江戸期における婦女子の帯刀
武術史を含む歴史一般について研究する際に特に心掛けなければならないのは、先入観の払拭である。
たとえば、今回の表題である「江戸期における婦女子の帯刀」について考察する際に、「江戸時代に帯刀できるのは武士だけである」という誤った先入観を持っていると、考察はそこで止まってしまう。
近世において歴史の舞台にほとんど登場しない婦女子は、武術史においても同じことが言える。
そもそも婦女子が帯刀できるわけないと。
ところが、江戸期に発行された様々な文献を渉猟してみると、婦女子が普通に帯刀している挿絵を散見する。
下の図は『和漢名画苑』に掲載されている挿絵である。
しっかりと婦女子が帯刀しているし、肩に担いだりしている。
もう一度、江戸期における婦女子の正しい身分と位置づけを再考察しないといけない。
(完)