平常無敵流小太刀 Hêjômuteki ryû Kodachi
流祖は山内甚五兵衛直一。
新陰流他、いくつかの流儀を学んだが、多賀伯庵聚津に学んだ富田流の小太刀をもっとも得意とした。
その富田流の色を最も濃く残して新たに平常無敵流兵法を興した。
今回、紹介する平常無敵流兵法の蜻蛉絵目録は、駿州吉田藩に伝承した系統のものである。
目録の蜻蛉絵には一つずつ和歌が添えられている。
山彦剣 五輪砕 右行剣 左行剣 粘附剣 獅子洞入
天狗羽返 請流 無名剣 微塵剣 真妙剣
この十一ヶ条には元々形が無かったが、紛らわしいので図解で示す、と伝授巻の奥書きにある。
この伝授巻は文政十二年に安田三太夫勝光、安田俊八郎勝英、原田源太夫為忠の三者連名で柳本誠之助に与えられた。
複数の師範が連名で一つの伝授巻を差し出す慣習は吉田藩によく見られるものである。