るもので、江戸初期には全国諸藩に拡流している。

今回はその一つ、天下無雙流に伝わる捕手大目録を紹介する。

天下無雙流。創流は天正十一年十一月。出羽国秋田郡日山庄に摩利支尊天が老翁に化して現れ、数十箇条の捕手、その他無比無類の兵法を櫻場采女正に伝えた。

本形は三十五箇条からなり、多彩な道具を伝えている。

b0287744_1654785.jpg


雲流見 満力 夜幕 無明 千力 千人力 虎助 大拭 縄 手棒

この流儀は後に九州肥前佐賀に伝承したが、明治初期の教育改革ですべて消え去った。

b0287744_166168.jpg

# by japanbujutsu | 2013-01-26 16:07 | 秘伝書の部屋 Secret densho
神道無念流と警視流

明治時代に制定された警視流居合の二本目に神道無念流立居合から採用された「無双返し」の形がある。

神道無念流に後方の敵を振り返って斬る形は三本目しかないので、その三本目が採用されたことになる。

今、神道無念流の伝書からその三本目の形を抜粋してみる。

b0287744_2239456.jpgb0287744_22395713.jpg



















第参
右足より三歩進み、左肩より後を見、左へ廻りて右足を踏み込み、抜き付け、左足より進んで右足に斬り、霞んで左足を進めて右足を開き、右方の敵首を斬る


警視流無双返し
右足より前進中、右足が付くとき、廻れ左をなし、右足を出すと同時に刀を抜き、右上に切り上げる(左手は柄を握る)。左足を進め刀を左から頭上に廻して右足を出して正面を斬る。左足を前に出して上段に構え、残心。以下納刀所作略。


警視流にはこの最後の肝心な首を斬る動作が抜けている。警視流は五本の形をすべて同じ理合にしてしまっているため、古流のそれぞれの特徴が薄れてしまっている。神道無念流は抜刀や納刀の所作まで採用されているため、まだ良いと思うが、他の四流儀はまったく原形を保っていないのではなかろうか。
# by japanbujutsu | 2013-01-19 22:44 | 神道無念流居合 Munen ryu

by japanbujutsu