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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

柳生心眼流兵術の伝書類

柳生心眼流兵術は柳生心眼流の総合武術のうち、拳法柔に付けられた名称で、名人高橋彦吉はこの兵術しか修めなかった。この兵術には謎が多いが、星家に相伝されたものは、表ヶ条(7)、中極(7)、落(7)、切(7)、切紙免許(14)、目録免許(14)、甲冑免許(28)、小具足免許(28)、皆伝免許となっており、百ヶ条を超えている。釜石伝では約三百の形を伝えている。

また鈴木兵吉は「兵術柔」を創設して、やはり七十ヶ条以上の形を伝えた。鈴木兵吉系には「切紙」以降の形がなく、他流から形を持ち込んでいるため、高橋彦吉がどこまでの形を伝えていたかは今となっては不明である。

いずれにしても各系統には表・中極・落・切の二十八ヶ条以外にも多くの形を伝えていて、流儀の内容は豊富である。会長が最初に学んだ全日本中国拳法連盟では表を初伝、中極を中伝、落を奥伝として教えていたが、そのような階梯は柳生心眼流にはなく、これらの二十一ヶ条を修めただけでは、本当の体系の初伝レベルにも至っていない。

伝授巻は、表・中極・落・切までの二十八ヶ条を修めて『柳生心眼流兵術(切紙)』
その後の数十ヶ条を修めて『柳生心眼流秘伝目録(中意位)』
秘伝・口伝・教授実績などを吟味して『柳生心眼流免許御免目録』

が伝授され、その他、形以外の口伝書数巻を伝授にしたがって受ける。

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                     会長が授けられた柳生心眼流兵術の伝授巻
# by japanbujutsu | 2013-04-03 20:46 | 柳生心眼流兵術 Shingan ryu
柔術渋川一流の伝書類

渋川一流の伝授巻物は、形の履修が終了したところで授けられるものが二巻ある。

すなわち『渋川一流中極意巻』と『渋川一流上極意書』がそれであり、それぞれ数メートルの長さがある。

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                            会長が授けられた伝書

『渋川一流中極意巻』は三百手の形を履修した後、約三年間の稽古期間をおき、師匠の前でその全ての形を演武して授かる。受けはすでに『渋川一流中極意巻』を持つ者が交代しながら行う。

『渋川一流中極意巻』を授けられた者は流儀の「諱」を与えられ、独立して稽古場を持ち、弟子を取ることが許される。

『渋川一流中極意巻』を得た後は、さらに修行を重ね、当身、裏、三段裏、死活、整骨、経絡指圧、極秘伝(口伝)などを学び、『渋川一流上極意書』が授けられる。

ここにいたって初めて正式に流儀を相伝し、代を継ぐことになる。
# by japanbujutsu | 2013-04-02 22:11 | 渋川一流柔術 Shibukawa
秘伝のこと

江戸時代の武術には必ず秘伝がある。

秘伝は極意、極秘、奥伝、秘奥、奥意など、さまざまな呼び方がある。

現代武道には秘伝はない。なぜないのか。それは古武道になぜ秘伝があるのかが分かれば、現代武道になぜないのかがわかる。

まず、古武道の世界では流儀の内容自体がすべて秘密であり、稽古場も外から内部の稽古の様子を見られないように窓を高い位置に設けてある。

その理由を多くの高名な師範たちは揃って「秘伝技を他流の者に知られると、いざというときに裏を取られて敗北するから」と言っている。

そんなバカなことがあるわけない。

その稽古の様子を見られた流儀の者たちは、他流試合の際に何百も存在する形(技)の中から、いつも秘伝技しか使わないのだろうか。また、それを盗み見した者は、相手が秘伝技を必ず使うと思って、斬り掛かるのだろうか。

そんなバカな奴はいるわけない。

心貫流棒術・扱心流躰術の起請文第一項に、
   一 御当流入門誓紙之上□共雖為親子兄弟白地他見他言いたし申間鋪事


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とあるのは、師範の地位を維持するための方策に他ならない。

秘伝が多くの人たちに知られてしまっては商売(武術指南)が成り立たない。辛苦の修行を積んだほんの僅かな門人だけが知るからこそ、その価値があるのである。

料理屋の「秘伝のタレ」「秘伝の隠し味」と同じである。どこの料理屋でも同じ味が出せたら、その料理屋の存在意義がなくなってしまう。

第一、実戦において秘伝だ、奥義だなんて、そんなことに拘っていたら、勝てる勝負も負けてしまうだろう。

また、秘伝技は高度な技だなんて思いこんでいる輩もいるようだが、高度な技だったら見せても盗まれることはない。簡単だから秘伝にするのである。

知ったかぶりしてものを話す人たちのことを鵜呑みにして信じていると、文化はいつまで経っても正しく解釈されることはない。

必ず自身で検証しなければいけない。

現代武道に秘伝がないのはスポーツであり、競技であるから、全ての体系・技・ルールをすべての競技者が平等共通に持っていなければならないためである。
# by japanbujutsu | 2013-03-30 15:02 | 武術論考の部屋 Study
不遷流柔術

幕末、広島の拳骨和尚こと武田物外によって開かれた流派。
難波一甫流が元となり、柔術を主体に各種武術を併伝した。現在でも伝えられていると聞くが、その演武を見たことがないので、ここでは触れない。
紹介する伝書は、昭和四年に発行されたものであり、戦後まで正しい相伝者がいたことが分かる。
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今では講道館柔道が完全なスポーツになってしまったため、戦後は古流柔術との試合は見られなくなってしまった。
戦前に修行した人たちの多くは不遷流といっても、形は修めず、もっぱら乱取りを稽古していたという。
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この伝書も明治時代に講道館を苦しめた田辺又右衛門の系統のものであり、「大変之業」が記されているが、乱取りが主体であったと思われる。
# by japanbujutsu | 2013-03-29 22:16 | 秘伝書の部屋 Secret densho
平常無敵流小太刀

流祖は山内甚五兵衛直一。

新陰流他、いくつかの流儀を学んだが、多賀伯庵聚津に学んだ富田流の小太刀をもっとも得意とした。

その富田流の色を最も濃く残して新たに平常無敵流兵法を興した。

今回、紹介する平常無敵流兵法の蜻蛉絵目録は、駿州吉田藩に伝承した系統のものである。

目録の蜻蛉絵には一つずつ和歌が添えられている。

      山彦剣 五輪砕 右行剣 左行剣 粘附剣 獅子洞入
      天狗羽返 請流 無名剣 微塵剣 真妙剣


この十一ヶ条には元々形が無かったが、紛らわしいので図解で示す、と伝授巻の奥書きにある。

この伝授巻は文政十二年に安田三太夫勝光、安田俊八郎勝英、原田源太夫為忠の三者連名で柳本誠之助に与えられた。
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複数の師範が連名で一つの伝授巻を差し出す慣習は吉田藩によく見られるものである。
# by japanbujutsu | 2013-03-23 15:26 | 秘伝書の部屋 Secret densho

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