『皇国武術英名録』の武術 ①気楽流柔術
『皇国武術英名録』は無刀双流剣術師範新井朝定が幕末・明治期における関東地方の武術流派を実際に現地を訪れて記録した非常に貴重な古書である。
この記録を頼りに田舎へ行くと、今でも伝書や古い武具を見ることができる。
さて、その紹介の第一弾は気楽流柔術である。
取材を受けたのは上野国緑埜郡下大塚村の飯塚緒早司。
断髪しており、髭を蓄えている。
掲載されている柔術形は鉄扇を使った「抜附裏」。
敵が正面を斬り下ろすのを左前に抜けて、左手で手首を押さえ、鉄扇で打ち込もうとする場面である。
演武者は飯塚の高弟浅見源太郎と辰己半平。
紋付き袴に襷を掛けている。
打太刀浅見の左足の爪先は大きく後ろに開いており、一文字腰になっている。
こうした絵を見ていると真の古武道の姿を知ることができ、大いに勉強になる。