朝鮮柔術、盛岡藩に伝来??? Korea jûjutsu Koji ryû
江戸時代の真っ只中、朝鮮国に渡った一人の武士が、彼の地で柔術を学び、日本に持ち帰った。
伝書には確かにそう書かれている。
流儀は「狐子流和術」。
朝鮮に渡った武士は「中根弾正高之」。
中根に柔術を教えた朝鮮の唐人は「狐龍」という者。
しかし、当然のことながら、これらはすべて捏造された説話。
朝鮮にそんな武術が存在するわけはない。
流儀の内容を見れば一目瞭然だが、この狐子流は諸賞流の分派である。
なぜにこのような虚飾をしたのだろうか。
流儀の捏造は昭和になって始まったものではない。
いつの世にも世を欺く者はいる。
ちなみに、この伝書は、流祖中根から三代目の谷地忠左衛門が天保九年(1838)に差し出したものである。