摩利支天像のこと Marishiten
真言密教と武術の関係についてはもう30年以上も調べている。
著書や論文などでも何回か拙論を開陳している。
柳生心眼流には修法の一つとして伝えられていたが、筆者はこれを相伝しなかった。
これについては人それぞれいろいろな考えがあるので、ここでは触れない。
さて、その真言密教の本尊とされる摩利支天。
これは大日如来の化身で、甲斐の駒ヶ岳、木曽の御岳など全国の修験道関係の霊地で祀られている。
怨敵や悪魔を退ける調伏の祈願には特に強い力を発揮するので、武士の守り本尊として信仰されていた。
摩利支天の姿は日輪を背にしているためまぶしく、悪魔の目から逃れることができるということから、「隠形」の修法を起こすことができるといわれている。
忍者が登場する映画などで、消える前に印を結ぶのは摩利支天の「隠形」の印である。
タイ捨流では、現在でもなお摩利支天経を唱えてから稽古や演武に入るという。
ところで、摩利支天が白い猪に乗って描かれているのは、摩利支天が疾駆する様子を猪に喩えたといい、各寺院でも猪は摩利支天の眷属であり、智慧の迅速さや勇敢さをあらわすものと説明される。

しかし、古代インドでは、猪は根本神ヴィシュヌの化身の一つでもあった。
さまざまな姿に変化したヴィシュヌは猪に姿を変え、海に沈んでいた大地を掬いあげたという。
もう一つの画像は摩利支天に似た神像が白狐に乗っている。

最初はこれを荼吉尼天と考えた。
荼吉尼天は一般に白狐に乗る天女の姿で表されるからである。
手にする物も剣、宝珠、稲束、鎌などである。
しかし、画像はどう見ても天女ではない。
第一、髭がある。
(続く)















