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国際水月塾武術協会 International Suigetsujuku Bujutsu Association

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本会が伝承している武術流派と古武道全般の技法・歴史・文化などを解説します。文章・記事・写真の転載は固く禁止します。

第5回尚林流空手道大会演武


昨日(4/27)、吉川貴光宗師率いる尚林流空手道道心舘による「第5回尚林流空手道大会」が開催された。

この大会は常に斬新なアイデアを採り入れ、楽しくも決して本来の空手道から離れることなく、参加者が皆生き生きとして競技していることが素晴らしい。

水月塾からは私(小佐野)と横浜支部長吉元が、天道流杖術連続技と穴澤流薙刀を、私が関口流抜刀を演武した。


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この大会では、毎回、吉川貴光宗師と尚武舘下田宗延舘長が二人同時に同じ形を演武するのが恒例となっており、今回は「バッサイ」の名演武を拝見することができた。

同じ形でも動作や緩急に違いがあり、見応え十分である。


そして今回は初めて居合競技を採り入れた。

これは私が指導したもので、基本の「十歩抜」と警視流居合によるトーナメント方式で行われた。


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来年のレベル向上が期待される種目となった。




(完)

# by japanbujutsu | 2025-04-28 11:57 | 演武会・講習会 Seminar
江戸期における婦女子の帯刀


武術史を含む歴史一般について研究する際に特に心掛けなければならないのは、先入観の払拭である。

たとえば、今回の表題である「江戸期における婦女子の帯刀」について考察する際に、「江戸時代に帯刀できるのは武士だけである」という誤った先入観を持っていると、考察はそこで止まってしまう。

近世において歴史の舞台にほとんど登場しない婦女子は、武術史においても同じことが言える。

そもそも婦女子が帯刀できるわけないと。

ところが、江戸期に発行された様々な文献を渉猟してみると、婦女子が普通に帯刀している挿絵を散見する。

下の図は『和漢名画苑』に掲載されている挿絵である。

しっかりと婦女子が帯刀しているし、肩に担いだりしている。


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もう一度、江戸期における婦女子の正しい身分と位置づけを再考察しないといけない。




(完)

# by japanbujutsu | 2025-04-26 06:19 | 武術論考の部屋 Study
井上派天神真楊流柔術


学生時代、全日本中国拳法連盟茅ヶ崎支部の西郡師範から天神真楊流柔術を学んだ。


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大学卒業後には、佐藤金兵衛師範からも教えを受けた。


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手控えを執ってあるので、百二十四手すべて打つことができるが、『天神真楊流柔術極意教授図解』を見ると、やや違っている形も二十数手ある。


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また、「崩し」と「裸体捕」は師匠もあまり正しく伝えておらず、稽古もほとんどしていないということで、かなりあやふやな部分が多かった。


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しかし、折角学んだ貴重な流系であるから、私が学んだ「手解」から「極意上段」までの形は後世に伝えたいと思う。


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井上派天神真楊流柔術系譜

流祖 磯又右衛門柳関斎正足
二代 磯又一郎柳心斎正光
三代 井上敬太郎柳均斎正房
四代 井上縫太郎
五代 井上武雄柳心斎正英
六代 佐藤金兵衛
七代 西郡多喜雄
八代 小佐野淳
※六代目からは免許皆伝ではない。





(完)

# by japanbujutsu | 2025-04-24 16:21 | その他の流儀 Others
専心殺倒流拳法


私が弱冠二十一歳で創始した〝専心殺倒流拳法〟。

初伝、中伝、奥伝各百手、合計三百手から成る護身拳法である。


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すべて全日本中国拳法連盟茅ヶ崎支部の西郡師範から学んだ技。


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空手の約束組手に近く、それに柔術色が加わる。


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当時学んだ技のうち、流儀が不明な技を集大成したもの。

おそらく、義鑑流骨法、虎倒流骨法、九鬼神伝打拳体術など、西郡師範が皆伝に至ってなかった流儀の技を、ランダムに教えたものであろうと推察する。

毎回の稽古で数手ずつ学んだもので、当時ともに稽古をした者は記録を残していないため、今となっては私以外に知る人もいなくなった。

半世紀近く誰にも教えず秘してきたが、相伝も危ぶまれてきたので、公開することにした。

近日中にまずは初伝の百手を公開する。




(完)

# by japanbujutsu | 2025-04-20 23:13 | その他の流儀 Others
『養生一言草』(五)


最後はお待ちかねの柔術と取手である。

まず、説明は次のとおり。

柔術(やはら)
此術は無理なる力をいれずして立合左右上下前後の受はつみ先の気の乗にしたがつて己が術を施ゆへ先の力を以て此方の高名にする業なり故に柔術とは名付たるかなべし是も諸流多し気の落者を第一とす
取て(とりで)
取手は先の人を取終する工夫也夫故其手を受人も我をねらふと覚悟を極め胸を居て居所を能見定飛込で取術故に柔術とは似て表裏也手足のおさへどころ胸腹の中所其人に応じて為業故にゆるかせならさる芸也古来名人は己に一倍も大なるもの取終さたる輩枚挙すへからず此術も名人に至れば無理なるを□して其術にいたるは養生の一つ也

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上図は首捻りから背後に廻って髪取りに極めている場面、下図は腕逆を取って押さえ付けている場面であろう。

鉢巻きは前縛りになっている。

さすがに北斎の弟子らしく、見事に描いている。




(つづく)

# by japanbujutsu | 2025-04-16 06:46 | 武術論考の部屋 Study

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