微塵(ミジン)
今回は、制剛流(荒木流)に見られる、微塵という道具を見てみたい。
この道具は三つの球形分銅が鎖で連結された道具である。
捕り物具であることは間違いない。

技法はとうの昔に失伝しており、また使用法を記した文献もないようなので、推測で述べるしかない。
しかし、武具研究家の名和弓雄氏は、「古文献には・・・」 として、次のような使用法を『図解・隠し武器百科』に紹介している。
①手だまりの環に指を入れ、打ち振れば鎖先の分銅三個が敵を打つ。
②分銅一個を握って打ち振れば一尺五寸の長さになり、二個の分銅が敵を打つ。
③敵刃をからめて引き落とし、急所を殴り、敵が遠のけば投げつける。骨砕けて微塵となる。
古文献とはいったいどのような資料であろうか。
示された三例はいずれも自滅行為である。
そのような技を使うのに、わざわざこんな変異な道具は必要ない。
これを信じて戦いに挑む武士は皆無であろう。
命がいくつあっても足りない。
三つ又の鎖は同じ長さなので、一つの分銅を握って二つの分銅を振り回すということはあり得ない。飛ばした分銅が戻って自分の拳を打つこと必定である。
また手だまりの環に指を入れるというのは、さらに難儀な技で、なぜに三つも分銅が必要なのか、まったく理解に苦しむ。紹介した伝書に描かれた図では環に指が入らないから、この技法はあり得ない。
軽く振って投げつけるというのが、妥当のようでもあるが、外れると大事な道具が敵に奪われてしまう。投擲道具は、外れたときに大事な道具・武器を敵に奪われるということを想定しないのだろうか。
識者の意見を伺いたい。
ちなみに、上記伝書に出ているカンナワ(環縄)という道具は、以前にこの項で紹介した特殊鈎無し十手の手貫きと同じものであることがわかる。















