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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

捕縄の仕舞形

先に 「七座之伝」 を紹介した広島文武館発行の長尺伝書に「鍵縄并ニ三筋綱仕舞形図式」が描かれている。

捕縄掛様の伝書は多いが、仕舞形を図式した伝書は珍しい。

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しかし、実は筆者が注目したのは、この図よりも、その右に書かれた二行書の方である。

  程子語
    陽気所発金石示透
    精神一到何事不成


これは筆者が高校時代から座右の銘にしている言葉である。

      陽気の発する所金石また透る精神一到何事か成(な)らざらん   程子

ここぞの機会、この時においてすれば必ずできる、という確信があって、一心不乱、脇目もふらずに事をすれば、余程難かしい事でも、案外容易に成就する。

この際、狐疑があってはならない。臆してはならない。逡巡してはならない。猶予してはならない。拘泥してはならない。一切万事を余事に付して、ただ一念のみでする。

これでなければだめだ。諺に、

     一念は起すとも、二念は起すな

という。狐疑し、ないし拘泥するのは、二念を起こすことになる。二念を以てしたのでは、見事な成功は、まず挙げられない。

昔、沢庵禅師が、三代将軍家光の剣術指南柳生但馬守宗矩のために、剣術の極意を示した奇書 「不動智神妙録」 の一節にいう、

何事も、なさんと思うことを、ずんと思い切ってするは、本心なり。こうしようか、しまじきかと、二途に亙るは血気なり。二途に亙りて、分別極まらざることをすれば、必ず悪し。これ血気に惑わさるるなり。

このことを、為さんと思わば、一途にしたがよし。二途に亙る程ならば、なすべからず。初め一気は、皆な本心なり。二つに亙るは、血気なり。本心ならば皆なよし。血気は悪し。何事も怖じるな。怖じれば仕損うぞ。怖ずるは平生のこと、場へ出ては怖ずるな。溝をばすんと飛べ。危うしと思えば陥るぞ。と。一心不乱、脇目もふらずに事をせよ、との意に外ならぬ。

武術を嗜む者、心に深く念じてほしい。
# by japanbujutsu | 2013-07-08 21:06 | 秘伝書の部屋 Secret densho
荒木流兵術手鑑

荒木流は竹内流から出ているが、他流からの影響もあり、また歴代相伝者の工夫や増補もあって、かなり独特な内容を持っている。

よって荒木流は日本柔術の源流の一つともなり、ここから分派した流派も多いのである。

現在は群馬県の他、兵庫県や神奈川県にも流裔が残る。

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『武芸流派大事典』にはこの伝書と同じ系譜は記載されてなく、何藩に伝承した系統かは不明である。

この伝書の題には 「手鑑」 と書かれているが、これは形の解説伝書のことをいう。

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兵術というのは総合武術のことであるが、この伝書では棒術の解説だけしか記されていない。

しかも、要点しか書かれていないので、習得者だけにしか理解できない。

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筆者は三十年近く以前、この流派の抜剣(居合)を学んだが、教授していただいた方も免許は持っていなかったので、当協会でも有段者の心得として教えている。

驚いたことに、群馬県に伝承されている荒木流の抜剣と本数も名目も全く同じでありながら、形がまったく異なっているらしい。

先方にはかつて一度だけ、形を比較させていただきたい旨を連絡したが、流儀のことに関心がないようで、交流することはできなかった。

同じ流儀を学ぶ者として誠に残念でならない。
# by japanbujutsu | 2013-07-06 20:58 | 秘伝書の部屋 Secret densho
鞍馬真影流丹術

今回紹介する伝書の流儀は鞍馬真影流という。

もちろん未見の流儀。

鞍馬というから牛若丸に関係があるのは神文誓詞文を読んでもわかる。

しかし、その術名を「丹術」という。

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初見である。

「天狗帖」や「紙鉄砲」が極意であるというから、柔術なのかな、とも思ったが、目録を見るとどうも棒術のようである。

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ありがたいことに師弟の居所が書かれている。

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師範の立美弥介は播州神西郡左城村、被授者の岸本兵三郎は阿州丹北郡矢田部村の人。

ほかにも資料が出てくるかもしれない。
# by japanbujutsu | 2013-07-05 19:43 | 秘伝書の部屋 Secret densho
浅山一伝流柔術の探究

浅山一伝流を探究して三十年以上の歳月が流れた。

実技は学生時代に東京に伝えられた柔術・捕手術の修行から始まり、仙台藩の柔術、広島の棒術を習得した。

その間、日本武道学会では 「剣豪浅山一伝斎について」 の論文を発表し、巷間に流布していた誤った当流の歴史を正した。

また、約二十年前には 『武術浅山一伝流』 を刊行し、発売後まもなく完売した。

しかし、その後もさまざまな伝書に巡り合い、この流儀の全貌は到底見ることができないことを実感する。

それはこの流儀が江戸時代における武術の最大流派であったことにも関係している。

今回紹介する伝授巻の浅山一伝流は、明らかに江戸森戸系の流れを汲むものて゜あるが、かなりの改編が見られ、この系統が何藩に伝播していたのかは今も不明のままである。

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学会で正史を発表しても、著書を発刊しても、誤った史観を平気で発表している者もいるし、ひどい例では絶えたはずの系統を引っ張り出して、あたかも相伝されてきたかの風に脚色して世を欺いている者たちもいる。

こんなことだから武術界はいつになっても浄化されない。
# by japanbujutsu | 2013-07-04 21:51 | 秘伝書の部屋 Secret densho
馬術の神 「馬櫪尊神」

『北斎漫画』の馬術の項の最初に 「馬櫪尊神(馬櫪神・馬歴神)」 が描かれている。

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馬の守護神で、厩 (うまや) の神でもある。

馬を供養する石造物として全国各地にその文字塔を見ることができる。

両手に剣を持ち、両足で猿とセキレイを踏まえている像として描かれるとされるが、この絵では手が四本であり、セキレイと猿も手で捕まれている。

中国から伝播した神で、両剣で馬を守り、猿とセキレイがその使者。

セキレイは馬を刺す害虫であるブヨなどを食べてくれる。

馬の「午」は火を表し、猿の「申」は水を表していて、荒馬を鎮めるという意味や、火事から厩舎を守るという意味がある。

馬は、農耕だけでなく、武士にとっても重要だった。

猿は帝釈天の使者という説があり、中国では悪魔退散の意味から崇められていた。

さて、今回この像を採り上げたのは、そんな馬術の神としての存在ではない。

この神が残る両手に持っている剣、すなわち「小太刀二刀」である。

現存する武術では天道流と柳生心眼流が伝えており、筆者はその両方を学んだ。

柳生心眼流のそれは来歴がはっきりしないが、天道流では江戸期から相伝された歴史が明白である。

しかし、以前にも述べたとおり、小太刀(脇差)を二本差すという想定は存在しない。

武術の世界だけに存在する非現実的な想定である。

戦っている最中に敵の小太刀を奪って使う、などというとんでもない話を聞いたこともあるが、武士は他人の業物を奪って戦うような不作法なことはしない。

宮本武蔵が二刀使いの嚆矢であるなどという説は、武術史を知らぬ者の言であるから無視するが、このような民間信仰の中にも両剣思想があるのであり、また中国の信仰とその我が国への移入なども総合的に視野に入れて考察を進める必要がある。

倉魔(鞍馬)流剣術の絵目録に『北斎漫画』に描かれている馬櫪尊神と同じ構えをした烏天狗が描かれていて興味深い。

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# by japanbujutsu | 2013-06-30 11:24 | 武術論考の部屋 Study

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